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シグマ値(σ)とは

シグマ値とは、露光装置の照明光学系の開口数 NAi\mathrm{NA}_\mathrm{i} を、投影光学系の開口数 NAp\mathrm{NA}_\mathrm{p} で割った比です。 照明がどこまで広い角度でマスクを照らすかを、投影側の受け口に対する割合で表します。ただし σ\sigma を広げるほど光の干渉性は下がり、マスクの形が像へ素直に写らなくなります。その代わりに斜めの光が使えるようになり、解像度と焦点深度を稼ぐ手が開きます。σ\sigma はこの2つを引き換えるつまみで、どこまで上げられるかは装置の光学系で決まります。

σ は、照明絞りと開口絞りという2つの穴の比で決まる

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ケラー照明は、光源に輝度分布やムラがあってもマスク面を均一な照度、かつ大きな開口数で照明できる手法で1、集光系(照明絞り)と投影系(開口絞り)の2つの領域を設けます。集光系は光源の光がより多く投影系へ届くように働き、投影系は照射面であるマスク面へ均一な光を投影します。σ\sigma は、この2つの領域の開口数の関係を1つの値にまとめたものです。

2つの開口数
NAiNAp光源照明絞りコンデンサマスク投影レンズ開口絞りウェーハ照明光学系(集光系)投影光学系
照明側がマスクへ光を集める円錐の開き NAi と、投影側がマスクから光を拾う円錐の開き NAp の比が σ です。

シグマ値はσ=NAi/NAp\sigma = \mathrm{NA}_\mathrm{i}/\mathrm{NA}_\mathrm{p}1で表します。NAi\mathrm{NA}_\mathrm{i} は照明側がどこまで広い角度でマスクを照らせるか、NAp\mathrm{NA}_\mathrm{p} は投影側がどこまで広い角度の光を拾えるかです。光源とコンデンサレンズの間に置いた絞りは波面のフィルタとして働き、一定の傾きまでの平面波だけがマスクへ向かいます2。比を取るのは、絶対値より「受け口に対してどこまで広く照らしているか」が結像を左右するためで、σ\sigma はその割合を表す無次元の値です。

σ は空間的コヒーレンスのつまみで、小さいほどマスクの形が素直に写る

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照明光の空間的なコヒーレンスは、調整できるパラメータで、結像性能に大きく影響します2。ある程度の空間的コヒーレンスが残る照明を部分コヒーレント照明と呼び、σ\sigma はその度合いを決めます。

σ\sigma が小さいと照明は中心付近の光だけになり、マスクへほぼ真っ直ぐ入るため、光の干渉性が高くなります。照らす光の向きがそろうので像のコントラストは高くなりますが、細かいパターンの回折光を拾いにくくなります。σ\sigma が大きいほどいろいろな向きの光が混ざり、コントラストは下がるかわりに、細かいパターンでも回折光が口径へ入りやすくなります。

σ が大きい装置ほど、大きな入射角の斜入射露光に使える

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σ\sigma が大きい露光装置ほど、大きな入射角で斜入射露光を行えます1。照明絞りを輪帯や四重極の形にすると、情報を運ばない垂直な光(0次の波)を遮れます2。こうした斜入射照明は、光リソグラフィを波長より細かい解像へ延ばす手法として定着しています。斜入射照明では解像度や焦点深度 DOF が向上します1。

瞳の中の照明の形
σが小さいσが大きい輪帯四重極NAiNApマスクへの入射角垂直な光を遮る
投影側の瞳の円に対して照明をどこまで外へ配れるかが σ で、外周に寄せた輪帯や四重極ほど、マスクへは斜めの光だけが入ります。

外側へ配る絞りは、σ\sigma の上限より外には置けません。σ\sigma を上げることは、この手を使える範囲を広げる準備にあたります。

σ の上限は、装置の光学系で決まる

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照明絞りの形は運転のたびに替えられますが、σ\sigma の上限は装置の光学系で決まるため、外側へ配れる限界は装置を替えるまで変わりません。照明側が投影側より広い設計なら σ\sigma は 1 を超えますが、実際には 1 を下回る範囲で使うことが多くなります。

装置の世代ごとに、求められる照明の作り込みも変わります。波長の長い KrF レーザー(248nm)や i 線(365nm)を使う露光装置は、主にアナログ半導体やパワー半導体などの用途に用いられます3。

シグマ値とは何ですか?

露光装置の照明光学系の開口数 NAi と、投影光学系の開口数 NAp の比です。照明がどこまで広い角度でマスクを照らすかを、投影側の受け口に対する割合で表します。

式はどうなりますか?

σ = NAi/NAp です。2つの開口数の比なので単位のない値になります。

大きいと何が可能になりますか?

σ が大きい露光装置ほど、大きな入射角で斜入射露光を行えます。輪帯や四重極の絞りで垂直に入る光を遮る斜入射照明は、解像度と焦点深度の向上に使われます。

照明の形とどう関わりますか?

絞りをどこまで外側へ配れるかの上限になります。σ が小さいうちは、輪帯や四重極のように外側へ広げた形を作れる範囲も狭まります。

σ が 1 を超えることはありますか?

照明側が投影側より広い設計なら 1 を超えます。実際には 1 を下回る範囲で使うことが多くなります。

σ を小さくする利点は何ですか?

照明光がほぼ真っ直ぐマスクへ入り、光の干渉性が上がるので、マスクの形が像へ素直に写ります。像のコントラストを優先する用途ではこちらが向きます。

どこの絞りで決まりますか?

ケラー照明は、集光系の照明絞りと投影系の開口絞りの 2 領域を設けます。σ はその 2 つの開口数の比です。

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