コンテンツにスキップ

ケラー照明とは

ケラー照明とは、光源に輝度分布やムラがあっても、照射面を均一な照度かつ大きな開口数で照らせる照明方式です。 露光ではフォトマスクの面が照射面になります。光源の明るさは面内でばらつくので、明るい光源でそのまま照らすとムラがマスク面へ写ります。ケラー照明は光源の像を照射面から切り離し、このムラを線幅へ持ち込ませません。

光源の像を絞りの位置に結ぶと、ムラがマスク面から消える

Section titled “光源の像を絞りの位置に結ぶと、ムラがマスク面から消える”

クリティカル照明は、光源の輝度分布をそのまま照射面に照明する方式です1。光源の像が照射面に結ぶので、明るい点も暗い点もそのまま照度の山と谷になります。

ケラー照明では、コレクタレンズが光源の各点から出た光をコンデンサの前側の開口に集め、開口を光で満たします2。光源の像は絞りの位置にでき、照射面にはできません。光学系には視野面と開口面という二組の共役な面ができ2、一組の面で焦点を結ぶ光線は、もう一組の面をほぼ平行に通ります2。光源の一点から出た光は照射面を平行な束で横切り、どの点の光も照射面の全体に重なります。光源のムラはこの重ね合わせで平均化されます。

クリティカル照明とケラー照明
クリティカル照明レンズ光源マスク面照度ケラー照明コレクタレンズコンデンサレンズ光源光源の像=開口面マスク面=視野面照度光源の上の点光源の下の点
クリティカル照明は光源の各点をマスク面の別々の位置へ写すので、照度が光源のムラどおりに波打ちます。ケラー照明は光源の像を開口面に結ばせ、各点の光を平行な束にしてマスク面全体へ重ねるので、照度が平らになります。

この方式の原理は、19世紀後半にAugust Köhlerが顕微鏡の照明として最初に示しました2。露光装置はこの考え方をマスク面の照明に使っています。

2か所の絞りが、明るさと均一さを分担する

Section titled “2か所の絞りが、明るさと均一さを分担する”

ケラー照明は、集光系(照明絞り)と投影系(開口絞り)の2つの領域を設けます1。集光系は光源からの光がより多く投影系に到達するように働き、明るさを稼ぎます。投影系は照射面に均一な光を投影し、均一さを作ります。

絞りを置く場所には意味があります。開口面は開口を制限する面で、光学系の開口数は、この位置に入れた固定または可変の絞りで制御できます2。同じ組に属する面は、一つの面で焦点の合ったものが、組の他のすべての面でも焦点が合って見える2関係にあります。顕微鏡では、試料とコンデンサの焦点を合わせたうえで視野絞りとコンデンサの開口絞りを調整し、解像とコントラストを最適化します2。

二つの絞りの関係を一つの数で表すのが、照明光学系の開口数 NAi と投影光学系の開口数 NAp の比であるシグマ値です。

照明絞りの形を替えると、解像性が動く

Section titled “照明絞りの形を替えると、解像性が動く”

斜入射照明は、光軸の中心を外した位置に絞りを入れる手法で1、この絞りが集光系の側の照明絞りです。絞り形状により輪帯照明、ダイポール照明、四重極照明などがあります。均一に照らす枠組みはそのままで、マスクへ入る光の入射角の分布だけを作り替えます。

照明絞りの形
NApNAi通常照明輪帯照明ダイポール照明四重極照明σ = NAi / NAp
通常照明の円盤と投影系の開口の円の比がシグマ値(NAi/NAp)です。斜入射照明は光軸の中心を外した位置に絞りを入れ、輪帯・ダイポール・四重極の形に光を通します。

近年はSMOで任意の絞り形状も適用されています1。照明条件の設計は、この絞りの形を選ぶことに集約されます。

照度の均一さは、そのまま線幅に出る

Section titled “照度の均一さは、そのまま線幅に出る”

マスク面の照度がばらつくと、レジストが受ける光の量もばらつき、同じマスクでも場所によって線幅が変わります。

最終の形を崩す要因は照度だけではありません。半導体製造では回路パターンを焼き付ける際に数十回のフォトマスク交換を繰り返すため、ウェハとフォトマスクの位置ズレを防ぐことが重要です3。素材には常にわずかな歪みが生じるので、露光前に歪みを計測し、フィードフォワードで補正するアライメントステーションが要ります。照度の均一さと位置の正しさは、どちらも同じ最終の形へ集まります。

均一さと引き換えに、装置の大きさと露光時間を払う

Section titled “均一さと引き換えに、装置の大きさと露光時間を払う”

光源の像を照射面から切り離せば、ムラのある光源でも均一に照らせます。その代わり光学系に2つの絞りと余分なレンズ群が要り、装置が大きく複雑になります。照明絞りを絞るほど入射角の分布を狙って作れる一方、通る光量が減って露光の時間が伸びます。均一さを上げるほど、設計と調整の手間が積み上がります。

ケラー照明とは何ですか?

光源に輝度分布やムラがあっても、照射面を均一な照度かつ大きな開口数で照明できる手法です。光源の像を照射面ではなく絞りの位置に結ばせるのが仕組みの要です。

クリティカル照明とは何が異なりますか?

クリティカル照明は、光源の輝度分布をそのまま照射面に照明する方式です。ケラー照明は光源の像を照射面から切り離し、光源の各点の光を照射面全体へ広げます。

絞りはいくつありますか?

集光系の照明絞りと投影系の開口絞りという 2 つの領域を設けます。

それぞれ何をしますか?

集光系は光源からの光がより多く投影系に到達するように働き、投影系は照射面に均一な光を投影します。明るさと均一さを別々の場所で受け持つ分担です。

露光では何が照射面ですか?

マスク面です。

σ 値とどう関わりますか?

シグマ値は照明光学系の開口数と投影光学系の開口数の比で、この 2 つの絞りの関係を表す値です。照明絞りの形を変える斜入射照明も、この比の上で入射角の分布を作り替えます。

なぜ均一さが要るのですか?

マスク面の照度がばらつくと、レジストが受ける光の量もばらつき、そのまま線幅のばらつきになるためです。

3件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3