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DUV(深紫外線)とは

DUV(Deep Ultraviolet、深紫外線)とは、EUVより波長の長い紫外線を使う露光方式の総称です。 ArFとKrFのエキシマレーザが光源に使われます。

DUVはEUV以前の主力であり、EUV世代になっても主力であり続けています。最先端の寸法を要求する層は、何十層もある露光のうちの一部だからです。

最先端の寸法が要るのは、100前後の層のうち1つか2つ

Section titled “最先端の寸法が要るのは、100前後の層のうち1つか2つ”

1つのチップを作るには何十層もの露光が要ります。ASMLは、クリティカル層と最先端のリソグラフィ装置が占めるのは、現代のチップを構成する100前後の層のうち1つか2つ1だとしています。上層の配線や電源の層は寸法が緩く、DUVで十分に作れます。

光源は、ArF(フッ化アルゴン)とKrF(フッ化クリプトン)のエキシマレーザの2種類です。ArFのほうが波長が短く、より細かいパターンを分離します。KrFはArFより緩い層で使われ、装置も安価になります。ASMLのDUV装置には2、ArF液浸のTWINSCAN NXT:2150iやNXT:2100i、KrFドライのTWINSCAN XT:1060KやNXT:870Bなどがあり、ニコンは前工程向けにNSRシリーズを出しています。

スループットも選ぶ理由になります。ASMLは、KrFドライのTWINSCAN NXT:870Bが300mmウェーハを毎時400枚という業界初のスループットで露光するとしています。緩い層を大量に流す用途では、この能力が費用へ直結します。

層ごとに使い分ける ─ 最先端の寸法を要求する層は一部です
上層の配線・電源(寸法が緩い)中間の配線層下層の配線層トランジスタ層(最も微細)基板KrF ドライKrF / ArF ドライArF 液浸EUVKrF:安価・高スループット毎時400枚の機種もあるArF液浸:業界の主力解像度と生産性の両立EUV:最微細層のみ装置が高価層ごとに要る寸法が異なるため、EUV世代でもDUVが主力であり続ける
1つのチップは何十層もの露光で作られますが、最先端の寸法を要求する層はそのうちの一部です。最も微細なトランジスタ層はEUV、下層の配線はArF液浸、上層の緩い配線はKrFドライ、というように層ごとに使い分けます。

寸法は CD = k1 • λ / NA の3項で決まる

Section titled “寸法は CD = k1 • λ / NA の3項で決まる”

描ける最小寸法はCD=k1⋅λ/NA\mathrm{CD} = k_1 \cdot \lambda / \mathrm{NA}です3。CD\mathrm{CD}は描ける最小の構造寸法、λ\lambdaは使う光の波長、NA\mathrm{NA}は光学系がどれだけ光を集められるかを表す開口数、k1k_1はチップ製造工程の多くの要因に依存する係数で、k1k_1の物理的な限界は0.25です。細かく描くための道は、この式の3つの項に対応して、λ\lambdaを短くする、NA\mathrm{NA}を上げる、k1k_1を下げる、の3本です。DUVの歴史は、この3本を順に使ってきた歴史でもあります。

同じメーカーの同じラインアップで比べると、λ\lambdaとNA\mathrm{NA}がそれぞれどれだけ寸法を動かすかを数字で追えます。ニコンの公称値は、i線365nmのNSR-SF155がNA0.62で解像度≦280nm、KrF248nmのNSR-S215DがNA0.82で解像度≦110nm、ArFドライ193nmのNSR-S333FがNA0.92で解像度≦65nm、ArF液浸193nmのNSR-S636EがNA1.35で解像度≦38nmで4、いずれも300mmウェーハ対応です。波長を365nmから193nmへ縮めた区間で解像度は280nmから65nmへ、波長を193nmのまま開口数を0.92から1.35へ上げた区間で解像度は65nmから38nmへ動いています。

3本目のk1k_1は、光源の波長やレンズの開口数のような、型番へ載る数字とは別の側にあります。k1k_1はリソグラフィ工程の側で解像度を高めるためにできることを集めた係数です5。手段は、レチクルへ斜めから光を当てて回折の仕方を制御する斜め入射照明、像のコントラストを改善する瞳形状、4,000枚の個別可動ミラーで任意の瞳形状を瞬時に作るFlexRayという照明系、光学近接効果補正(OPC)、そして強力なアルゴリズムで製造工程をシミュレートする計算リソグラフィです。装置の型番が同じでも、この側の作り込みで描ける寸法が動きます。

細かく描くための道は、三つあります
CD = k1 • λ / NA描ける最小寸法は、この三つの量で決まりますλ ── 波長i線 365nm NA0.62 → 280nmKrF 248nm NA0.82 → 110nmArF 193nm NA0.92 → 65nm光源を替える道ですNA ── 開口数ArF ドライ NA0.92 → 65nmArF 液浸 NA1.35 → 38nm波長は193nmのまま媒質と光学系を替える道ですk1 ── 工程側の係数斜め入射照明・瞳形状OPC・計算リソグラフィ物理的な限界は 0.25工程の作り込みで下げる道です解像度はニコン公式ラインアップの機種別公称値、k1の限界はASML公式技術ページの記載DUVは三つの項すべてを順に使ってきました
描ける最小寸法は CD = k1 • λ / NA で決まります。DUVの歴史は、λ(波長)を365nmから193nmへ、NA(開口数)を0.62から1.35へ、そしてk1(工程側の係数)を照明とマスクの作り込みで下げる、という三つの道を順に使ってきた歴史です。解像度の数値は機種別の公称値で、k1の物理的な限界は0.25です。

エキシマレーザは、気体の組み合わせで波長を選ぶ

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エキシマレーザは、気体からその場で光源になる分子を作るレーザです。2種類の気体の混合に十分なエネルギーを加えると、両方の気体の原子が結合して、励起した一時的な分子(エキシマ)になります6。ArFならアルゴンとフッ素、KrFならクリプトンとフッ素で、型番の前半が希ガス、後半のFがフッ素を指します。KrFエキシマレーザは波長248ナノメートル(nm)の光を、次世代のArFエキシマレーザは波長193nmの光を放ちます。

光源がレーザになる前は、ランプでした。ASMLの創業当時に最先端だったリソグラフィ光源は水銀蒸気ランプで、水銀を封じたバルブへ電気を流して光を作っていました。その後、波長365nmの紫外線であるi線へ移り、i線の装置が寸法を1マイクロメートル以下へ、最終的に220nmまで縮めました。キヤノンも、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー7を露光装置の光源に挙げています。

ランプからエキシマレーザへの移行は、波長を選び直すための移行でした。ランプの光は水銀という材料が放つ線スペクトルに沿うため、選べる波長がその材料で決まります。気体の組み合わせを替えれば、248nmと193nmという別の波長が手に入ります。DUVという言葉が指す範囲がこの2つの波長へ集まっているのは、そのためです。

157nmは複屈折で行き詰まり、波長の代わりに開口数を上げた

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365nm、248nm、193nmと続いた波長の更新は、193nmで打ち止めになりました。次の候補は157nmのF2(フッ素)レーザでしたが、フッ化カルシウムのレンズに大きな複屈折が生じ、その量が結像仕様を大幅に超えたため8、業界は壁に当たり、この道は放棄されました。

そこで業界は、式の別の項であるNA\mathrm{NA}へ向かいました。高度に純化した水を通して光を投影すれば、はるかに小さなチップ構造を描けるようになります。液体があることで、微細なパターンをより正確に結像する光学レンズを設計できるためです。2006年のXT:1700Fiで開口数が0.93から1.2へ上がり、液浸以前に壁と考えられていた1.0を越えました。

実装は、最終レンズ素子の周りに輪を作って水たまりを制御する「イマージョンフード」(immersion hood)と呼ばれる部品です。レンズの下に泡ができれば結像性能が劣化し、逃げた水滴はウェーハ上の感光膜と反応してしまいます。この方式は液浸露光と呼ばれます。

液浸は開口数を上げ、ドライは単純さとスループットを取る

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液浸は、レンズとウェーハの間に液体を入れる方式です。液体の屈折率のぶん実効的な開口数が上がるため、同じ波長でも解像度が改善します。ASMLは、液浸システムが業界の主力であり、最先端のロジックおよびメモリチップの量産において生産性、結像性能、オーバーレイ性能で業界を先導しているとしています。

ドライは、レンズとウェーハの間が空気のままの方式です。解像度では液浸に劣りますが、装置の構成が単純で、スループットと保守の面で有利になり、緩い層を大量に流す用途に向きます。ArFドライとArF液浸は光源も波長も同じ193nmで、差はレンズとウェーハの間の媒質と、それに合わせた光学系の側にあります。

レンズとウェーハの間を、液体で満たします
ドライ ── 間は空気のままレンズ間は空気ウェーハ光の広がりが狭いです解像度では液浸に劣ります構成が単純で、スループットと保守で有利です液浸 ── 間を液体で満たすレンズ液体(純水)ウェーハ光の広がりが広いです屈折率のぶん実効的な開口数が上がります同じ波長でも解像度が改善しますASMLは公式製品ページで、液浸システムが業界の主力だと述べていますNXT:2050iは開口数1.35、解像度は照明条件つきで40nm/38nm
液浸はレンズとウェーハの間を液体で満たし、屈折率のぶん実効的な開口数を上げて、同じ波長でも解像度を改善します。ドライは間が空気のままで構成が単純なぶん、スループットと保守の面で有利になります。

ASMLの現行機TWINSCAN NXT:2050iは9、光源193nm、開口数1.35、量産解像度がC-quadで40nm・dipoleで38nm、スループットが毎時295枚、EUV装置との製品オーバーレイのクロスマッチングが2.5nmです。ASMLは、この開口数1.35を現時点の半導体業界で最も高い値とし、この装置を先端ロジックとDRAMの300mmウェーハ製造でマルチパターニングの要求へ応える費用対効果のある解としています。

40nmと38nmに付く「C-quad」「dipole」は、k1k_1の側の条件です。どちらもレチクルへ光を当てる瞳の形の名前で、同じ装置でも照明の形が動けば描ける寸法の数字も動きます。解像度の数字には、必ず照明の条件が付いてきます。

単発露光の上限は38nm、その先はマルチパターニング

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ArF液浸の単発露光には到達点があります。ASMLは2008年に、XT:1950iを38ナノメートルの量産向けとしては業界初の単発露光液浸リソグラフィ装置とし10、1.35NAのレンズ、40nmから改善した38nmの解像度、3.5nmのオーバーレイ精度を掲げました。

これより細かい寸法へ進むために使うのがマルチパターニングで、ダブルパターニングとも呼ばれます。1つの複雑な層のパターンを2つ以上の単純なパターンへ分割し、2倍の露光ステップと、2つのパターンを極めて近く位置合わせする能力を要求します。

代金は2か所で払います。露光の回数が2倍になること、そして2枚のパターンの重ね合わせ精度が装置の限界を決めていることです。装置の仕様表でオーバーレイの数字が解像度と同じ重みで載っているのは、このためです。ASMLは、今日の主力のNXT液浸装置が毎時295枚のウェーハを、オーバーレイ1nmまで下げて流せるとし、TWINSCAN NXT:1470を、製品上のオーバーレイで4.5nmを下回った初のドライ装置としています。

DUVとEUVは、波長が14倍離れ、光の運び方も違う

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DUVという1語は、深紫外線という光そのもの、その光を使う露光方式、そしてその方式の装置世代の3つへ同時に使われます。「DUVを買う」なら装置、「DUVで焼く」なら方式、「DUVを透過する」なら光を指します。

EUVとは、まず波長が離れています。193nmと13.5nmに当てはめて計算すると、14倍ほどの開きです。光の運び方も別です。DUVリソグラフィ装置はレンズで光を集めて高い解像度を得ており11、開口数1.35に達する光学系は高さ1.2メートル超・質量1トン超になります。EUV光はほとんどの物質に吸収されるため、レンズでは光が装置の中で吸われてしまいます。そこでEUVには、真空チャンバー内の超平滑な多層膜ミラーを使う光学系が新規開発されました。

i線とDUVは、光の作り方から別です。i線は水銀ランプが放つ365nmの紫外線、DUVはエキシマレーザが放つ248nmと193nmの紫外線です。現場では「248nm」「193nm」という数字が、そのままKrFとArFの別名として通ります。仕様表に波長だけが書いてある場合も、その数字から光源の種類が定まります。

この用語に対応する装置と製造メーカー

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装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 3社/3family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22

出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。

DUVとは何ですか?

DUV(Deep Ultraviolet、深紫外線)は、EUVより波長の長い紫外線を使う露光方式の総称です。ArF(フッ化アルゴン)とKrF(フッ化クリプトン)のエキシマレーザが光源として使われます。

ArFとKrFの違いは何ですか?

波長が違います。ArFのほうが短く、より細かいパターンを分離可能です。KrFはArFより緩い寸法の層で使われ、装置も安価です。ASMLの製品にはArF液浸のTWINSCAN NXTシリーズとKrFドライのTWINSCAN XT:1060Kなどがあります。

液浸とドライの違いは何ですか?

レンズとウェーハの間に液体を入れるかどうかです。液体を入れると光の屈折率が上がり、実効的な開口数が上がるため解像度が改善します。ASMLは液浸システムを業界の主力としています。

EUVが出てきてもDUVは使いますか?

使います。1つのチップを作るには何十層もの露光が要りますが、最先端の寸法を要求するのは一部の層に限られます。緩い層はDUVで十分であり、装置の費用と生産能力の面で有利です。

生産能力はどのくらいですか?

ASMLは、KrFドライのTWINSCAN NXT:870Bが300mmウェーハを毎時400枚という業界初の生産能力で露光するとしています。緩い層を大量に流す用途では、この能力が強みになります。

DUV装置のメーカーはどこですか?

ASML、ニコン、キヤノンです。ニコンはNSRシリーズを出しています。装置カタログDBで、リソグラフィに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。

なぜ波長が短いほど細かいパターンを描けるのですか?

描ける最小寸法が波長に比例するためです。関係は CD = k1 • λ / NA で、CDが描ける最小の構造寸法、λが使う光の波長、NAが光学系のどれだけ光を集められるかを表す開口数、k1がチップ製造工程の多くの要因に依存する係数です。λを小さくすれば、同じ光学系のままCDが小さくなります。

k1とは何ですか?

リソグラフィ工程の側で解像度を高めるためにできることを集めた係数です。レチクルへ斜めから光を当てて回折の仕方を制御する斜め入射照明、像のコントラストを改善する瞳形状、光学近接効果補正(OPC)、強力なアルゴリズムで製造工程をシミュレートする計算リソグラフィが、この係数を限界へ近づける手段です。k1の物理的な限界は0.25です。

エキシマレーザはどうやって光を作るのですか?

気体からその場で光源になる分子を作ります。2種類の気体の混合に十分なエネルギーを加えると、両方の気体の原子が結合して励起した一時的な分子(エキシマ)になります。ArFはアルゴンとフッ素、KrFはクリプトンとフッ素の組み合わせです。

波長の世代ごとに解像度はどれだけ動きますか?

ニコンの公称値では、i線365nmのNSR-SF155がNA0.62で解像度≦280nm、KrF248nmのNSR-S215DがNA0.82で解像度≦110nm、ArFドライ193nmのNSR-S333FがNA0.92で解像度≦65nm、ArF液浸193nmのNSR-S636EがNA1.35で解像度≦38nmです。いずれも300mmウェーハ対応です。

193nmより短い波長のDUVはどうなりましたか?

157nmのF2レーザが次の候補でしたが、フッ化カルシウムのレンズに結像仕様を大幅に超える複屈折が生じて放棄されました。以降は波長のかわりに開口数を上げる液浸へ進みました。

ArF液浸の解像度と生産性はどのくらいですか?

ASMLのTWINSCAN NXT:2050iは開口数1.35、光源193nm、量産解像度がC-quadで40nm・dipoleで38nm、毎時295枚、EUV装置との製品オーバーレイのクロスマッチング2.5nmです。ASMLは開口数1.35を現時点の半導体業界で最も高い値としています。

マルチパターニングとは何ですか?

1つの複雑な層のパターンを2つ以上の単純なパターンへ分割し、別々に露光する方法です。2倍の露光ステップと、2つのパターンを極めて近く位置合わせする能力が要ります。単発の露光で解ける寸法より細かい層を、DUVで作るときに使われます。

DUVとEUVで光学系はどう異なりますか?

光の運び方が異なります。DUVはレンズで光を集めて解像度を得ており、開口数1.35に達する光学系は高さ1.2メートル超・質量1トン超です。EUV光はほとんどの物質に吸収されるため、真空チャンバー内の超平滑な多層膜ミラーで光を運びます。

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