コンテンツにスキップ

PAB・ソフトベークとは

PAB・ソフトベークとは、レジスト塗布後、露光前に加熱して膜中の溶剤を減らす工程です。 PABはPost Apply Bakeの略で、プリベークとも呼ばれます。スピンコートの直後のレジストには、膜厚と溶剤の種類によって通常10〜35%の溶剤が残っています1。これを追い出して膜を固め、露光する前の膜を安定させるのがPABです。加熱不足は残留溶剤や密着不良を招き、加熱しすぎると感光性や現像性を変えることがあります。乾燥だけを最大化せず、次の露光で必要な膜の状態を作ります。決め手になるのは、溶剤が抜ける速さです。

塗布と露光の間で、溶剤を追い出して膜を固める

Section titled “塗布と露光の間で、溶剤を追い出して膜を固める”

SEAJはPABを、レジスト塗布後・露光前に、レジスト溶剤を乾燥させるために行うベーク2と定義しています。スピン塗布とEBRを済ませた基板をホットプレートなどで加熱し、冷却して温度をそろえてから露光へ送ります。ソフトベークはホットプレートか排気付きのオーブンで行うことが多く、典型的な温度は90〜110℃です3。

同じ「ベーク」でも対象が違います。脱水ベークは塗布前の基板を、PABは塗布後のレジストを処理します。塗布から現像までの流れの中で、PABは塗布後・露光前の加熱、PEB(露光後ベーク)は露光後の加熱です。

溶剤を抜く目的は露光の安定だけではありません。MicroChemicalsは、すでに塗った膜を次の塗布で溶かさずに重ね塗りできること1、電解めっき中のレジスト構造を安定させ、残った溶剤による電解液の汚染を抑えることも、ソフトベークの効果に挙げています。

溶剤は膜内の拡散、蒸発、境界層、対流の順に抜ける

Section titled “溶剤は膜内の拡散、蒸発、境界層、対流の順に抜ける”
溶剤の抜け道
気流拡散境界層レジスト基板ホットプレート対流で運ぶ境界層の拡散蒸発膜内の拡散熱で速まる風速で変わる溶剤
溶剤は膜の中を拡散して表面で蒸発し、拡散境界層を抜けて気流に運ばれます。前の2段は熱で速まり、境界層の厚さは風速で変わります。

レジスト膜の上には、どの液体の上でもできるように拡散境界層ができ、その厚さは表面の上の風速で決まります1。風速が高いほど、蒸発した溶剤が大気中を拡散して気流に乗るまでの距離は短くなります。膜の中の拡散と表面での蒸発は熱で活性化される過程で、対流による持ち去りは基板の上の空気の動きで決まります。温度を上げれば前の2段は速まりますが、最後の段を左右するのは空気の動きです。

厚い膜ほど溶剤が抜けにくく、表面が乾いても内部に溶剤が残ります。ソフトベークはレジストと基板の界面まで溶剤を完全に除く3ように最適化する必要があります。

蒸発は速すぎても遅すぎても膜を傷める

Section titled “蒸発は速すぎても遅すぎても膜を傷める”
蒸発の速さと不良
蒸発が速すぎる泡(丸い空洞)蒸発が遅すぎる表面の皮膜界面に溶剤が残るウェット中に剥がれ適切なベーク溶剤を除き固化基板レジスト皮膜溶剤
速すぎれば泡、遅すぎれば皮膜ができることがあり、界面に残れば剥がれの原因になるので、溶剤が抜ける速さを膜厚に合わせて調整します。

蒸発の速さは慎重に制御しなければならず、特に4〜5µm程度以上の厚いレジストで重要になります3。溶剤が急に出すぎると泡になることがあり、ベーク後の膜に丸い空洞として見えます。逆に蒸発が遅すぎると、膜の表面に溶剤のさらなる放出を妨げる皮膜ができることがあります。とても厚い膜では、温度を段階的に上げる複数回のベークで、許容できる蒸発速度を保ち泡を防ぐことが多くなります。

界面の残留溶剤による不良は、後工程で表に出ます。レジストと基板の界面に残った溶剤は、ウェットエッチングやめっきの最中に起きる密着不良の主な原因で、ソフトベークはレジストの剥がれを防ぐよう慎重に最適化する必要があります。

合否は温度計ではなく、膜とその後の結果で決める

Section titled “合否は温度計ではなく、膜とその後の結果で決める”

温度、加熱時間、プレートとの熱接触、膜厚を管理します。処理後は、膜厚変化、残留する水分・溶剤または反応の進み方、パターン形状を確認します。温度だけで合否を決めず、ウェーハが設定温度へ達した時間と面内温度差を含めます。そのうえで後工程の現像速度、密着、CDの変化を照合し、加熱不足と過熱を切り分けます。膜厚と露光後の形状も合わせて確かめます。

PAB・ソフトベークは何をする工程ですか?

レジスト塗布後、露光前に加熱して膜中の溶剤を減らす工程です。PABはPost Apply Bakeの略で、プリベークとも呼ばれます。溶剤を追い出して膜を固め、露光する前の膜を安定させます。

どの段階で行いますか?

スピン塗布とEBRを済ませた基板をホットプレートなどで加熱します。冷却して温度をそろえ、露光へ送ります。脱水ベークは塗布前の基板を、PABは塗布後のレジストを処理します。

どこを管理しますか?

温度、加熱時間、プレートとの熱接触、膜厚を管理します。厚い膜ほど溶剤が抜けにくく、表面が乾いても内部に溶剤が残ります。4〜5µm程度以上の厚膜では蒸発の速さの制御が特に重要で、とても厚い膜では温度を段階的に上げる複数回のベークを使うことが多くなります。

3件を表示
  1. 1
  2. 2
    SEAJ 半導体製造装置用語集seaj.or.jp ・ 2026年10月12日閲覧 ↩
  3. 3
    Integrated Micro Materialsimicromaterials.com ・ 2026年10月12日閲覧 abc