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実験計画法(DOE)とは

実験計画法(DOE)とは、どの条件をどの順番で何回試すのかを実験の前に定めておき、切り詰めた回数で要因ごとの効果を切り分ける方法です。 データが出てからの解析よりも前の段階を組み立てる方法だと考えると近くなります。半導体の工程では、条件を1つ試すたびにウェーハと装置の時間が出ていきます。回数を削るほど費用は下がり、そのぶん交互作用と誤差を見る目が粗くなります。どこまで削れるかは、調べたい交互作用の数と、誤差をどこまで見積もりたいかで決まります。

回数を先に決め、順番を混ぜ、差を検定する

Section titled “回数を先に決め、順番を混ぜ、差を検定する”

実験計画法は、管理された因子(要因)の水準のもとで得た実験データから、因子の水準の差の推定や検定を行う枠組みです1。実験には反復、無作為化、局所管理の3つが要り、これをフィッシャーの三原則と呼びます。

割り付けの道具として広く使われているのが直交表で、任意の2つの因子(列)について、その水準のすべての組合せが同数回ずつそろう性質をもつ2、実験のための割り付け表です。表記には L の記号を使い、行数が実験の大きさを、かっこの中が水準数と列数を表します。行数から1を引いた値を水準数から1を引いた値で割ると、列数になります。

直交表L8なら、7因子128回が8回になる

Section titled “直交表L8なら、7因子128回が8回になる”

工程数が数百にもなるLSIのようなデバイスでは、全工程について条件出しを行い、連続して動かしたときにきちんと作れるところまで調整する必要があり、人の経験だけに頼るには限界があります3。洗浄工程ひとつを取っても、洗浄液の温度や成分、洗浄時間や手順といった条件を定める必要があります。製品デバイスの製造に使うウェーハ以外のダミーウェーハとQCウェーハは、まとめてNPWと呼ばれ、装置の総合効率を上げるにはNPWに費やす時間も減らす必要があります4。実験の回数を減らすことは、この分母を守ることでもあります。

多元配置の実験では少なくとも因子の水準数の積の回数だけ実験が要り2、因子数が多くなると実験回数が膨大になります。求める交互作用が数えるほどであれば、直交表を使うことで多くの因子の実験を比較的わずかな回数で行えます。

2つの水準を持つ因子が7つある場合、総当たりでは2を7回かけた128回です。上の関係にあてはめると、8行の2水準系直交表であるL8は7列を持ち、7つの因子をこの7列へ割り付ければ8回で済みます。128回と8回を比べると、回数は16分の1です。応用統計学の公開記事も、8行7列の2水準直交表L85を表として示しています。

実験の回数
総当たり 128回直交表L8 8回16分の1
7つの因子を2水準で総当たりすると128回、直交表L8に割り付けると8回です。1マスが1回の実験にあたります。

装置は動き続けるので、順番を混ぜて日をブロックに取る

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装置は、同じレシピを流し続けても内側が少しずつ動きます。ここが半導体の工程で実験計画法が力を持つ場所です。因子Aの水準1を午前にまとめて流し、水準2を午後にまとめて流すと、出てきた差が水準の差なのか、その間に進んだ装置の変化なのかを、後から切り分ける手立てを失います。

無作為化は、実験の順序から来る条件差や測る人の慣れといった誤差を偶然誤差へ移す1ために要る原則です。反復は推定値の精度向上と誤差の測定に要り、局所管理では実験ブロックの中での管理と実験順序の無作為化を行います。1日にできる実験の回数が機材や結果を得るまでの時間の関係で限られる場合に、各ブロックの中で水準を無作為な順序に割り付ける実験を乱塊法と呼びます。ブロックには実験日のほか、測る人や装置なども取れます。乱塊法ではブロック間の誤差変動を分離でき、要因効果の推定と検定の精度が上がります。装置と日をブロックに取る発想は、そのまま現場の言葉になります。

12回の並べ方
装置の変化まとめて流す日で区切り、中で混ぜる1日目2日目3日目実験の順温度1温度2温度3温度4
同じ温度をまとめて流すと、装置の変化が温度の差に重なります。1日を1ブロックにして中で順番を混ぜると、日ごとの差をまとめて取り除けます。

効果の有無は、分散比で確定する

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材料は分散分析表です。要因ごとに平方和、自由度、不偏分散を並べ、要因側の不偏分散を誤差側の不偏分散で割って分散比を求めます。式そのものより、何を比べているのかが大事です。分散比は、水準を変えたときに動いた分が、そのままでも揺れる分に比べてどれだけ大きいかを表します。

乱塊法の例では、ある合成反応の反応温度4水準を、1日に4回ずつ3日かけて調べています。分散比は10.94で1、有意水準5%のときの基準値4.76を上回ったため、4つの温度水準の効果に有意差が認められました。実験全体はわずか12回です。

その先は、分散比を確かめながら、有意でない要因を誤差項へ組み入れるプーリング2を行います。日科技研の例では、ある薬品の収量に効きそうな要因をL16に割り付け、測定を2度ずつ行ったデータを使っています。測定に繰り返しがあると、分散分析表の下段に実験誤差と測定誤差が別々に並び、実験そのもののばらつきと測るときのばらつきを分けて見られます。最後に、有意となった交互作用DEと主効果D、Eを推定式に取り込み、すべての水準の組合せについて推定値と95%信頼区間を計算し2、最大と最小の組合せを並べます。効果の大きい要因を選び、その中で最も良い水準の組合せを探す流れです。

曲面を当てるなら、要因点に軸点と中心点を足す

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得た関係を関数のかたちで持っておく考え方もあります。応答曲面6は条件パラメータと出力の応答量の関係を表す関数で、解析や実験点のパラメータ設定に実験計画法が、関数の近似に最小二乗法が使われるのが一般的です。応答に対して複数ある因子のうちどれが大きく影響するかを解析する手法は、感度解析と呼びます。

曲面を当てる割り付けのひとつが中心複合計画です。NISTの統計ハンドブックの3因子の表では、1〜8番が要因点、9〜14番が軸点、15〜20番が中心点です7。軸点の置き方で型が分かれます。CCCでは軸点がすべての因子について指定範囲の外側に新しい端の値を作るので、計画表の設定が妥当かを確かめる必要があります7。CCIでは、指定した下限と上限を軸点に充て、要因点はその内側に計算されます7。NISTは、3因子ならBox-Behnken計画のほうが回数を少なくできる利点があり、4因子以上ではその利点がなくなるとしています。

中心複合計画の2つの型
CCCCCI要因点軸点中心点指定した上下限
CCCは軸点が指定した上下限の外へ出て、新しい端の条件を作ります。CCIは軸点を上下限の上に置き、要因点を内側へ寄せます。

回数を減らすと、交互作用と誤差の見積もりを手放す

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直交表で実験を比較的わずかな回数に収められるのは、求める交互作用が数えるほどの場合です。交互作用とは、ある因子の効果が別の因子の水準によって動くことです。

L8の列は7本なので、7つの因子をすべて割り付けると、交互作用へ回す列は0本になります。直交表への交互作用の割り付けと解析を線点図で行う方法は5、交互作用を調べる場合には列を使うことが前提です。混合系の直交表L18では、列と列の交互作用がほかの列にかなり均等にばらまかれます。一か所に溜まらずに散るぶん、特定の交互作用だけを取り出す道は細くなります。

繰り返しの側にも代償があります。反復は推定値の精度向上と誤差の測定に要るので、繰り返しを削ると、要因の効果を比べる相手である誤差そのものの見積もりが細くなります。

条件の探索をAIに任せる取り組みもある

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日立製作所は2024年に、電子顕微鏡で撮って数値化した加工形状とプロセス条件の関係をAIで解析し、最適な条件を自動で探す技術8を示しました。同社の実証実験では、初期の学習データは72条件で、1サイクルから7サイクルまでに良い形状が期待できるとして探索し実験した条件数は、順に5、14、5、7、5、7、8です。例は、溝幅750nmのパターンでの垂直加工と、溝幅と線幅が12.5nmの密なパターンでの加工最適化です。

産総研は、工程内あるいは工程間の製造条件をAIで最適化して自動化できれば、現場の省力化に大きく貢献できるとし、人が試行錯誤した過程そのものも学習データとして外に蓄積できる点を挙げています。どちらの取り組みも、実験の回数が費用であるという前提の上に立ち、回数を切り詰めたまま要因ごとの効果を切り分けるという実験計画法の目的を、道具を替えて続けています。

実験計画法とは何ですか?

どの条件を、どの順番で、何回試すのかを実験の前に定める方法です。管理された因子の水準のもとで得た実験データから、水準の差の推定や検定を行う枠組みです。

直交表とは何ですか?

任意の2つの因子(列)について、その水準のすべての組合せが同数回ずつそろう性質をもつ、実験のための割り付け表です。この性質のおかげで、ある列の水準ごとに結果を集めても、ほかの列の水準の出方が同じ回数ずつになります。

直交表を使うとどれくらい実験が減りますか?

多元配置の実験では少なくとも因子の水準数の積だけ実験回数が要り、因子数が増えると膨大になります。2水準の因子を7つ総当たりで調べると128回ですが、7列を持つ8行の2水準系直交表L8なら8回で、16分の1です。

フィッシャーの三原則とは何ですか?

反復、無作為化、局所管理の3つです。反復は推定値の精度向上と誤差の測定に要り、無作為化は実験順序から来る条件差や慣れによる誤差を偶然誤差へ移すために要ります。局所管理では、実験ブロックの中での管理と実験順序の無作為化を行います。

乱塊法とは何ですか?

1日にできる実験の回数が限られるような場合に、各ブロックの中で水準を無作為な順序に割り付ける実験です。ブロックには実験日のほか、測る人や装置なども取れ、ブロック間の誤差変動を分離して要因効果の推定と検定の精度を上げます。

効果の有無はどの数字で確定するのですか?

分散分析表です。乱塊法の例では、反応温度の4水準を1日4回ずつ3日かけて実験し、分散比10.94が有意水準5%の基準値4.76を上回ったため、温度の効果に有意差が認められました。その後、分散比の小さい要因を誤差項へ組み入れるプーリングを行い、水準の組合せごとに推定値と95%信頼区間を計算します。

実験を減らすと何を失いますか?

2因子の組合せの効果を別に取り出す余地です。直交表で回数を減らせるのは、求める交互作用が数えるほどの場合です。L8の列は7本なので、7本とも1因子ずつで埋めると、交互作用へ回す列は0本になります。また、繰り返しを削ると誤差そのものの見積もりが細くなります。

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