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装置マッチングとは

装置マッチングとは、同じレシピを流したときに複数の装置やチャンバが返す仕上がりの平均差を、そろえる作業です。 1台の中のばらつきを詰める均一性とは受け持つ量が別で、台と台の中心のずれを受け持ちます。1ロットを複数のチャンバへ振り分ける量産では、装置間差がそのままウェーハ間の差になります。そろえる作業には生産の時間がかかり、放置すれば良品率が下がるので、どこまで合わせ込むかは同じOEEの中での釣り合いで決まります。

かたよりは装置マッチングが、ばらつきは均一性が受け持つ

Section titled “かたよりは装置マッチングが、ばらつきは均一性が受け持つ”

測定の誤差は、かたよりとばらつきの2つに分かれます。かたよりは、測定を何度も行って得た平均値から真の値を引いた差です1。ばらつきは、測定値の大きさが不揃いであること、またはその不揃いの程度で、大きさは通常、標準偏差で表します。

2つは管理図でも別々に描きます。工程について得られる情報がもっとも多い管理図はX-R管理図で、平均値のかたよりの異常を監視するX管理図と、ばらつきの異常を監視するR管理図を通常セットで使います。装置マッチングはX管理図の側、均一性はR管理図の側にあたります。

かたよりと広がりは別の量
装置A装置B装置C装置D合わせ込み前合わせ込み後基準基準かたより広がり=均一性
合わせ込みは各装置の山の中心を基準へ移す作業で、山の幅は変わりません。中心のずれがかたよりで装置マッチングが受け持ち、幅は各装置の均一性が受け持ちます。

1ロットが複数のチャンバへ流れると、装置間差がウェーハ間差になる

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量産の現場では、同じ工程に同型の装置が複数並びます。1984年にGeneral SignalsのDrytechが4チャンバーの枚葉ドライエッチ装置を開発し2、1987年にはApplied Materials(AMAT)が枚葉式のマルチチャンバー型プラットフォームPrecision 5000を採用して、CVDやドライエッチングのチャンバを載せられるようにしました。プロセスチャンバを複数持つ方式は、この時期に本格化しました。1つのロットのウェーハは、こうした複数のチャンバへ振り分けられて流れます。

装置間差がウェーハ間差になる
ロットチャンバAチャンバBチャンバCチャンバD基準仕上がりウェーハ間差ロット内のウェーハの順 →
1ロットを4つのチャンバへ振り分けると、各ウェーハの仕上がりは処理したチャンバのかたよりを持ち込みます。チャンバ間の平均差が、そのままロット内のウェーハ間差として測定されます。

装置の中でも同じことが起きます。CMPの均一性の1つに、条件をそろえたうえで研磨ヘッドを変えて磨いたときのヘッド間均一性があります3。チャンバやヘッドごとに平均が離れていると、その差はロットの中のウェーハ間の差として測定されます。チップ間で起きるグローバルばらつきはウェーハ間、ロット間へ細分する場合があり4、装置間差はこの層へ入り込みます。チャンバー間とウェーハ間のばらつきを1つの標準偏差にまとめてしまうと、どの階層でドリフトが起きたのかが分からなくなります。

この差は設計側の余裕も削ります。リソグラフィのプロセスマージンには、一般にドーズ、フォーカス、アライメントのばらつきに加えて装置間差が考えられています5。マージンを配る側から見れば、装置間差は最初から差し引かれる項目です。

測る側の装置も、そろえる対象です。オーバーレイ計測では、異なる計測装置がほぼ同じ層の位置合わせの値を返す必要があるため、KLA-Tencorはマッチングをオーバーレイ計測で欠かせない指標と位置づけています6。同社は計測装置Archer 200について、装置マッチングの仕様が前世代のArcherより50%以上改善し、生産性は25%高いとしています。光の通り道を設計し直して通る光を増やし、カメラ制御のアルゴリズムで動作を速めて雑音を下げ、測定を速くしたとも説明しています。

基準を1つ決め、ずれを測って補正し、周期的に繰り返す

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基準を1つ決めて、そこからのずれを測り、補正します。この手順は計量の世界の校正と同じです。平均としてどれだけずれているかを知るために行うのが校正で7、値がより正確に分かっている上位の標準を基準にして、下位の標準や測定値のずれを調べます。このずれを補正すれば、かたよりを取り除いた測定になります。1回ごとの校正でかたよりをどれだけの不確かさで推定したかを積み重ねると、国家標準に対するかたよりの正確さが分かるので、各校正の不確かさを明確にしておくことがトレーサビリティの必要条件です。装置マッチングは、この考え方を製造装置へ当てはめた作業です。

繰り返しの周期も同じ理由で要ります。トレーサビリティの方針では、校正を適切な間隔で繰り返し、その間隔の長さは、求める不確かさの水準、使う頻度、使い方、装置がどれだけ安定しているかといった要因に依存します。製造装置も消耗品の交換や経時変化を受けるため、合わせ込みは定期の作業として回り続けます。

合わせ込みは周期のある作業
合否の上限基準値合否の下限再調整再調整装置A装置B放置すると上下限へ仕上がりの平均時間 →
同じレシピのままでも装置Aと装置Bの平均は反対方向へ離れていき、再調整のたびに基準値へ戻ります。放置した区間では合否の上下限に達するので、合わせ込みは周期的に回します。

ずれは管理図で拾い、AECとAPCで補正を回す

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ずれを見つける仕組みは統計の側にあります。SPC(統計的プロセス管理)は、製造工程の各測定工程で集めたデータをコンピュータへ送り、統計の手法にかけて、製造条件や測定データのばらつきの傾向を管理する手法で8、その規格としてWestern Electric RulesのWE1からWE10までがあります。管理図の判定基準にも、管理限界線を越えた1点に続けて、中心線の片側に連続した9点、連続して増加または減少する6点といった項目が入っています。片側に9点続くというパターンは、装置がゆっくり基準から離れていく動きを拾うための基準です。

自動で補正まで回す仕組みのうち、AEC(Advanced Equipment Control、最適装置制御)は、製造装置のプロセスや装置の状態をセンサ等でモニタリングし、フィードフォワードとフィードバックによる診断および制御で装置を安定させ、装置状態を最適化する制御手法です5。AECは個々の装置を受け持つ制御で、APCはプロセスモジュール全体や、複数のモジュールをまたぐ範囲を受け持つ制御です。装置マッチングは、この区別でいえばAECの側から始まり、複数台をそろえる段階でAPCの側へ渡ります。

合わせ込みは時間を、放置は良品率を削る

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合わせ込みの代償は、生産に回せる時間です。設備総合効率OEEは時間稼働率×性能稼働率×良品率で、停止ロスには故障、段取り、調整、治工具交換が含まれます5。装置をそろえるための測定と調整はこの停止ロスに入り、時間稼働率を下げます。装置の台数が増えるほど、そこへ費やすウェーハと時間も増えます。

装置ごとに補正値を持たせるほど、レシピの版も装置の台数だけ増えます。AECの機能であるレシピや装置パラメータの自動最適化は、その版を人手から機械へ移す仕組みでもあります。レシピの側にも備えがあり、装置の共通化とAPCの適用をしやすくするレシピの構造がSEMI標準のE139などで規定されています。装置共通にリモートでレシピを編集し、レシピ本体を保管して処理の開始ごとに読み込み直す管理システムは、不注意によるレシピ内容の変更が招くスクラップを防ぎます。

緩める側の代償は、均一性の努力が埋もれることです。装置間差を残したままにすると、面内の分布を詰めた効果が、ロットの中のウェーハ間の差に飲み込まれます。損失は良品率が下がる形でOEEに戻ってくるので、合わせ込みに使う時間と、装置間差を残す損失は、同じ指標の中で釣り合わせる関係になります。

装置マッチングとは何ですか?

同じレシピを流したときに、複数の装置やチャンバが返す仕上がりの平均差をそろえる作業です。測定値の平均が基準からどれだけずれているか、つまり装置ごとのかたよりをそろえる側の作業にあたります。

均一性とはどう役割が異なりますか?

受け持つ量が異なります。均一性は1台の中の広がり、装置マッチングは台と台の中心のずれにあたり、管理図でいえばばらつきを見るR管理図と、平均のかたよりを見るX管理図の関係です。

装置間差はどこで問題になりますか?

1ロットを複数の装置やチャンバへ振り分ける量産で、ロットの中のウェーハ間差として現れます。リソグラフィのプロセスマージンでも、ドーズ、フォーカス、アライメントのばらつきに加えて装置間差が考えられています。

同じ装置の中でも差は生じますか?

生じます。CMPの均一性の1つに、条件をそろえたうえで研磨ヘッドを変えて磨いたときのヘッド間均一性があります。プロセスチャンバを複数持つ方式は1980年代に本格化し、1台の中にもそろえる相手ができました。

合わせ込みはどうやって行いますか?

基準を1つ決め、そこからのずれを測って補正します。上位の標準を基準に下位の標準や測定値のずれを調べ、補正してかたよりを取り除く校正の考え方を、製造装置へ当てはめた作業です。

一度合わせれば済みますか?

周期的に繰り返します。校正の間隔は、求める不確かさの水準、使う頻度、使い方、装置の安定のしかたで決まり、製造装置も消耗品の交換や経時変化を受けるため合わせ込みが定期の作業になります。

マッチングを厳しくすると何を失いますか?

生産に使える時間を失います。OEEは時間稼働率×性能稼働率×良品率で、合わせ込みの時間は時間稼働率を、装置間差の放置は良品率を下げるので、両方を同じ指標の中で釣り合わせます。

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