電子ビーム検査とは
電子線検査とは、細く絞った電子線でウェーハの表面を走査し、返ってきた電子の量を各点の明るさへ置き換えて像を作り、その像から欠陥を探す検査です。 形の異常に加えて、電気の通り道がつながっているかどうかの違いまで像に出るところが、光を使う欠陥検査との違いです。
SEM像は、電子スポットの各点から返る信号電子の量でできる
Section titled “SEM像は、電子スポットの各点から返る信号電子の量でできる”走査電子顕微鏡は、電子線を試料に当てて表面を観察する装置です1。電子銃で発生させた電子線を集束レンズと対物レンズで試料上の電子スポットへ絞り、走査コイルがそのスポットを試料上で動かします。検出器が照射点から発生した信号電子を検出し、その量を各点の明るさとして表示したものがSEM像です。加速電圧は、一般的な装置で数100Vから30kV程度です。
二次電子の発生量は、試料の材質、形状、電位状態によって変化します2。3つ目の電位状態が、検査としての電子線の持ち味です。二次電子のエネルギーは50eV以下とすることが多く、金属試料で二次電子が試料表面から飛び出せる深さは5〜10nmです3。像へ届くのは、それだけ表面に近い層からの信号です。
同じ形でも、電位が違えば像の明るさが変わる
Section titled “同じ形でも、電位が違えば像の明るさが変わる”電位コントラストは、試料上の電位差によって二次電子の検出効率が変化して生じるコントラストです4。電位が高い場所では検出器との間にできる電界が弱まるので、二次電子が拾われにくくなって暗く写ります。電位が低い場所では逆に電界が強まって明るく写ります。これを利用して、LSIなどの回路の動作状態を調べられます。
コンタクトプラグの底が下の層の手前で止まっている場合や、配線がどこかで切れている場合、上から形だけを追うと健全なものとの差はわずかです。ところが電気の通り方が違えば電位の状態が変化するので、像の明るさに差が出ます。
光は波長で、電子線はスポットの大きさで分解能が決まる
Section titled “光は波長で、電子線はスポットの大きさで分解能が決まる”どちらも像を作って欠陥を探しますが、分解能の上限を握るものが異なります。光学式検査装置の光源には波長365nmの紫外線と、波長248nmおよび266nmの遠紫外線が使われ、高分解能の検査装置が要求されて短波長化が進んでいます2。光の側は、波長を短くする方向で細かさを稼いできました。
電子線の側は、分解能が試料上の電子スポットの直径で決まり、スポット径が小さいほど分解能が高くなります1。小さなスポットを作るには電子源の輝度を高くする必要があり、電界放出形の電子源はタングステンフィラメント形の約1000倍の高輝度が得られて、1nm以下の極めて小さいスポット径を実現します。
検出した座標は、レビューと分類を経て歩留まりの管理へ渡る
Section titled “検出した座標は、レビューと分類を経て歩留まりの管理へ渡る”検査が返すのは、まず座標です。欠陥レビューは、ウェーハ検査装置が検出した異物や欠陥の形状や成分をより詳しく観察し、分類し、分析することです2。自動欠陥レビューは検査で得た座標などをもとに自動で欠陥画像を取得してデータベース化し、自動欠陥分類はその画像を発生原因ごとにクラス分けして、歩留り管理システムや工場ホストへ上げます。
歩留り管理システムは、歩留りモニタと欠陥検査から解析までをひとつながりにし、欠陥が出た工程へのフィードバックや、APCによる装置レシピへのフィードフォワードを行いながら歩留まりを管理し向上させる統合システムです。電子線で撮った1枚の像は、そのまま工程の設定へ渡ります。
装置の側では、寸法を測る用途と欠陥を詳しく観察する用途が近い技術の上に載ります。アドバンテストは、走査電子顕微鏡の技術を応用して、フォトマスクやウェーハ上の配線パターンなどの微細な表面構造を高精度かつ安定的に測定しレビューする製品として5、測長SEMと欠陥レビューSEMを出しています。
像を得る代償は、点ごとの走査と真空と帯電
Section titled “像を得る代償は、点ごとの走査と真空と帯電”第一に、点で測ります。SEM像は走査コイルが電子スポットを動かしながら各点の信号を集めて作られるので、測る面積が広がれば、動かす点の数もそれだけ増えます。
第二に、真空と設備を用意します。電子源から出た電子がガス分子との衝突を避けて試料へ届くには真空が必要で、本体は真空ポンプで真空状態に保ちます1。電界放出形の電子源を動かすには電子銃を超高真空にする必要があり、専用の真空ポンプが要ります。分解能を稼ぐほど、それを支える設備が大きくなります。
第三に、当てた場所が帯電します。電位コントラストは、非導電性の試料を観察するときに帯電が生む異常な明暗の原因にもなります4。像を作る仕組みが、そのまま像を乱す原因にもなります。電子線照射による帯電を避けるため、試料表面へ導電性を与える下ごしらえも行われます。測長SEMでは、非導電性の試料を相手にするため1kV以下の低加速電圧が使われ、これにより試料の損傷も防いでいます6。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”電子線検査とは何ですか?
細く絞った電子線でウェーハの表面を走査し、そこから返ってくる信号電子の量を各点の明るさへ置き換えて像を作り、その像から欠陥を探す検査です。この走査と像の作り方は、走査電子顕微鏡の基本です。
光を使う検査とどこが異なりますか?
分解能の上限を握るものが異なります。光学式検査装置の光源には波長365nmの紫外線や波長248nmと266nmの遠紫外線が使われ、高分解能の装置が要求されて短波長化が進んでいます。電子線の側は、試料上の電子スポットの直径が分解能を左右します。
電位コントラストとは何ですか?
試料の上の電位差によって二次電子の検出効率が変化し、像に生じる明暗のことです。電位が高いと検出器との間の電界が弱くなって暗くなり、電位が低いと電界が強くなって明るくなります。
表面の形から判別しにくい欠陥も分かりますか?
電位の違いとして表に出るものは分かります。二次電子の発生量は試料の材質と形状に加えて電位状態でも変化するので、形の上では判別しにくい導通の違いが、像の明るさの差になります。
分解能は何で決まりますか?
試料上の電子スポットの直径で決まり、スポット径が小さいほど分解能が高くなります。電界放出形の電子源はタングステンフィラメント形の約1000倍の輝度が得られ、1nm以下のスポット径を実現します。
試料が帯電するとどうなりますか?
像が乱れます。電位コントラストは、非導電性の試料を観察するときに帯電が生む異常な明暗の原因にもなります。電子線照射による帯電を避けるため、試料表面へ導電性を与える下ごしらえも行われます。
検出した欠陥はその後どうなりますか?
座標をもとに詳しく観察され、分類されて工程へ渡ります。欠陥レビューで異物や欠陥の形状や成分をより詳しく観察し、分類し、分析して、分類された情報を歩留り管理システムや工場ホストへ上げます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”6件を表示
- 1日本分析機器工業会:走査電子顕微鏡(SEM)の原理と応用(2015年)jaima.or.jp abc
- 2日本半導体製造装置協会:半導体製造装置用語集(計測)seaj.or.jp abc
- 3日本電子:用語集 二次電子jeol.co.jp ↩
- 4日本電子:用語集 電位コントラストjeol.co.jp ab
- 5アドバンテスト:測長SEM/欠陥レビューSEMadvantest.com ↩
- 6日本電子:用語集 測長SEMjeol.co.jp ↩