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電子ビーム検査と計測、役割は製品ごと|eSL10は欠陥、PROVision 10は寸法

電子ビーム(e-beam)を使う装置でも、KLAのeSL10とASMLのHMI eScan 1100は欠陥を探す検査装置で、Applied Materials(AMAT)のPROVision 10は寸法と位置を測る計測装置だ。各社の製品ページはそう分類している。検査は「どこに欠陥があるか」を返し、計測は「線幅や層どうしのずれが何nmか」を返す。そのため測った値の返し先も、欠陥源の切り分けと、露光やエッチングの条件の補正とに分かれる。

この区別は会社ではなく製品につく。AMATは欠陥検査のPrimeVision 10と、見つかった欠陥を撮り直すレビュー装置のSEMVisionも持つ。ASMLのHMI eP5は寸法計測と欠陥検出を1台で行う。電子ビームの装置を比べるときは、会社名より先に、その製品が検査・レビュー・計測のどれに当たるかを確かめる必要がある。

検査・計測装置は、欠陥・膜厚・寸法・重ね合わせのどれかを測って前の工程へ返す

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検査・計測装置とは、ウェーハ上の欠陥、膜厚、CD(線幅などの寸法)、重ね合わせ誤差のどれかを測り、その値を露光、エッチング、成膜、CMPのどれかへ返す装置群だ。検査は欠陥の有無と位置を返し、計測は寸法や膜厚の数値を返す。4社の代表的な製品を工程の順に並べると、図1のようになる。

図1工程位置と測定値の返し先
工程位置測る対象と製品測定値を返す先受入ウェーハパターンなしウェーハの欠陥KLA Surfscan SP7 XP受入・出荷の品質管理成膜後膜厚と光学定数SCREEN RE-3500膜厚と膜質の管理露光後エッチング前重ね合わせASML YieldStar 375F / KLA Archer 750露光機の管理と補正エッチング後などパターン欠陥KLA eSL10歩留まり問題の原因調査多層構造多層の寸法とパターン端の位置Applied Materials PROVision 10パターン形成の精度管理インラインパターン欠陥と電気的欠陥SCREEN ZI-3600 / ASML HMI eScan 1100インラインの欠陥監視
4社の代表的な製品を、この記事で工程の順に並べると、測る対象と返す先の組み合わせが製品ごとに違う。行の順と、工程位置の記述がないArcher 750の行は、この記事の配置だ。

受入ウェーハでは、KLAのSurfscan SP7 XP1がパターンのないウェーハの欠陥を見る。KLAは用途に受入と出荷のウェーハ品質管理を挙げる。成膜後には、SCREENのRE-35002が膜厚と光学定数を同時に測る。露光後・エッチング前には、ASMLのYieldStar 375Fが3、エッチング前の重ね合わせとフォーカスを回折光で測る。KLAのArcher 750は4、7 nm以下のロジックと先端メモリー向けに、画像で重ね合わせ誤差を測る光学の計測装置だ。エッチング後のパターン欠陥はKLAのeSL10が探し、多層の寸法とパターン端の位置はAMATのPROVision 10が測る。SCREENのZI-36005は1 µm以下の欠陥を見つけるパターン検査装置で、寸法と重ね合わせの測定機能を追加できる。

電子ビームの装置は、欠陥を探す検査、欠陥を撮るレビュー、寸法を測る計測に分かれる

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KLAの講演者は2026年3月のInvestor Dayで、広帯域プラズマ光源の光学検査と電子ビーム検査の処理量の差を約1,000倍と表現した6。AMATによれば、従来は光学でウェーハを走査して欠陥の候補を探し、その候補を電子ビームで詳しく調べてきた7。各社の製品ページの記述を返す値で並べると、次の表になる。

役割返す値製品の例
欠陥検査欠陥の有無と位置KLA eSL10、ASML HMI eScan 1100、AMAT PrimeVision 10
レビュー光学検査が見つけた候補の高分解能画像と分類AMAT SEMVision H20、KLA eDR7380
計測寸法、パターン端の位置、重ね合わせの数値AMAT PROVision 10
検査と計測の両方寸法の数値と欠陥ASML HMI eP5
図2同じ e-beam、2つの出口
同じ電子ビームでも、製品ページの分類は2つ電子ビームをウェーハへ当てる欠陥検査:欠陥の有無と位置KLA eSL10ASML HMI eScan 1100返す先:欠陥源の切り分け    インラインの欠陥監視計測:寸法と位置の数値Applied Materials PROVision 10測る値:多層の寸法とパターン端の位置対象:2 nm世代ロジック、GAA、HBM、裏面電源
同じ電子ビームでも、eSL10とHMI eScan 1100は欠陥の有無と位置を、PROVision 10は寸法と位置の数値を返す。

電子ビームの欠陥検査は、光学で見えない欠陥を探して欠陥源の切り分けへ返す

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KLAはeSL10を8、他の検査装置で見つからない欠陥を捕らえるパターン付きウェーハの欠陥検査装置と説明する。二次電子と反射電子を1回の走査で同時に集め、表面の形と材料の違いと深い溝の底の欠陥を一度に見る。対象の層には、エッチング後のチャネルホールや溝、エピタキシャル成長、CMP、EUVの現像後などを挙げ、重要な歩留まりと信頼性の問題を解く時間を縮めるとする。

ASMLのHMI eScan 1100は9、25本の電子ビームを同時に使う欠陥検査装置で、単一ビームの装置に比べて処理量を最大15倍にしたとASMLは説明する。電位コントラストでオープン、ショート、リークといった電気的な欠陥を、物理的な検査で7 nmまでのパターン欠陥を見つける。設計データと照らす機能で、EUVマスクの欠陥がウェーハに写っていないかも監視できる。

AMATも電子ビームの欠陥検査装置を持つ。2022年12月に出したPrimeVision 10は10、GAAトランジスタや深い穴のあるメモリーの中に埋もれた欠陥を見つける。同社によれば、熱電界放出の電子銃を使う検査装置に比べて最大10倍速く画像を撮れる。どの電子ビーム検査の装置も、返す値は欠陥の位置と種類で、その値は欠陥がどの工程で生まれたかの切り分けに使われる。

レビューは、光学検査が見つけた欠陥の候補を撮り分ける

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レビューは、光学の検査装置が見つけた欠陥の候補を電子ビームで撮り直し、本物の欠陥と誤検出を分けて種類ごとに数える作業だ。AMATは2025年2月に出したSEMVision H20について7、最先端の世代では光学検査の欠陥マップが密になり、レビューに回す候補が最大100倍に増えうると説明する。H20は深層学習で候補を空洞、残渣、傷、粒子などに分ける。AMATはSEMVisionの系列を、最も先進的で広く使われる電子ビームのレビュー装置としている。KLAのeDR7380も1、欠陥の高分解能画像を撮り、機械学習で自動分類して欠陥の内訳を出すレビュー装置だ。

電子ビームの計測は、多層の寸法とパターン端の位置を数値で返す

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AMATのPROVision 10は11、サブナノメートルの分解能で毎時最大1億点を測る電子ビーム計測装置だ。反射電子の95%を集める検出器で、複数の層の寸法とパターン端の位置を同時に測る。高いエネルギーでは数百nm下の層まで写し、低いエネルギーではEUVのレジストのような壊れやすい膜を測る。対象には2 nm世代のロジック、GAA、DRAMとHBM、裏面電源を挙げる。この装置の仕組みと、光学の目印と素子のずれの差はPROVision 10の解説にまとめた。

ASMLのHMI eP5は12、寸法計測と欠陥検出を1台で行う。ASMLによれば、寸法の測定精度は0.1 nm未満で、5 nmまでの欠陥を見つける。同じASMLでも、eScan 1100は検査、eP5は計測と検査の両方を受け持つ。量産では、電子ビームの計測値は光学の重ね合わせ計測を補正する基準として使われており、その組み方は電子ビームと光学の重ね合わせ計測の役割で扱った。

光学の重ね合わせ計測は、現像後の値を露光機へ返す

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2023年のSPIE論文を読んだ前出の解説によれば、露光機の補正の主な入力は現像後の光学の重ね合わせの値だ。ASMLのYieldStar 375Fは、露光後・エッチング前の重ね合わせとフォーカスを測り、塗布現像装置に組み込む型と単体の型がある。ASMLは、露光機が全ウェーハで測る位置データとYieldStarの値を組み合わせる計算計測のオプションで、重ね合わせの性能を10〜20%改善できるとする3。KLAはArcher 800について、露光機の高次補正に向けて測定点を増やせると説明する。重ね合わせのずれを現像後とエッチング後のどちらで測り直すかは、重ね合わせのずれを測り直す時点と装置で比べた。

検査・計測装置の市場では、KLAが自社の資料で2024年のシェアを56.5%としている。AMATは電子ビーム装置、日立ハイテクはCD-SEMで首位を名乗り、各社の数字と集計の範囲は検査・計測装置の市場シェアで並べた。

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