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オーバーレイ計測を電子ビームで補正|先端CMOS量産の例、2023年SPIE論文

2023年のSPIE論文によれば、先端CMOSの量産で電子ビーム計測は、光学の重ね合わせ計測を置き換えるのではなく、その値を補正する基準として使われている。重ね合わせ計測とは、上の層のパターンが下の層からどれだけずれたかを測ることを指す。量産では、現像の直後に光学の装置がスクライブの目印を測り、エッチングの後に高加速SEMが素子そのものを測って、目印と素子の差を光学の値へ足す補正値を作る。Applied Materials(AMAT)も、HBMについての技術ブログで電子ビーム計測を光学の装置と組んで精度を出すもの1と位置づけている。

しかし両者の境目は動いている。同じ論文は、電子ビームで選んだ層については現像の直後にも素子の上で測る性能が市場の要求に届いた2と報告した。製品ページでは、KLAとASMLが光学の計測を素子に寄せ、AMATと日立ハイテクが重ね合わせを測る電子ビーム装置の速さと深さを上げている。PROVision 10の仕組みと、目印と素子に差が出る理由はPROVision 10の解説にまとめた。

先端CMOSの量産の補正で、電子ビームは光学の値のずれ方を測る

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露光した層の位置ずれ(重ね合わせ)は、長く光学の装置で測られてきた。2023年のSPIE論文によれば、現像後に光学顕微鏡で目印を読む重ね合わせ計測が露光の制御の標準だった2。世代ごとに許容が狭まると、光学の値には精度を補う基準のデータが要るようになった。そこで業界は、エッチング後に高加速SEMで素子の上の重ね合わせを測り、目印と素子の差をノンゼロオフセット(NZO)またはミスリーディング補正(MRC)として露光に返すようになった。論文は、この素子上の測定が先端CMOSの量産で広く採用されていると書く。

重ね合わせの補正の流れ。露光、現像後、エッチング、エッチング後の4工程を並べ、現像後に光学計測でスクライブの目印を、エッチング後に電子ビーム計測で素子の上を測る。両者の間は数日から2桁の日数。電子ビームの値は目印と素子の差(NZO・MRC)となって光学の値に足され、露光機の補正として露光へ戻る。
SPIE論文が書く補正の流れでは、露光機の補正の主な入力は現像後の光学の値で、エッチング後の電子ビームの値は目印と素子の差として光学の値に足される。

3D NANDについては、2021年のSPIE論文がある。深いエッチングで目印の形が崩れ、光学の値がぶれる問題に対し、高加速SEMを光学の目印の測定条件を選ぶ基準計測3に使った。高加速SEMは埋もれた構造を写せるので、スクライブの目印と素子の中の目印の両方を測り、2つの値をつなげられる。どちらの論文でも、露光機へ返す値の中心は光学で、電子ビームはその値の正しさを確かめる役にある。

ASMLとKLAは、速さと測定点数を光学の役割に置く

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ASMLは2023年のeBeam Initiativeでの講演で、ウェーハ全体の重ね合わせは速い光学計測で、局所的なパターン端のずれは視野の広い電子ビームで測る4構成を示した。同じ講演は、露光機の高次の補正には10万点を超える測定が要るとする。KLAは光学の重ね合わせ計測装置Archer 800について、高次の露光補正に向けて測定点を増やせ、インラインで監視できる処理能力がある5と説明する。

時間差もある。エッチング後のSEMの値は、2023年の論文によれば、同じウェーハの現像後の光学計測から数日から2桁の日数2遅れて出る。論文は、重ね合わせの補正の輪をもっと速く閉じる必要が高まったと書く。ベンダーの構成とこの時間差を合わせると、光学が露光の補正の中心に残る理由は、速く多くの点を測れることと、現像の直後に値が出ることにあると考えられる。

光学の側では、KLAは目印を素子に寄せ、ASMLは素子の上を測るとうたう

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KLAは、Archer 800の新しい目印の設計rAIMとアルゴリズムで、目印と素子の重ね合わせの相関を高めたとする5。これは目印の側を素子に似せる方法だ。同社の散乱計測(スキャトロメトリ)方式の重ね合わせ計測装置ATL100はダイの中に置く小さなピッチの目印を扱え、寸法と形を測るSpectraShape 12kは測定項目に素子上の重ね合わせを挙げる。

ASMLの光学装置YieldStar 1390について、同社は製品ページでエッチング後に素子の構造の上で重ね合わせを直接測り、しかもSEMより速いとうたう6。

電子ビームの側では、重ね合わせ用の装置が速さと深さを上げる

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各社の製品ページと発表を、重ね合わせを測る装置と、寸法や欠陥を測る装置に分けると次のようになる。

用途会社装置製品ページ・発表が挙げる点
重ね合わせApplied MaterialsPROVision 10(2025年10月)冷陰極電界放出の電子銃、従来の電子銃比で撮像速度最大10倍、素子上の重ね合わせ
重ね合わせ日立ハイテクCV7300加速電圧60 kV、先端DRAMとロジックの重ね合わせ、処理能力は前の機種比で約20%向上
寸法日立ハイテクGT2000(2023年12月)CD-SEM、3Dデバイス向けの高感度な反射電子の検出系、High-NA EUV向けの高速多点計測
寸法・欠陥ASMLHMI eP5電子ビームの寸法計測と欠陥検出、12,000×12,000画素の視野

AMATはPROVision 10を、冷陰極電界放出(CFE)を使う業界初の計測装置で、従来の熱電界放出に比べて撮像速度を最大10倍にし、素子の上で直接重ね合わせを測る7と発表した。日立ハイテクの高加速CD-SEM、CV7300は60 kVの加速電圧で先端DRAMとロジックの重ね合わせを測り、処理能力を前の機種より約20%上げた8。

寸法と欠陥の側では、日立ハイテクが2023年12月発売のCD-SEM、GT2000に反射電子を効率よく集める検出系を載せ、穴底や溝底の計測に向けた9。ASMLのHMI eP5は寸法計測と欠陥検出を1台で行い、12,000×12,000画素の広い視野で走査の速さを稼ぐ10。ASMLは光学のYieldStarと電子ビームのHMIの両方を製品に持つ。

SPIE論文は、現像後の電子ビーム計測を選んだ層で示した

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2023年のSPIE論文は、ランディングエネルギーとビーム電流を上げ、測定の不確かさを減らした電子ビームで、現像後のSEM計測が選んだ層について市場の要求を満たす性能を示したと書く。同じパターンを現像後とエッチング後にSEMで測ると、目印と素子の差と、現像後からエッチング後に工程で加わるずれを分けられる。電子ビームが現像後の光学の仕事に入る道筋を示したのは、この論文だ。毎時の測定数で電子ビームがどこまで伸びたかは電子ビーム計測の測定密度の記事で、裏面電源の表裏の重ね合わせでの比較は裏面電源の重ね合わせ計測の記事で扱う。

光学の目印と素子の差が縮めば、電子ビームの基準計測が補う量は減る。現像後のSEM計測が選んだ層から広がれば、光学の装置が測る層は減る。装置の種類ごとの役割は検査・計測・オーバーレイ装置の役割分担に、各社の製品の並びは検査・計測装置の比較にある。

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