PROVision 10、素子上のずれを直接計測光学との差が約2 nm仕様を超す例、AMAT
Applied Materials(AMAT)が2025年10月に発表したPROVision 10は、ウェーハの素子のパターンそのものを電子ビームで写し、寸法と層どうしの位置ずれを測る計測装置だ。工程の位置ずれは長く、ダイの間の余白に置いた光学の目印で測られてきたが、目印と素子ではずれ方に違いが出る。AMATはHBMについての技術ブログで、先端メモリー工場の文脈で複数の研究を引き、現像後の光学の重ね合わせと実際のパターン上のSEMの重ね合わせの差が、1x nm世代の約2 nmの仕様をしばしば超える1と書く。PROVision 10は、ずれを目印ではなく素子の上で直接測るための装置だ。
素子の上で測る電子ビームの値は、すでに量産の補正に入っている。2023年のSPIE論文は、高加速SEMによるエッチング後の素子上の重ね合わせ計測が、光学値と素子のずれの差を埋める補正値として先端CMOSの量産で広く採用されている2と書く。AMATはPROVision 10の対象として、GAAトランジスタや裏面電源を含む先端ロジック、次世代DRAM、3D NANDを挙げる。
電子ビーム計測は、電子の当て方で写る深さが変わる
Section titled “電子ビーム計測は、電子の当て方で写る深さが変わる”電子ビーム計測は、細く絞った電子をウェーハに当て、出てくる電子を集めて像を作り、その像から寸法や位置を求める。パターン寸法を測るCD-SEMが原型だ。像を作る電子は2種類ある。ASMLの2023年の発表資料によれば、試料の表面近くから出る二次電子はエネルギーが約50 eVと低く、数nmの浅い情報を高い分解能で運ぶ。弾性散乱で跳ね返る後方散乱電子(BSE)はエネルギーが高く、最大で数µmの深さの情報を運ぶが、出てくる量が少ない3。
装置を比べるときの主な指標は4つある。電子がウェーハに当たるときのエネルギー(ランディングエネルギー)は写る深さを決め、BSEを集める効率は埋もれた層の像の明るさを決める。分解能は見分けられる最小の形を、1時間あたりの測定数は工程の補正に回せるデータ量を決める。
PROVision 10の製品ページは、高エネルギーモードを数百nmの深さまで速く測る用途に、低エネルギーモードをEUVとHigh-NA EUVのレジストのような壊れやすい材料を傷めずに測る用途に4割り当てる。AMAT独自のElluminator技術はBSEの95%を集め、複数の層のCD(パターン寸法)とパターン端の位置を同時に測るという。
光学の目印は、素子とは別の場所と別のピッチでずれを測る
Section titled “光学の目印は、素子とは別の場所と別のピッチでずれを測る”重ね合わせ計測は、上の層のパターンが下の層に対してどれだけずれたかを測る。光学式の装置は、ダイの間の余白(スクライブ)に専用の目印を作り、その目印のずれを光で読む。AMATのHBMについての技術ブログによれば、光学式は幅が数µm以上になることが多い大きく均一な目印を必要とし、目印のピッチは素子の最大10倍になる1。同じブログは、このピッチの違いが目印と素子の誤差を生むと説明する。
HBMでは、この差がさらに広がるとAMATはみる。HBMは複数のDRAMダイを縦に積んだメモリーで、HBM3EのDRAMダイは同じ容量のDDR5のダイの約2倍の大きさになる1。ダイが大きいとウェーハ上のスクライブの面積が減り、大きな光学の目印を置く余地も減る。同じブログは、そのぶん素子の上で測る点を増やす必要があるとし、積んだダイのどれか1つが規格を外れるとスタック全体が不良になるので、積む前に各ダイが品質の要求を満たすよう寸法と位置合わせを厳しく管理すると書く。
先端CMOSの量産では、素子の上の電子ビームの値で光学の値を補正してきた
Section titled “先端CMOSの量産では、素子の上の電子ビームの値で光学の値を補正してきた”光学の目印の値と素子のずれの差は、露光機の補正で差し引かれてきた。2023年のSPIE論文によれば、業界はエッチング後に高加速SEMで素子の上の重ね合わせを測り、目印と素子の差をノンゼロオフセット(NZO)またはミスリーディング補正(MRC)と呼ぶ補正値2として露光に返している。論文は対象を先端CMOSのデバイスとし、決め手は積層の中の関係する層をすべて1枚の像に写せることだという。メモリーについては、AMATのHBMのブログが、先端DRAMではSEMによる重ね合わせ計測がすでに光学計測の重要な補完になったと書く。3D NANDでは、2021年のSPIE論文が高加速SEMをスクライブの光学の目印の測定条件を合わせる基準計測5に使った。
この補正には時間差がある。同じ論文によれば、現像後の光学計測とエッチング後のSEM計測の間は、工程の複雑さに応じて数日から2桁の日数2開く。論文は、重ね合わせの補正の輪をもっと速く閉じる必要が高まったとし、ランディングエネルギーとビーム電流を上げた電子ビームで、選んだ層については現像後のSEM計測が市場の要求を満たす性能を示したと書く。そのうえで、目印と素子の差と、現像後からエッチング後に工程で加わるずれを分けて示し、これを正しい工程で直すための方法と位置づけた。電子ビーム計測が光学計測を置き換えるのかは、光学と電子ビームの役割分担の記事で、各社の装置とあわせて掘り下げた。
裏面電源では、目印と素子が別々にゆがむ
Section titled “裏面電源では、目印と素子が別々にゆがむ”AMATは2025年7月の技術ブログで、裏面電源では貼り合わせと薄化でウェーハがゆがみ、素子の外に置いた光学の目印は素子のずれを代表しにくくなる6と書く。表裏の重ね合わせをどの方式で測るか、何点を測る必要があるかは、裏面電源の重ね合わせ計測の記事で比べている。
PROVision 10の新しさは電子銃にあり、届く深さは前の機種と同じ
Section titled “PROVision 10の新しさは電子銃にあり、届く深さは前の機種と同じ”PROVision 10が前の機種から変えたのは電子銃だ。AMATは2025年10月の発表で、PROVision 10を冷陰極電界放出(CFE)を使う業界初の計測装置とし、TFEに比べて分解能を最大50%、撮像速度を最大10倍に上げた7と説明した。用途には、EUV層の重ね合わせ、GAAのナノシートの測定、エピタキシャル層の空洞の検出を挙げ、複数の先端ロジックとメモリーのメーカーが使っているとした。
2021年10月発表の前の機種PROVision 3Eは、分解能1 nm、毎時1,000万の測定、BSEの95%を集めるElluminator、数百nmの深さまで測る高エネルギーモード8を掲げ、発表の時点で30台がファウンドリー、DRAM、NANDの工場に入っていた。PROVision 10の製品ページは、分解能を1 nm未満、測定数を毎時最大1億とする4。BSEの集め方と届く深さの記述は3Eと同じで、変わったのは分解能と速さだ。毎時1億という測定数で電子ビーム計測の使い方がどこまで変わるかは、測定密度の記事で検討した。AMATの開発拠点でMoコンタクトの条件出しにPROVision 10を使った例は、Moコンタクトの計測の記事にある。
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- 1Applied Materials:HBMに電子ビーム計測が要る理由(技術ブログ、2025年9月)appliedmaterials.com abc
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- 4Applied Materials:PROVision 10の製品仕様appliedmaterials.com ab
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- 6Applied Materials:裏面電源と電子ビーム計測の要求(技術ブログ、2025年7月)appliedmaterials.com ↩
- 7Applied Materials:Kinex、Xtera、PROVision 10の発表(2025年10月)ir.appliedmaterials.com ↩
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