焦点深度などHigh-NAに残る3つの課題imecは露光機とトラックを連結して検証
High-NA EUVとは、投影光学系の開口数を0.33から0.55へ上げたEUV露光で、8 nmの解像度1を1回の露光で狙う方式だ。ただし量産に向けてimecが2026年2月に挙げた残る課題は、焦点深度の改善、確率的欠陥の低減、露光野の継ぎ目(スティッチング)2の3つだ。この3つを工程に当てはめると、焦点深度はレジストの厚さに、確率的欠陥は塗布・現像と検査に、継ぎ目はマスクの配置と設計に関わる。High-NA機を据え付けても、量産の条件は露光機の仕様だけでは決まらない。
imecはこの前提で評価を組んでいる。ASMLとの共同ラボでは、試作機を露光機とトラック(塗布現像装置)をつなげた1組のリソクラスター3として評価する方針を2024年に示し、欠陥を調べる専用の検査装置も入れた。東京エレクトロン(TEL)は2021年、共同ラボのEXE:5000とインラインで連結するコータ・デベロッパを導入する4と発表した。同じ発表でimecの幹部は、High-NAでは膜が薄く寸法も小さいので、欠陥を減らすことが一段と重要になると述べている。
開口数を上げると露光野と焦点深度が厳しくなり、その結果レジストが薄くなる
Section titled “開口数を上げると露光野と焦点深度が厳しくなり、その結果レジストが薄くなる”ASMLは、EXE系の8 nmの解像度でNXE系より1.7倍小さいトランジスタを描き、密度を2.9倍にできる5と説明する。その代わりに露光野と焦点深度が厳しくなり、その結果としてレジストが薄くなる(図1)。
1つ目は露光野だ。縦横で縮小率の違うアナモルフィックな光学系を使うので、EXE系の露光野はNXE系の半分になり、ウェーハ1枚に2倍のショットが要る5。ショットが増えたときの処理枚数への影響はHigh-NA機の毎時110枚は50 mJでの値、大きなチップを2回の露光でつなぐ条件はHigh-NA EUVのマスク・ペリクル・継ぎ目で扱っている。
2つ目は焦点深度だ。imecは、0.55NAの実効焦点深度は0.33NAより2〜3倍小さくなる見込みで3、これが0.55NAで薄いレジストを使う理由の1つだと書く。imecによれば、焦点深度は開口数の2乗に反比例して縮む3。
焦点深度が縮んだ結果、レジストは薄くなる。imecは、膜が薄く寸法が小さいHigh-NAでは欠陥の低減が一段と重要になるとみる4。レジストを塗って現像するのはトラックなので、トラックの条件が量産の可否に入ってくる。
トラックは露光の前後にあり、塗布と現像の欠陥も現像後検査に混ざる
Section titled “トラックは露光の前後にあり、塗布と現像の欠陥も現像後検査に混ざる”工程の順に並べると、High-NAのパターン形成は、トラックで塗布し、露光機で露光し、再びトラックで現像して、現像後検査(ADI)で欠陥を数える順に進む。トラックは露光の前と後の2か所にあるので、ADIで見つかる欠陥には、露光で生じたものと、塗布・現像で生じたものが混ざる(図2)。
TELが2021年に共同ラボへ入れたトラックは、従来の化学増幅型レジスト(CAR)と下層膜に加えて、金属を含むレジストを同じ1台で扱える処理モジュール4を備えた。金属を含むレジストは解像度とエッチング耐性が高い一方で、ウェーハの裏面と端の金属汚染を管理する必要がある。TELは2025年12月の新機種LITHIUS Pro DICEで、塗布に起因するウェーハの欠陥を従来機より50%以上減らした6と試算し、High-NA EUVにも使える装置としている。
TELはコータ・デベロッパ全体で90%、High-NAの工程ではほぼ100%のシェア7を持つと示す。この数字のうちどこまでが第三者の集計で、High-NAがTELの売上にどれだけ効くかは、High-NA向けトラックのシェアほぼ100%はTEL自身の推定で調べた。装置の欠陥制御の中身はTEL LITHIUS Pro DICEにある。
レジストは、配線と穴で有力な候補が分かれる
Section titled “レジストは、配線と穴で有力な候補が分かれる”High-NA向けのレジストは、パターンの種類ごとに有力な候補が分かれている。imecは2024年の露光で、ピッチ16 nmの線と間隔を金属酸化物レジスト(MOR)で、ピッチ24 nmのコンタクトホールをCARで、同じピッチのピラーをMORで2描いた。2025年2月には、MORで1回露光したピッチ20 nmの金属配線で90%を超える電気的な歩留まり8を示し、確率的欠陥が少ないことの裏付けとした。
imecの見立てでは、MORは細い線と小さなピラーで性能が良い一方、性能の安定性が残る課題で3、CARは重要度の低い層で引き続き主力になる。ほかの候補も出ている。Lam Researchのドライレジストは、imecでピッチ28 nmの配線の直接描画に認定され9、このときは0.33NA機と組み合わせ、High-NA機にも広げられるとした。東京応化工業は2026年2月、Irresistible Materialsの低分子レジストMTRへの出資と共同開発10を発表した。材料ごとの比較はHigh-NA EUVレジスト比較にまとめている。
欠陥検査は、穴は電子線、配線は光学式と電子線の組み合わせで行う
Section titled “欠陥検査は、穴は電子線、配線は光学式と電子線の組み合わせで行う”High-NAで描けたパターンが量産に使えるかは、欠陥密度で決まる。imecは共同ラボで、極小のコンタクトホールの欠陥を調べる主な装置に電子線検査を選んだ3。目標は、100万個のコンタクトホールを測って欠陥が1個という業界の野心的な目標だ。金属の線と間隔では、光学式の検査装置で欠陥を見つけ、電子線で分類する。
電気試験も検査と組み合わせて使う。imecによると、蛇行した配線の導通は断線を、くし形に向かい合う配線の絶縁はブリッジを示し、電子線検査と合わせると、歩留まりを下げる確率的欠陥の種類が分かる8。確率的欠陥が光子の数のばらつきから生じる仕組みはEUVの光子は同じ露光量でArFの約14分の1にある。
装置メーカーもこの用途を掲げている。KLAは電子線検査装置eSL10の対象層にEUVの現像後検査11を挙げ、光学式のVoyager 1035ではEUV向けの壊れやすいレジスト層を、低い照射量で検査する12用途を示す。検査装置の役割分担は検査・計測・オーバーレイ装置の役割分担で比べている。
imecの試算では、LELEのビア工程を1回露光にすると排出が約30%減る
Section titled “imecの試算では、LELEのビア工程を1回露光にすると排出が約30%減る”High-NA機は高価で電力も多く使う。それでもimecは、0.33NAで2回露光とエッチングを繰り返すLELEのビア工程を、High-NAの1回露光に置き換えると、CO2換算の排出が約30%減る3と試算した。imecによれば、工程が減る効果が露光機の電力の増加を上回る。コストについては、調査会社SemiAnalysisがIBMのデータから、0.33NAの3枚以上のマスクを1回にまとめる層でHigh-NAが安くなると読んでいる。その根拠はHigh-NAが多重露光より安くなるのは3回以上の露光をまとめる層からで調べた。
imecは2026年3月に後継機EXE:5200をベルギーの自社クリーンルームへ受け入れ、2026年第4四半期の完全な認定13を見込む。High-NAの評価は、描けるかどうかから、どの層をどの欠陥密度と処理枚数で量産に入れるかへ移っている。
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- 2imec:High-NA EUVの3つの推進要因と残る課題(2026年2月)imec-int.com ab
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- 4
- 5
- 6
- 7東京エレクトロン:製品とサービス、コータ・デベロッパのシェアtel.com ↩
- 8imec:ピッチ20 nm配線の1回露光での電気的歩留まり(2025年2月)imec-int.com ab
- 9Lam Research:ドライレジストのピッチ28 nm配線でのimec認定(2025年1月)newsroom.lamresearch.com ↩
- 10
- 11KLA:eSL10電子線欠陥検査装置kla.com ↩
- 12KLA:Voyager 1035欠陥検査装置の紹介kla.com ↩
- 13imec:EXE:5200の受け入れと2026年第4四半期の認定見込み(2026年3月)imec-int.com ↩