ADR(自動欠陥レビュー)とは
ADR とは、欠陥検査が出した座標をもとに、その場所へ自動で移動して画像を取得し、データベースへ納める仕組みです。 撮る場所は検査が指し示します。ウェーハ全面を高い倍率で撮れば確実ですが、一枚の中の欠陥は散らばっており、全面を細かく撮る時間は現実の生産から大きくはみ出します。ADRの価値は、この時間の問題を座標で解くところにあります。代わりに、ADRが写せるのは検査が見つけた欠陥だけです。
検査が「どこに」を、レビューが「どんな」を受け持つ
Section titled “検査が「どこに」を、レビューが「どんな」を受け持つ”欠陥レビューは、ウェーハ検査装置が検出した異物や欠陥の形状や成分を、より詳しく観察し、分類し、分析する作業です1。自動欠陥レビューは、欠陥検査で取得した座標などの欠陥情報をもとに、目的の欠陥画像の取得とデータ保存を自動で行い、データベース化します。役割を分けたからこそ、検査とレビューの両方を速く回せます。
日本電子は、レビューSEMのJWS-3000について、各種の光学式欠陥検査装置とオンラインでつないで座標データを受け取り、欠陥の位置へステージを移動して高分解能のSEMで観察できるとしています2。
光は波長で細かさが決まり、その先を電子線が写す
Section titled “光は波長で細かさが決まり、その先を電子線が写す”欠陥検査などの光学式検査装置は、紫外線の波長 365nm、遠紫外線の波長 248nm と 266nm を光源に使います1。高分解能の検査装置が求められ、短波長化が進んでいます。それでも光で探す限り、写せる細かさは波長の桁で頭打ちになります。
写す側は走査型電子顕微鏡が受け持ちます。電子ビームを試料に当てると、発生する二次電子の量が材質や形状、電位状態に応じて変わります。走査型電子顕微鏡はこの性質を利用してビームを走査し、二次電子の強度分布を画面上に表示します。光で全面を速く探し、見つかった点だけを電子線で細かく写す。ADRはこの分担の継ぎ目に置かれる自動化です。
原因に近づくには、形と成分の両方を見る
Section titled “原因に近づくには、形と成分の両方を見る”日本電子は、歩留まりを上げるには、SEMでの目視観察と元素分析の両方で欠陥の原因を調べる必要があるとしています2。同社のJWS-3000は、スーパーコニカル形の対物レンズにより、作動距離を変えずにウェーハを45°まで傾けられ、傾けた観察でも高分解能を保つとしています。観察条件を変えるたびに各軸を調整する必要はなく、寸法測定、光学顕微鏡、EDS、インデクサなどのオプションを載せられます。
成分を調べる手がエネルギー分散型X線分光です。対象物に電子線を当てて放出される元素固有の特性X線のエネルギーを分析し、構成元素を同定します1。さらに内部まで調べるなら、集束イオンビームが使えます。半導体の局所的な加工と、加工断面や表面の観察ができ、半導体デバイスの故障解析と不良解析に不可欠な技術です。形で足りる場面もあれば、成分まで、さらに断面まで調べる場面もあり、レビューはその入口にあたります。
集めた画像が、分類と歩留まり管理の入力になる
Section titled “集めた画像が、分類と歩留まり管理の入力になる”ADCは、画像サーバに格納された欠陥画像を、事前に定めたルールに基づいて欠陥の発生原因ごとにクラス分けします1。レビューが集めた画像がそのまま分類の入力になるので、画像が粗いままでは分類の精度もそこで頭打ちになります。日本電子も、ADRとADCを組み合わせて欠陥データを自動で集めて分類し、発生源を速く見つけるとしています。
集めた画像と分類の結果は、ウェーハごとの機能試験の歩留まりを解析する歩留まり管理システム3へ流れ込みます。
座標へ絞る代償は、検査の取りこぼしと撮影時間
Section titled “座標へ絞る代償は、検査の取りこぼしと撮影時間”座標へ絞って撮れば、限られた時間で多くの欠陥の姿を集められます。その代わり検査が取りこぼした欠陥は、レビューの対象からも漏れます。撮る点数を増やせば見落としは減るものの、一点ずつ撮るため時間が伸びます。倍率を上げれば形は細かく写る一方、視野が狭まって位置ずれに弱くなります。ADRの性能を決めるのはSEMの分解能だけではなく、検査が渡す座標の質と、そのうち何点を撮るかの配分です。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ADR とは何ですか?
欠陥検査で取得した座標などの欠陥情報をもとに、目的の欠陥画像の取得とデータ保存を自動で行い、データベース化することです。
欠陥レビューとは何ですか?
ウェーハ検査装置が検出した異物や欠陥の形状や成分を、より詳しく観察し、分類し、分析することです。
なぜ座標が要るのですか?
全面を高い倍率で撮るには、生産に許された時間を大きく超えるためです。検査が得た座標へ対象を絞って撮ります。
何で撮るのですか?
走査型電子顕微鏡です。電子ビームを走査し、試料から出る二次電子の強度分布を画面上に表示します。
検査の光源は何ですか?
紫外線は波長 365nm、遠紫外線は波長 248nm と 266nm です。
なぜ短波長化が進むのですか?
高分解能の検査装置が求められているためです。
成分まで分かりますか?
エネルギー分散型X線分光を併せれば分かります。電子線を当てて出る元素固有の特性X線から、構成元素を同定します。レビューSEMにEDSを載せられる製品もあります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ADC(自動欠陥分類)とは── 画像を仕分ける側
- 欠陥検査とは── 座標を得る側
- 集束イオンビームとは── 断面まで掘る手
- EDX(エネルギー分散型X線分光)とは── 成分を調べる手
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- 2日本電子:JWS-3000 製品ページjeol.com ab
- 3日本半導体製造装置協会(SEAJ):半導体製造装置用語集(工場:Factory)seaj.or.jp ↩