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FIB(集束イオンビーム)とは

FIB とは、金属イオン源から集束させたビームで、半導体を局所的に加工し、その断面や表面を観察する装置です。 掘ることと写すことが 1 台で続きます。表面の写真で原因が判明すれば済みますが、不良の多くは層の内側にあり、上から写した像では姿が隠れたままです。FIBは、電気の測定で絞った座標をそのまま掘って内側を見せる代わりに、試料を一度きりで使い切り、掘った周りにGaが入り込むことがあります。故障解析でFIBを使うかどうかは、この二つを払ってでも内側の痕を見る価値があるかで決まります。

割らずに、電気で特定した座標をそのまま掘れる

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FIB は、走査型電子顕微鏡と同様なシステムを用い、金属イオン源から集束したビームで半導体の局所的加工と、加工断面や表面の観察ができます1。イオン源には液体金属の Ga を使います。電子より重い粒子なので、当てた場所の原子を弾き飛ばして削れます。Gaイオンビームは、最小で約5nm程度まで絞って試料に照射し、微細加工や像観察を行います2。局所的にエッチング加工するので、狙った一点だけを掘ってそこで止め、デバイスの断面を観察できます。

ウェーハを割って断面を作る手では、割れる場所が成り行きで決まります。FIB なら、不良のある座標をそのまま掘れます。μmオーダ以下の精度で特定した場所をFIBで薄膜化すればTEMで観察でき2、電気的に特定された配線接続孔や特定の記憶素子の領域まで観察できます。3D実装の熱試験チップでも、imecはFIB-SEMの断面観察でTSV列の外周にある未接続のTSVを突き止めました。FIB は、半導体デバイスの故障解析と不良解析に不可欠な技術です1。

TEM用の薄片は、30kVで荒く掘り、5kV以下で仕上げる

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透過型電子顕微鏡は、薄膜試料に電子線を透過させて原子レベルで物質内部構造を画像化する装置で、FIB はその薄膜試料を切り出す手としても働きます。FIBによる切り出しでは、削る領域をSEMで見て監視しながら、狙った部分を望みの形まで選んで薄くできます3。

手順は4段です。まず狙った部分の表面を、削られないように白金か炭素の保護膜で覆います。次に約30kVの高い加速電圧のGaイオンビームで周りを掘り、厚さ数μm以下の切片を作ります。その切片をバルクの試料から取り出してTEM用のグリッドに固定し、最後に試料へのダメージを減らすため約5kVの低い加速電圧で、厚さ10〜100nmの薄片まで削ります。それでもGaイオンの照射でできたダメージ層が残れば、約3kV以下のさらに低い加速電圧のGaイオンビームか、アルゴンイオンビームで取り除きます3。

薄片の切り出し
① 保護膜白金・炭素② 周りを掘る30 kV数 μm以下③ グリッドへTEMグリッド④ 薄くする5 kV10〜100 nm残った層は3 kV以下かArで除く● 狙った部位
保護膜で覆った部位の周りを30kVで掘って数μm以下の切片にし、グリッドへ移してから5kVで10〜100nmまで薄くします。残ったダメージ層は3kV以下のGaかアルゴンで除きます。

断面に残る傷の広がり方が、壊れた原因を示す

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断面が示すのは形の異常です。酸化膜が絶縁破壊され、メタル電極間が短絡状態になっている場合もあります2。異物が見つかった場合は、異物が存在する層がFIBによる断面観察で明確になり2、その成分を同定すれば、異物の付着工程と発生原因を推定できます。

傷の広がり方も、原因を語ります。静電気放電では瞬時に大電流が流れるため、発熱部の温度が急上昇して溶融などが起こりますが、熱が周囲に伝導する前に放電が終わるので、狭い範囲のダメージとして観察されます2。電気的オーバーストレスは、電流が小さくてもパルス継続時間が長いため、周辺部も緩やかに温度が上がり、規模の大きいダメージが生じます2。

ESDとEOSの痕
静電気放電(ESD)電気的オーバーストレス瞬時に大電流電流が小さくても長く続く時間時間メタル電極酸化膜シリコン狭い範囲のダメージ周辺まで広がるダメージ
ESDは熱が周りへ伝わる前に放電が終わるので痕が狭く、電気的オーバーストレスは長いパルスで周辺まで温まるので痕が広がります。断面に残る痕の広さが、原因の手がかりになります。

掘った跡は残り、周りにはGaが入り込む

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削る加工なので、試料は元の形を失います。1 個の不良品から得られる断面は、切る向きを選んだ時点で一つに定まります。加工した周りには Ga が入り込むことがあり、その後で成分を調べるときは、この持ち込みを見込んで判断します。

材料によっては、この持ち込みが評価そのものを妨げます。アルミニウムやアルミニウム合金をGaイオンでFIB加工すると、人為的な変化が入って材料の正しい評価を妨げることがあると知られています4。Gaはアルミニウムによく溶け込み、一般に粒界や界面に沿って集まります。Thermo Fisher Scientificは、キセノンのイオン源を使う次世代のプラズマFIB(PFIB)なら、アルミニウムをこうした変化なしに微細加工できるとしています。

アルミニウムに残るイオン
GaイオンのFIBキセノンのプラズマFIB粒界に集まるGaアルミニウムの結晶粒
Gaイオンで削ったアルミニウムでは、入り込んだGaが粒界に沿って集まります。

付けた膜にも性質の差があります。ルネサス エレクトロニクスは、レーザ直描(FLB)で付けたタングステン膜はFIBで付けた膜に比べて抵抗値が1/100と低く、高速動作のための修正に有利としています2。

構成元素を同定する分析手法のエネルギー分散型X線分光と組み合わせ、断面を作ってから成分を調べる順序が、多くの解析で組まれます。細く絞るほど分解能は上がるものの、掘り進む速さは落ちます。

FIB とは何ですか?

走査型電子顕微鏡と同様なシステムで、金属イオン源から集束したビームを使い、半導体の局所的加工と、加工断面や表面の観察ができる装置です。ビームは最小で約5nm程度まで絞れます。

イオン源は何ですか?

液体金属の Ga です。

何ができるのですか?

局所的にエッチング加工して、デバイスの断面を観察できます。μmオーダ以下の精度で特定した場所を薄膜化して、TEMで観察する試料も作れます。

なぜ故障解析で使うのですか?

不良のある一点だけを狙って掘り、その断面をその場で観察できるためです。電気的に特定した配線接続孔や記憶素子の領域、異物が入り込んだ層を直に確かめられ、故障解析と不良解析に不可欠な技術です。

電子顕微鏡とは何が異なりますか?

電子は観察に向き、イオンは削るのに向きます。FIB は削る側と写す側を 1 台に併せ持ちます。

何を払いますか?

試料です。掘った跡はそのまま残り続け、加工した周りには Ga が入り込むこともあります。アルミニウムではGaが多くの場合は粒界や界面に集まり、材料の評価を妨げる人為的な変化が入ることがあります。

何を探しに行くのですか?

酸化膜が絶縁破壊され、メタル電極間が短絡状態になっている場合もあります。断面は、こうした痕を直に示し、ESDなら狭い範囲、電気的オーバーストレスなら規模の大きいダメージとして現れます。

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