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キラー欠陥とは

キラー欠陥とは、半導体デバイスに致命的なダメージを与える欠陥です。 検査で拾った欠陥のうち、実際にチップを死なせた分だけが歩留まりを動かします。検査装置がウェーハ1枚から欠陥を300個報告してきても、そのうち何個がチップを死なせたかは件数だけでは分かりません。次にどの工程へ人を送るかを選ぶには、報告の件数とチップを死なせた分を分けて数える必要があり、キラー欠陥という言葉はそのために使います。

監視する寸法と、チップを死なせる寸法は別物

Section titled “監視する寸法と、チップを死なせる寸法は別物”

キラー欠陥の例はウェハの結晶欠陥などで、どれが当たるかは製品ごとに異なります1。同じ大きさの粒でも、乗った製品と乗った場所が変われば、チップが死ぬかどうかが変わります。

問題となる最小のパーティクル寸法は技術ノードの2分の1とされ、欠陥密度はその寸法で正規化します2。ただし、その寸法に達したパーティクルのうち、実際にキラー(致命欠陥)になるのは一部です。監視の基準に使う寸法と、チップを死なせる寸法は別物です。TSIは、デバイスが小さくなるほど、より小さな粒子が部品を傷めたり「殺し」たりするとしています3。同社は、キラー欠陥を見逃すと高くつくため、製造の途中で検出して発生源を断つことが、高い歩留まりを得て保つ条件だとしています。

被害の出方は、欠陥の素性でも変わります。パーティクルは微粒子や塵埃で、その存在がICに構造欠陥を生み、特性と信頼性の劣化、歩留りの低下を引き起こします4。COPは、シリコン単結晶の格子点からシリコン原子が抜けた空孔が集まった微小な結晶欠陥で、微細化が進むほど完全結晶が求められます。COPはCZ法で作られたシリコンの結晶内に発生する、酸化物の析出した欠陥でもあります5。TSIは、欠陥の出どころとして材料、プロセス、装置、水の供給、ウェーハそのものを挙げています。ウェーハに最初から入っている欠陥も、外から降ってきた粒も、同じようにキラーになりえます。

キラーは最終テストで落ちる欠陥、潜在欠陥はバーンインの後に落ちる欠陥

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キラー欠陥には時間の区切りもあります。KLAは車載向けの解説で、キラー欠陥を時刻t=0、つまり最終テストでデバイスを不良にする欠陥と定め、歩留まりに響くものとしています6。これに対し、潜在欠陥はt>0、つまりバーンインの後でデバイスを不良にする欠陥で、チップの信頼性に響きます。

キラー欠陥と潜在欠陥
製造最終テスト(t=0)バーンイン使用(t>0)キラー欠陥歩留まりを下げる潜在欠陥信頼性を下げる
キラー欠陥は最終テストの時点でチップを不良にし、歩留まりとして表に出ます。潜在欠陥はテストとバーンインを通り抜け、その後に不良を起こして信頼性を下げます。

この区切りで見ると、歩留まりの改善で追うのはt=0で落ちる分です。最終テストで落ちる欠陥は歩留まりに、通り抜けて後で落ちる欠陥は信頼性に、それぞれ別の指標として現れます。

歩留まりの式に入るのは、報告の件数ではなく電気的欠陥密度

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歩留りYは、チップ面積と無関係なシステム歩留Ysと、チップ面積に依存するランダム歩留Yrの積です2。Yrは負の二項分布理論から求め、チップ面積A、電気的欠陥密度Do、クラスタ係数の3つが入ります。必要なパラメータは、1999年のITRSロードマップに基づきます。

ここへ入るのは電気的な欠陥密度で、検査装置が数えた報告の件数とは別の量です。Doを大きく見積もるほどYrは小さく出るので、報告の件数をそのまま入れれば、計算した歩留まりは実測から離れます。離れ幅は、報告のうちキラーだった割合で決まります。

ランダム歩留は検査で拾える欠陥に起因し、その改善は、欠陥を検出して分類し、歩留への影響が大きいものから減らしていく能力に依存します。「影響が大きいものから」という順番を作るのが、キラー欠陥という区別です。件数だけを追えば、件数の多い欠陥から手が付き、件数は少なくても歩留まりを大きく削っている欠陥が後ろへ回ります。

JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会は、欠陥の致命率を求める技術を、欠陥がどうして不良に至るのかを解き明かす技術や、欠陥の出どころを特定する技術と並ぶ課題に挙げました。デバイス寸法の縮小にともなって問題となる欠陥寸法(critical defect size)が小さくなり続けるかぎりいつまでも続く、永遠の課題と位置づけています。

検査、レビュー、分類を経て、YMSでチップの不良と照らし合わせる

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場所と大きさを拾うのが欠陥検査で、次に欠陥レビューで正体を確かめます。TSIは、ウェーハとフォトマスクの表面の欠陥を見つける表面検査装置を、集積回路製造のAPCの重要な一部と位置づけ、短絡、ボイド、ピットなどの欠陥はまず光学式の検査で見つかるのが一般的だとしています。同社は、検査装置の有効性を保つには校正用の標準が欠かせないとも述べています。

ADR(自動欠陥レビュー)は、欠陥検査で得た座標などの情報をもとに目的の欠陥画像を自動で取得し、データベース化します7。ADC(自動欠陥分類)では、画像サーバに入れた欠陥画像を、あらかじめ決めたルールに沿って分類ソフトウエアが発生原因ごとに仕分け、その結果を分類サーバへ送ります。仕分けた情報はYMS(歩留り管理システム)や工場ホストへ送り、発生原因の追求や解析に使います。MDC(手動欠陥分類)では、ADCの分類ミスの修正や、ADCの適用外となる工程の欠陥分類を、エンジニアが判断して行います。装置が分けた残りは、人の時間で埋まります。

YMSは、歩留まりモニタと欠陥検査から解析までを行い、その結果を欠陥の出た工程へ送り返したり、APCを通じて装置のレシピへ先回りで渡したりしながら、歩留まりを総合的に管理し引き上げる統合システムです。どの位置のチップが落ちたかを記したウェーハマップは、この照らし合わせの片側です。

致命率は、乗った場所と工程で決まる

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ゲート領域では、ゲート絶縁膜の厚みに相当する寸法のパーティクルの致命率が100%近辺にあるのは当然とされます2。一方で、致命率が20%から30%の範囲であれば、少し大きめのパーティクル寸法で監視していてもフロントエンドプロセスを管理できるだろう、という見通しも示されています。1994年のNTRSのロードマップは問題パーティクル寸法を技術ノードの0.33倍としていました。その大きさの粒もキラー欠陥になりうるものの、0.5倍の粒よりは確率が下がります。

乗った場所と致命率
シリコン基板ゲート層間膜ゲート絶縁膜深いコンタクトの底素子から離れた面致命率100%近辺どの段階でもキラー一部がキラー
1999年度の見通しでは、同じ大きさの粒でも、薄いゲート絶縁膜の上では致命率が100%近辺、深いコンタクトの底ではどの段階でもキラーになり、素子から離れた面ではキラーになるのは一部です。

高アスペクト比検査(HARI)で見つかる欠陥はどのプロセス段階にあってもキラーになるため、どの段階でも技術ノードの0.3倍まで検出できる感度が最低限要ります。HAR(高アスペクト比)は、エッチングなどで作ったパターンの深さと幅の比が大きいことで、加工や計測が難しくなります7。深い穴の底は、見に行くこと自体が難しい場所です。

乗った場所が転写の元なら、被害は1個では済みません。TSIは、粒子汚染はソフト欠陥と呼ばれることが多いものの、フォトマスク上の汚染は繰り返しの転写エラーを起こし、ウェーハ表面にハード欠陥を作るとしています。

感度を上げると、擬似欠陥と検査速度を差し出す

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感度を上げれば小さい欠陥まで拾え、その中にキラーも混じります。同時に、キラー以外の欠陥と、見かけだけの報告も増えます。1999年度のロードマップは、パターン付きウェーハの擬似欠陥率を、プロセスのR&Dの段階で最低でも15%、歩留まりの立ち上げ時に10%、量産時には5%以下と見込みました2。擬似欠陥は、欠陥として報告されながら、確かめると健全だったものです。報告が増えれば、ADRが画像を撮る件数も、MDCで人が見直す件数も増えます。

速さも差し出します。欠陥検出でもっとも難しい課題に挙げられているのは、高アスペクト比のコンタクトホールの底や、デュアルダマシン構造の溝とビアの内側にできた欠陥の検出です。理由は、感度と検査速度が互いに引き合う関係にありながら、両方を同時に満たすよう求められるからです。パターン付きウェーハの走査速度は、プロセスのR&Dで最低300cm2/h、歩留まりの立ち上げ時に3,000cm2/h、量産時に10,000cm2/hが必要とされました。

必要な走査速度
走査速度(cm²/h、対数目盛)1001,00010,0003003,00010,000プロセスR&D歩留まり立ち上げ量産
必要な走査速度は、プロセスのR&Dで300 cm²/h、歩留まりの立ち上げで3,000 cm²/h、量産で10,000 cm²/hと、段階が進むほど高くなります。感度を保ったままこの速さを出すことが、検査装置に課された課題です。

量産へ進むほど、同じ感度のまま桁の異なる面積を走査することになります。感度を途中で打ち切る選択にも根拠があります。致命率が20%から30%の範囲なら少し大きめの寸法で監視していても管理できるだろう、という見通しは、監視する寸法をノードの何倍に取るかという判断そのものです。

回路の側で吸収する道もあります。歩留向上で設計が果たす役割には、回路そのもののプロセス感度を下げること、クリティカルエリアと欠陥の分布をふまえた回路パターンの工夫、冗長設計、欠陥源をたどりやすくするBISTの組み込みなどがあります。製造側で感度をどこまで上げるかは、この設計側の手当てとセットで決まります。

キラー欠陥とは何ですか?

半導体デバイスに致命的なダメージを与える欠陥です。どれが当たるかは製品ごとに異なり、ウェハの結晶欠陥などが例です。検査で拾えた欠陥のうち、最終テストの時点で実際にチップを死なせた分を指します。

致命率(キラー率)とは何ですか?

欠陥のうちどれだけがチップを死なせるかの割合です。致命率を求める技術は、欠陥が不良に至る仕組みを解き明かす技術や欠陥の出どころを特定する技術と並ぶ課題で、問題となる欠陥寸法がデバイス寸法とともに小さくなり続けるかぎり続く、永遠の課題とされています。

検査で見つかった欠陥は、すべてキラー欠陥ですか?

違います。問題となる最小のパーティクル寸法は技術ノードの2分の1とされ、欠陥密度はその寸法で正規化しますが、その寸法に達したパーティクルのうち実際にキラー(致命欠陥)になるのは一部です。監視の基準に使う寸法と、チップを死なせる寸法は別物です。

どんな欠陥がキラーになりやすいのですか?

乗った場所で変わります。ゲート領域では、ゲート絶縁膜の厚みに相当する寸法のパーティクルの致命率が100%近辺にあるのは当然とされ、高アスペクト比検査(HARI)で見つかる欠陥はどのプロセス段階にあってもキラーになります。いずれも1999年度の見通しです。

検査の感度は上げたほうが良いのですか?

上げるほど代償が付きます。パターン付きウェーハの擬似欠陥率は、プロセスのR&Dの段階で最低でも15%、歩留まりの立ち上げ時に10%、量産時に5%以下と1999年度には見込まれていました。感度と検査速度は互いに引き合う関係にありながら、両方を同時に満たすよう求められます。

キラー欠陥は歩留まりの式のどの項に入りますか?

電気的欠陥密度Doの項に入ります。歩留りYはチップ面積と無関係なシステム歩留Ysと、チップ面積に依存するランダム歩留Yrの積で、Yrはチップ面積Aと電気的欠陥密度Doとクラスタ係数から負の二項分布理論で求めます。Doは検査装置が数えた報告の件数とは別の量です。

拾った欠陥は誰がどう分類するのですか?

まず装置が分け、残りを人が分けます。ADR(自動欠陥レビュー)が欠陥画像を自動で取得してデータベース化し、ADC(自動欠陥分類)が決めたルールに沿って発生原因ごとに仕分け、MDC(手動欠陥分類)ではADCの分類ミスの修正や適用外の工程の分類をエンジニアが行います。

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    JEITA:半導体用語集semicon.jeita.or.jp ↩
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