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アニールウェーハとは

アニールウェーハとは、鏡面研磨したシリコンウェーハを水素またはアルゴンの雰囲気で高温に熱し、表層の結晶欠陥を消したウェーハです。 ポリッシュト・ウェーハを高温で熱処理してウェーハ表面近くの酸素を除去し、表層を改質して結晶完全性を高めています1。同じ熱処理で内部には金属を捕まえる層ができ、そのかわりにスリップ転位を抑える炉の管理を背負います。価値を決めるのは、表層をどこまで清浄にし、内部にどれだけ捕獲の場所を残すかの配分です。

研磨が整えるのは表面の凹凸で、内部の空洞は残る

Section titled “研磨が整えるのは表面の凹凸で、内部の空洞は残る”

シリコンウェハは、チョクラルスキー法で育てたシリコンインゴットを薄く切って作ります。ウェーハ加工は、切断(スライシング)、粗研磨(ラッピング)、エッチング、研磨(ポリッシング)、洗浄・検査の5つで2、ここまでで仕上がるのがポリッシュト・ウェーハです。アニールウェーハはその後へ高温の熱処理を足したもので、SUMCOの区分ではこの熱処理が特殊加工工程の1つです。

研磨が整えるのは表面の凹凸で、ウェハ平坦度も鏡面の仕上がりもこの段階で作り込みます。一方、結晶が育つ途中で中へ入った空洞は、削った後も内部にそのままです。グローバルウェーハズ・ジャパンは、スライスした段階のシリコンウェーハ内部は欠陥だらけで3、単結晶でありながら高品質と言いにくい状態だと見ています。

この残った欠陥が、デバイスを作る側の負担になります。CMOSデバイス向けの基板では、リーク系の不良とリソグラフィの重ね合わせ不良を減らすため、デバイスを作る活性領域に低欠陥と高強度が要ります4。

1100℃以上の水素またはアルゴンで、表層の空洞が埋まる

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熱処理の前と後の断面
研磨したままアニール後H2 または Ar1100℃以上無欠陥層(DZ)ボイド欠陥(空洞)酸素析出物(BMD)表面表面
研磨したままのウェーハには、結晶育成中にできた空洞が表層から内部まで残っています。1100℃以上の水素またはアルゴン中で熱すると表層の空洞が消えて無欠陥層になり、内部には金属を捕まえる酸素析出物ができます。

アニールウェーハは、1100℃以上の高温で、水素またはアルゴン雰囲気下の熱処理4で作ります。グローバルウェーハズ・ジャパンは縦型炉で高温の熱処理を行い、結晶育成中に生成したボイド欠陥を消滅させると同時に、ウェーハ内部に酸素析出物を形成させます5(縦型炉アニール)。同社が持つアニール技術は、ファーネスバッチアニールとラピッドサーマルプロセス(RTP)の2種類です3。

熱で原子が動けるようになると、表層の空洞は周りのシリコン原子で埋まっていきます。その結果、DZ化(表層の無欠陥層の形成)、空孔欠陥の消滅、表面粗さの改善、表面近傍のボロンの外方拡散が起こり、アニールウェーハは疑似エピ(pseudo Epi)とも呼ばれます。エピタキシャルウェハが約1200℃の炉内で表面へ単結晶の層を気相成長させるのに対し、アニールは今ある層を熱で作り替えます。

水素アニールの表面は、1原子層の段差が並ぶ平坦さになる

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水素アニール後の表面
テラス幅 約1μm段差 0.14nmSi(100) H2 1200℃・1時間
水素アニール後のSi(100)表面には、幅およそ1μmのテラスと1原子層ぶん(0.14nm)の段差が周期的に並びます。同じ条件ではアルゴンより水素の方が原子レベルで平坦でした。

出来ばえは原子の並び方まで測ります。Si(100)面でミスオリエンテーション0.04度以下の基板を1200℃で1時間水素アニールした後、原子間力顕微鏡(AFM)で、幅およそ1μmのテラスとSi(100)の1原子層ぶん(0.14nm)の段差が周期的に並ぶ構造が得られました。この実験では、同じ条件で水素の方がアルゴンより原子レベルで平坦でした。

欠陥を消すほど、金属を捕まえる場所も減る

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金属不純物の行き先
BMDが少ないBMDが多いゲッタリング効果が小さい深い部分で捕獲表層(活性領域)酸素析出物金属不純物
ウェーハに付いた金属不純物は、その後の熱処理で内部へ拡散します。捕まえる析出物が少なければゲッタリングの効果は小さく、多ければ金属を深い部分に捕まえて表層に現れないようにできます。

熱処理は表層をきれいにすると同時に、内部へ別の役目を与えます。シリコンウェーハに金属不純物が付着すると、その後の熱処理で内部へ拡散し3、表層に存在すればデバイス不良を起こします。そこで金属不純物を深い部分へトラップし、表層に現れないようにするのがゲッタリングです。グローバルウェーハズ・ジャパンは、表層の清浄度を高めることをアニールウェーハの付加価値の一例としています。

同社の製品では、水素アニールのHiウェーハが高い内部ゲッタリング能力とウェーハ表面のCOPフリーを、アルゴンアニールのATウェーハが表面の無欠陥性と内部ゲッタリング能力の両立を6特長にしています。Hyper Hiウェーハは、結晶技術の改善、水素処理の最適化、加工技術の向上により、従来のHiウェーハに比べて内部ゲッタリング能力と平坦度特性を高め、LSTD密度を下げた6と同社はしており、接合リーク特性などの電気特性もHiウェーハより改善されたとしています。

ここに1つ目の取引があります。COPを減らしたポリッシュト・ウェーハはBMD密度が低く、金属ゲッタリングの効果が小さくなります4。表層の欠陥を消す手立てが、そのまま捕獲の場所を減らす方向に働きます。そこで、1250℃以上の急速昇降温の熱処理(RTP)でBMD密度を増やす技術も開発されました。グローバルウェーハズ・ジャパンのECASウェーハは、熱処理でゲッタリングサイトのサイズと密度、ウェーハ表面からBMD(Bulk Micro Defect)までの深さ、表層の酸素濃度を調整します。

熱そのものが、スリップ転位と表層のボロン分布を動かす

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2つ目の取引は熱そのものです。アニールウェーハの課題は、スリップ転位、金属不純物や有機物などの汚染4、LPD(光を散乱させるパーティクルなど)、表層部およびバルク部の欠陥です。ウェーハ面内の熱応力を均一にするため、炉内の温度均一性、ウェーハの保持方法、プロセス条件を適正化しており、2016年時点で量産水準の300mmウェーハでもスリップフリーを実現しています。現場で調整するのは、温度と雰囲気に加えて、炉内の温度分布とボートへのウェーハの載せ方です。

3つ目は表層の不純物の分布です。表面近傍のボロンの外方拡散もアニールの効果に含まれるため、雰囲気ガスの選び方が表層のボロンの分布にも関わります。アルゴンアニールのATウェーハは、Hyper Hiウェーハと同じく微細化デバイス向けに開発され、表面近傍のボロンプロファイルがフラットである6ことを特長にしています。

表層の品質と内部のゲッタリング層を、熱処理1回の時間と炉の管理で買う

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活性領域に低欠陥と高強度が要るという要求に対し、アニールウェーハは表層の結晶完全性と内部のゲッタリング層で答えます。そのかわりに、1100℃以上の熱処理1回ぶんの時間と、スリップ転位を抑える炉の管理を差し出します。信越化学工業もシリコンウエハーのシリーズにアニールウエハーを並べており7、用途ごとにこの取引を選ぶ形になっています。

アニールウェーハとは何ですか?

鏡面研磨まで仕上げたシリコンウェーハを、水素またはアルゴンの雰囲気で高温に熱したウェーハです。ウェーハ表面に近い酸素を除去して表層を改質し、結晶完全性を高めています。

どんな条件で熱処理しますか?

1100℃以上の高温で、水素またはアルゴン雰囲気下の熱処理です。グローバルウェーハズ・ジャパンは縦型炉でこの熱処理を行い、結晶育成中にできたボイド欠陥を消すと同時に、内部へ酸素析出物を作ります。

ポリッシュト・ウェーハとどう違いますか?

工程が1つ多い点です。鏡面研磨と洗浄・検査までで完成するのがポリッシュト・ウェーハで、その後へ高温の熱処理を足したものがアニールウェーハです。SUMCOの区分ではこの熱処理が特殊加工工程の1つです。

エピタキシャルウェーハとの違いは何ですか?

層を足すか、今ある層を熱で作り替えるかです。エピタキシャル・ウェーハは約1200℃の炉内で表面へ単結晶シリコンの膜を気相成長させ、アニールウェーハは表層そのものを熱で改質するため、疑似エピ(pseudo Epi)とも呼ばれます。

ゲッタリングとは何ですか?

金属不純物をウェーハの深い部分へ捕まえる技術です。ウェーハに付いた金属不純物はその後の熱処理で内部へ拡散し、表層に残るとデバイス不良になるため、深い部分へトラップして表層に現れないようにします。

水素とアルゴンはどう使い分けますか?

グローバルウェーハズ・ジャパンの製品では、水素アニールのHiウェーハが高い内部ゲッタリング能力と表面のCOPフリーを、アルゴンアニールのATウェーハが表面の無欠陥性と内部ゲッタリング能力の両立を特長にしています。

アニールウェーハの課題は何ですか?

スリップ転位、金属不純物や有機物などの汚染、LPD(光散乱体)、表層部およびバルク部の欠陥です。対策として、炉内の温度均一性、ウェーハの保持方法、プロセス条件を適正化します。

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