鏡面研磨とは
鏡面研磨とは、ウェーハ表面の凹凸を取り去り、鏡のように映る面へ仕上げる工程です。 硬い砥粒で強く削るほど加工は速く進み、そのぶん傷と結晶の乱れが深く入ります。鏡面研磨は、その速さを譲るかわりに面の品位を取りにいく段です。仕上げの段は機械の力を下げて化学の作用を足す配合へ切り替わり、傷、曇り、うねりという大きさの違う3つの凹凸を1枚の上で同時に抑えることが求められます。
鏡面研磨は、5段階のウェーハ加工の4段目に来る
Section titled “鏡面研磨は、5段階のウェーハ加工の4段目に来る”SUMCOのウェーハ加工工程は1、切断(スライシング)、粗研磨(ラッピング)、エッチング、研磨(ポリッシング)、洗浄・検査の5段階です。単結晶のインゴットを厚さ1mm程度にスライスしたあと2、アルミナ研磨材の粗研磨で両面を平行に整えながら所定の厚さに仕上げます。続くエッチングは、前工程までにウェーハ表面へついた機械加工のダメージを化学的に取り除く工程です。
4段目の研磨では、表面の凹凸をなくして平坦度の高い鏡面に仕上げるため、コロイダルシリカ液を用いたメカノケミカル研磨を施します。洗浄ののち厳しい検査を経て、ポリッシュト・ウェーハが完成します。
化学の作用を重ねるので、削る力を下げても凹凸をならせる
Section titled “化学の作用を重ねるので、削る力を下げても凹凸をならせる”粗研磨はアルミナ研磨材による機械的な加工です。仕上げの段では、削る力を下げて化学の作用を足す配合へ切り替わります。メカノケミカル研磨は、機械的な研磨と化学的な作用を組み合わせる研磨です。東京精密のCMP装置は、スラリー(化学研磨剤)と研磨パッドを使い、化学作用と機械的研磨の複合作用でウェーハ表面の凹凸を研磨して平坦化する装置です3。同じ化学と機械の複合作用を、デバイス製造の途中で使うのがCMPで、鏡面研磨はそれをウェーハそのものの仕上げに使います。
速く削る段と、傷を残さず仕上げる段を分けることで、速さと品位の両方が成り立ちます。仕上げで速さを優先したウェーハは、傷と乱れを持ったまま洗浄・検査へ渡り、SUMCOが製品の特長として掲げる平坦度と清浄度から遠ざかります。仕様から離れた面は、最後の検査で落ちます。
傷、曇り、うねりは大きさの違う凹凸で、1枚の上で同時に抑える
Section titled “傷、曇り、うねりは大きさの違う凹凸で、1枚の上で同時に抑える”富士紡ホールディングスは、POLYPASポリッシング用パッドについて、CMP、シリコンウエハー、ハードディスク、液晶ガラスなど様々な用途に対応し、精緻なポリッシングに必要なスクラッチフリー、ヘイズフリーかつ高い平坦性を確保しているとしています4。この3語は、それぞれ大きさの違う凹凸を指します。
スクラッチは、砥粒や異物が引きずられてできる線状の傷で、面の中の1本というきわめて局所的な欠陥です。ヘイズは、表面が細かく荒れたときに光が散り、白く曇って観測される状態で、面全体の粗さとして表面に出ます。平坦性は、ウェーハ全面にわたる厚みのうねりです。SUMCOは、ポリッシュト・ウェーハを表面を鏡面研磨した、平坦度と清浄度に優れたウェーハ2として掲げています。
パッドは使ううちに表面が変わるので、コンディショナで作り直す
Section titled “パッドは使ううちに表面が変わるので、コンディショナで作り直す”研磨の場で組み合わせるのは、スラリー(研磨液)と研磨パッドです。このうちパッドは、使ううちに表面の状態が変化します。旭ダイヤモンド工業は、配線の微細化と多層化に伴って平坦化への要求が年々高まるなか、CMPプロセスにおいて研磨パッドのコンディショニングが研磨特性を安定化する重要な役割を担うとし5、同社が25年以上コンディショナを供給してきたとしています。パッドの表面をコンディショナで作り直しながら、削れ方を一定に保ちます。
研磨は中研磨から仕上げ研磨へ段を重ね、量産機は複数枚を同時に磨く
Section titled “研磨は中研磨から仕上げ研磨へ段を重ね、量産機は複数枚を同時に磨く”研磨は1回きりの作業ではありません。フジミインコーポレーテッドは、切断からファイナル研磨までの総合技術サービスを提供しています6。ファイナル研磨という語は、研磨が段階を持ち、最後の段が別に用意されていることを示します。
岡本工作機械製作所は、ファイナルポリッシャーPNX332Bを、3テーブルあるポリッシュステージで中研磨から仕上げ研磨まで6枚を同時に研磨し、インデックス搬送方式で4枚を同時に搬送する高生産機としています7。同社は、研磨ヘッドと搬送機構に特殊な構造を採り、高精度かつ高スループットで安定した加工ができるとしています。
鏡面研磨を終えたポリッシュト・ウェーハは、そのまま製品になるほか、別のウェーハの土台にもなります。SUMCOは、ポリッシュト・ウェーハの表面に気相成長させた単結晶シリコンの層を作ることで、さらに優れた品質を実現したウェーハ2を製品にしています。これがエピタキシャルウェーハです。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”鏡面研磨とは何ですか?
ウェーハ表面の凹凸を取り去り、鏡のように映る面へ仕上げる工程です。平坦度の高い鏡面に仕上げるため、コロイダルシリカ液を用いたメカノケミカル研磨を施します。
粗研磨と鏡面研磨はどう違いますか?
削る力の配りかたが違います。粗研磨はアルミナ研磨材で両面を平行に整えながら所定の厚さへ仕上げる加工で、鏡面研磨はコロイダルシリカ液によるメカノケミカル研磨です。粗い段は機械の力で速く削り、仕上げの段は化学の作用を足して削る力を下げます。
メカノケミカル研磨とは何ですか?
機械的な研磨と化学的な作用を組み合わせる研磨です。東京精密のCMP装置は、化学研磨剤であるスラリーと研磨パッドを使い、化学作用と機械的研磨の複合作用でウェーハ表面の凹凸を平らにします。
鏡面研磨には何が要求されますか?
傷、曇り、うねりという大きさの違う3つの要求が同時に載ります。富士紡ホールディングスは、同社のポリッシング用パッドが、精緻なポリッシングに必要なスクラッチフリー、ヘイズフリー、そして高い平坦性を確保するとしています。
ヘイズとは何ですか?
表面が細かく荒れたときに光が散り、白く曇って観測される状態です。線状の傷1本とは別に、面全体の細かい粗さとして表面に出ます。富士紡ホールディングスはヘイズフリーを製品の要件として掲げています。
研磨パッドは使ううちにどうなりますか?
表面の状態が変化します。旭ダイヤモンド工業は、CMPプロセスにおいて研磨パッドのコンディショニングが研磨特性を安定化する重要な役割を担うとし、同社が25年以上コンディショナを供給してきたとしています。
鏡面研磨のあとは何をしますか?
洗浄したあと厳しい検査を通って、ポリッシュト・ウェーハができあがります。SUMCOは、ポリッシュト・ウェーハを平坦度と清浄度に優れたウェーハとして掲げ、その表面に単結晶シリコンの層を気相成長させたウェーハも製品にしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ラッピング(遊離砥粒研磨)とは── 鏡面研磨の前段で、アルミナ研磨材が厚みと平行度を整えます
- CMP(化学機械研磨)とは── 同じ化学と機械の複合作用を、デバイス製造の途中で使う技術です
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- 1SUMCO:シリコンウェーハの製造方法sumcosi.com ↩
- 2SUMCO:シリコンウェーハ製品一覧sumcosi.com abc
- 3東京精密:ポリッシュ・グラインダaccretech.com ↩
- 4富士紡ホールディングス:研磨材事業fujibo.co.jp ↩
- 5旭ダイヤモンド工業:シリコン向け製品ページasahidia.co.jp ↩
- 6フジミインコーポレーテッド:シリコンウェハーfujimiinc.co.jp ↩
- 7岡本工作機械製作所:ファイナルポリッシャー PNX332Bokamoto.co.jp ↩