コンテンツにスキップ

ノッチと結晶方位とは

ノッチと結晶方位とは、ウェーハ外周に刻んだ小さな切り欠きで、結晶の向きを以後の全工程へ伝える仕組みです。 結晶の向きは種結晶の段階で決まり、シリコンの性質の一部は結晶の方向で変わるので、加工の進み方も結晶面ごとに異なります。ところが丸い板になると向きの手がかりが消えるので、外周の1か所に目印を刻みます。口径が300mmに上がったとき目印がオリフラからノッチへ移ったのは、縁を削る量を小さくして、使える面積を多く残すためとされています。

結晶の向きは種結晶で決まり、外周研削で縁の1か所へ刻まれる

Section titled “結晶の向きは種結晶で決まり、外周研削で縁の1か所へ刻まれる”

ルツボ内で融解したシリコンの液面へ種結晶シリコン棒をつけ、回転させながら引き上げると、種結晶と同じ原子配列をした単結晶インゴットができます1。ウェーハの結晶の向きは、チョクラルスキー法で使う種結晶の段階で決まります。

困るのは、丸い板になった後です。円盤は回転対称の形なので、向きの手がかりを外から足す必要があります。シリコンインゴットは直径が均一になるよう外周研削され、その後にワイヤーソーなどで厚さ1mm程度へスライスされます。その外周研削の工程で、外周の一部に結晶方位を示す溝(ノッチ)あるいは平面(オリエンテーションフラット、オリフラ)を加工します2。インゴットの向きが、シリコンウェハの縁の1か所へ移ります。

種結晶の原子配列が、ノッチまで引き継がれる
引き上げ研削とスライス種結晶インゴットウェーハノッチの溝ノッチ同じ間隔の格子=同じ原子配列
インゴットは種結晶と同じ原子配列で育ちます。外周研削で長さ方向に入れたノッチの溝は、スライスしたどのウェーハにも同じ位置の切り欠きとして残り、丸い板に向きの手がかりを与えます。

目印は、位置合わせ、取り扱い、識別のための物理的な基準になる形です。UniversityWaferは、オリフラとノッチは幾何学的な基準であって、ウェーハを通る熱の伝わり方を変えるものではないとしています3。目印と結晶方向の正確な対応は、適用するウェーハ仕様に従って読み取ります。目印に頼らずに方位を確かめるときは、X線回折(XRD)で結晶方位を求められます。同社は、結晶方位と結晶の育成方法は別々の仕様項目だとしています。

200mmまではオリフラ、300mmでは縁を削る量の小さいノッチ

Section titled “200mmまではオリフラ、300mmでは縁を削る量の小さいノッチ”

ウェーハには各工程で位置決めをするときのために目印が付いており、200mmウェーハまではオリフラが一般的で、300mmウェーハではより小さなノッチと呼ばれる切れ目が付いています4。オリフラは外周を直線に削り落とし、ノッチは小さなV字の溝で済むので、同じ役目に差し出す縁の量が変わります。UniversityWaferも、古い小口径のウェーハは1本以上のオリフラを使い、現在の大口径ウェーハは使えるウェーハの面積を多く残すためにノッチを使うのが一般的だとしています。

口径が上がるほど、目印は小さくなった
0.75インチ約20mm1960年頃200mmオリフラ300mm2001年に量産開始ノッチ
3枚を同じ縮尺で描くと、200mmのオリフラは外周の一部を直線に削り落としますが、300mmのノッチは小さなV字だけです。口径が上がって1枚の面積が大きくなった世代で、目印は削る量の小さいほうへ移りました。

1960年頃に0.75インチ(約20mm)口径のシリコンウェーハが供給されるようになり、2001年に300mmシリコンウェーハによるULSI生産が始まりました5。2020年時点では、加工レベル90nm以下のULSIがほとんど300mmウェーハで生産される一方、パワー半導体、MEMS、センサ、加工レベル110nm以上のVLSIには8インチ(200mm)ウェーハが引き続き使われていました。オリフラの世代とノッチの世代が現場に併存する理由がここにあります。

SEMIの標準化で、外形から搬送までが共通の形に収まった

Section titled “SEMIの標準化で、外形から搬送までが共通の形に収まった”

ウェーハの外形寸法の標準化は1974年にSEMIによって進められ、以後は製造装置や材料の標準化もSEMIを中心に進められました6。300mm世代のSEMIスタンダードは、ウェーハ形状、ウェーハ搬送、装置のロードポートやオペレーションインターフェース、ファブのユーティリティやCIMシステム、EHSに及びます。この標準化は、デバイスメーカーの装置・材料調達の自由度の増大と、装置・材料サプライヤの開発・製造コストの低減に効果をもたらしたとされています。各社が独自の外形を選ぶ自由と引き換えに、FOUPでの搬送から装置の受け渡しまでが共通の形へ収まりました。

(111)面だけが極端に遅く削れるので、方位を取り違えると形が変わる

Section titled “(111)面だけが極端に遅く削れるので、方位を取り違えると形が変わる”

シリコンは異方性の材料で、性質の一部が結晶の方向によって変わります。アルカリ性水溶液での単結晶シリコンの結晶異方性エッチングでは、(100)面の速度を基準にすると、(111)面とその付近の面を除く結晶面は1〜2倍の数値になり、(111)面のみが極端に小さい速度の面になります7。方位を取り違えたウェーハでアルカリのエッチングを進めると、断面は設計と別の形へ育ちます。

同じ薬液でも、(111)面だけがほとんど進まない
(100)面(111)付近以外の面(111)面基準1〜2倍極端に小さい12(100)面を1としたエッチング速度
(100)面を1とすると、(111)面とその付近を除く結晶面は1〜2倍の速さで削れ、(111)面だけが極端に遅くなります。どの面が表に出ているかで、同じ薬液でも削れる形が変わります。

単結晶シリコンのすべり面も(111)で、結晶がずれる面も方位で決まります。アニールウェーハのような高温の熱処理でスリップ転位が課題に挙がるのも、この結晶のずれに関わる現象です。

グローバルウェーハズ・ジャパンの一般仕様では8、拡散ウェーハと小口径両面研磨ウェーハの結晶方位が(100)と(111)です。厚膜SOIウェーハでは(100)、(111)、(110)を挙げたうえで、(111)と(110)は別途相談です。標準の方位から離れる注文は、納入の条件も別立てになります。研究の場でも、ほとんどは(100)、(110)、(111)のような低指数の方位を使い、特殊な用途では高指数の方位が要ることもあります。

各工程の装置は、同じ1か所の切り欠きで向きを合わせる

Section titled “各工程の装置は、同じ1か所の切り欠きで向きを合わせる”

ノッチの位置がずれたまま流すと、装置がウェーハを載せる向きもずれます。目印は各工程の位置決めに使うため、ダイシングで切る方向も、オーバーレイ計測で重ねる向きも、アルカリで削れる形も、同じ1か所の切り欠きを基準にしています。異なる装置で測ったウェーハのマップを重ねるときも、まずノッチを基準にした回転と中心のずれをそろえます。

ノッチとは何ですか?

ウェーハの外周に刻んだV字の切り欠きです。外周研削の工程で、外周の一部に結晶方位を示す溝(ノッチ)あるいは平面(オリエンテーションフラット)を加工し、位置合わせや取り扱い、識別の基準にします。

オリフラとノッチはどう使い分けますか?

口径で変わります。200mmウェーハまではオリフラが一般的で、300mmウェーハではより小さなノッチと呼ばれる切れ目が付いています。大口径でノッチを使うのは、使えるウェーハの面積を多く残すためとされています。

結晶方位はいつ決まりますか?

単結晶を引き上げる段階です。ルツボ内で融解したシリコンの液面へ種結晶シリコン棒をつけ、回転させながら引き上げると、種結晶と同じ原子配列の単結晶インゴットができます。

結晶方位は加工にどう作用しますか?

加工の進み方が方位ごとに異なります。アルカリ性水溶液での結晶異方性エッチングでは、(100)面の速度を基準にすると、(111)面とその付近の面を除く結晶面は1〜2倍になり、(111)面だけが極端に小さい速度になります。

ノッチはどの工程で使いますか?

各工程で位置決めをするときの目印として使います。ダイシングで切る方向も、重ね合わせの向きも、この同じ1か所を基準に合わせます。

(100)以外の方位を頼むとどうなりますか?

グローバルウェーハズ・ジャパンの一般仕様では、拡散ウェーハと小口径両面研磨ウェーハの結晶方位が(100)と(111)で、厚膜SOIウェーハの(111)と(110)は別途相談です。研究用では(100)、(110)、(111)のような低指数の方位が一般的で、特殊な用途では高指数の方位も使われます。

外形の寸法は誰が決めていますか?

ウェーハの外形寸法の標準化は1974年にSEMIによって進められ、以後は製造装置や材料の標準化もSEMIを中心に進められました。

8件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8