ベベリング(ウェーハ面取り)とは
ベベリング(ウェーハ面取り)とは、スライスしたウェーハの外周端面をダイヤモンド砥石で研削し、角を落として円弧状に整える工程です。 切り出したままの鋭い角は欠けやクラックの起点になるので落とします。この工程で決まるのは角の有無だけではありません。面取り幅は厚いエピ成長で外周に出る盛り上がりの高さを左右し、オリフラとの境目に角を残せばレジストに縞が出ます。ベベリングは、端面の形を寸法で決める工程です。
スライス直後の四角い角を、溝付き砥石の斜面で円弧状に削り取る
Section titled “スライス直後の四角い角を、溝付き砥石の斜面で円弧状に削り取る”グローバルウェーハズ・ジャパンは、シリコンウェーハの製造工程を外周研削、スライス、ベベル加工、ラップ加工、エッチング、ポリッシングの順に示しています。ベベル加工は、製造工程での欠けやクラックを防ぐため、ダイヤモンド砥石でウェーハ端面を円弧状に研削・面取りする工程です1。
東京精密の特許は従来法として、回転するウェーハに回転する溝付き砥石の斜面を押し当て、上下の縁を面取りする方法を挙げています。同じ特許は面取りの目的を、ウェーハの割れの防止とごみの付着防止としています2。この特許はラップしたあとに外周を面取りする例を従来法として書いていて、スライスとラップのどちらの直後に置くかは製造元で分かれます。
砥粒が円周方向にしか動かないと、面取り面に筋が残る
Section titled “砥粒が円周方向にしか動かないと、面取り面に筋が残る”溝付き砥石を押し当てるだけの従来の面取りでは、砥粒の動く方向がウェーハの円周方向に限られます。東京精密の特許によると、このために面取り面に筋がつき、形の精度と面粗さが落ちます。同社の特許が示す対策は2つです。1つは砥石の回転軸をウェーハの接線方向に傾ける方法、もう1つは砥石を傾斜した研削面に沿って往復させながら削る方法です。どちらも働く砥粒の数を増やし、面取り形状の精度と面粗さを改善するとしています。
研削で残った面をさらに磨いて仕上げる工程がウェーハエッジ研磨です。Mipoxは、研磨テープを使う独自の技術で目詰まりせず、常に新しい砥粒面で磨き続けられるとしています3。対象はベベル、ノッチ、トップエッジの各部位で、ハーフインチから450mmまでのウェーハに対応するとしています。
KoCoSは、特許を取った光切断センサーを使う自社のWATOM LSで、ノッチの内側まで含めて端面の断面形状を高い精度で測れるとしています4。端面に当たったレーザー線をCMOSカメラで撮り、同社が開発した数学アルゴリズムで形状の特性値を求める方式です。ノッチを測らなくてよい、要求の緩い用途向けには、テレセントリック光源で照らした端面をCMOSカメラで撮る投影方式のWATOM CCDを用意しています。測った断面から面取りの角度や幅などを取り出す方法は、SEMI M73が定めています。
厚いエピ層では外周の盛り上がりが30µmに達することがあり、10µmを超えると露光マスクに当たる
Section titled “厚いエピ層では外周の盛り上がりが30µmに達することがあり、10µmを超えると露光マスクに当たる”厚いエピタキシャル層を気相成長させると、外周にエッジクラウンと呼ぶ異常成長の盛り上がりが出ることがあります。信越半導体の特許は、基板を搬送するときの衝突による割れや欠けと、このエッジクラウンの両方を抑えるために面取りが必要だとしています。面取りしたウェーハでも、厚いエピ層では表と裏の両側に高いクラウンが生じる例を同特許は挙げています。表のクラウンは面取り部のファセットとの境目に、裏のクラウンは裏面側の面取り部の周りに盛り上がります。
高さの基準は露光です。同特許によると、約100µmのエピ層では表側のクラウンが成長条件によって30µmに達し、10µmを超えると露光パターン形成のマスクに接触します5。クラウンの出る位置は基板の面方位で決まり、主面が(100)面なら外周付近の4か所です。
成長速度で表を下げると裏が上がるので、面取り幅で抑える
Section titled “成長速度で表を下げると裏が上がるので、面取り幅で抑える”同特許によると、成長速度を上げると表のクラウンは低くなって裏のクラウンは高くなり、成長速度を下げるとその逆になります。成長条件で表を下げれば裏が上がるので、特許は基板の形の側で抑える方法を選んでいます。
調整する寸法は面取り幅で、基板の最外周から面取り部の内側の端までの距離です。信越半導体の特許は、面取り幅を調整すると表と裏のクラウンを抑えられるとし、主面が(100)面でオフ角が約0°の基板では面取り幅570µm以上が望ましいとして、この値を含む請求項を立てています。実施例は厚さ200µmのエピ層と、面取り幅600µmの基板です。
オリフラとの境目に角が残ると、レジストに盛り上がりと縞が出る
Section titled “オリフラとの境目に角が残ると、レジストに盛り上がりと縞が出る”円周部の面取りが整っていても、角が残る場所があります。日立製作所の特許は、外周の円弧とオリエンテーションフラット(オリフラ)の境目に残る鋭い角を問題にしています。この角はエアベアリング搬送のガイドや他のウェーハに当たると欠けの起点になります。フォトレジストを塗るとレジスト膜に盛り上がり(クラウン)と縞が出て6、エピ層を成長させると異常成長で膜厚が乱れます。
同特許は、境目の部分にも面取りを施して鋭い角をなくし、レジストのクラウンと縞を和らげる面取り寸法にすることで、解像度の低下と異常なエピ成長を防ぐとしています。
面取り機はSiCやサファイアにも使われ、デバイスウェーハのナイフエッジ対策でも注目されている
Section titled “面取り機はSiCやサファイアにも使われ、デバイスウェーハのナイフエッジ対策でも注目されている”東京精密は、ウェーハ外周部を面取りする加工機W-GMシリーズを、シリコン、サファイア、SiCなど多種材料のウェーハ7に使う装置として紹介しています。同社は、シリコンウェーハメーカーに加えて、化合物半導体や酸化物材料のメーカーでも使われているとしています。Mipoxも、SiCウェーハの面取りと研磨を高効率かつ低ダメージで行えるとしています。
面取りの出番は、基板メーカーの工程だけではありません。東京精密は、デバイスウェーハの最終工程でナイフエッジが原因となる歩留り低下に対しても、面取り機の有効性が注目されているとしています。Mipoxは、面取り、面粗さを制御する研磨、ナイフエッジ形状を防ぐエッジ形状の形成を、実績のあるエッジ工程に挙げています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ベベリング(ウェーハ面取り)とは何ですか?
スライスしたウェーハの外周端面をダイヤモンド砥石で研削し、角を落として円弧状に整える工程です。回転するウェーハの縁に、回転する溝付き砥石の斜面を押し当てて上下の角を削ります。
ウェーハ製造のどこで行いますか?
グローバルウェーハズ・ジャパンの製造工程では、スライス加工のあと、ラップ加工(両面機械研磨)の前に行います。東京精密の特許はラップしたあとに外周を面取りする例を従来法として書いていて、順序は製造元によって異なります。
何のために面取りするのですか?
製造工程での欠けやクラックを防ぐためです。東京精密の特許は、割れの防止に加えて、ウェーハへのごみの付着を防ぐ目的も挙げています。信越半導体の特許は、搬送中の衝突による割れや欠けと、エピ成長で外周に出る異常成長の両方を抑えるために面取りが要るとしています。
エッジクラウンとは何ですか?
エピタキシャル成長のときにウェーハ外周に生じる異常成長の盛り上がりです。信越半導体の特許によると、約100µmのエピ層では表側のクラウンが成長条件によって30µmに達し、10µmを超えると露光工程でマスクに接触します。主面が(100)面の基板では外周付近の4か所に出ます。
面取りの形でエッジクラウンを抑えられますか?
信越半導体の特許は、面取り幅を調整すると表と裏のクラウンを抑えられるとし、主面が(100)面でオフ角が約0°の基板では面取り幅570µm以上が望ましいとしています。成長速度を変えると表と裏の一方が下がって他方が上がるので、同特許は基板の形の側で抑える方法を取っています。
シリコン以外のウェーハでも面取りしますか?
はい。東京精密は、面取り加工機W-GMシリーズをシリコン、サファイア、SiCなどのウェーハに使う装置として紹介しています。Mipoxも、SiCウェーハの面取りと研磨を高効率かつ低ダメージで行えるとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ウェーハエッジ研磨とは── 面取りした端面をさらに研磨する工程
- ラッピングとは── 面取りの次に行う両面の機械研磨
- スライシングとは── 面取りの直前にインゴットをウェーハに切る工程
- エピタキシャルウェハとは── 外周のクラウンが問題になる製品
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- 1グローバルウェーハズ・ジャパン:シリコンウェーハの製造工程sas-globalwafers.co.jp ↩
- 2東京精密:米国特許 US5295331A Method of chamfering semiconductor waferpatents.google.com ↩
- 3Mipox:Wafer Edge Polisherproduct.mipox.co.jp ↩
- 4
- 5
- 6日立製作所:米国特許 US4783225A Wafer and method of working the samepatents.google.com ↩
- 7東京精密(ACCRETECH):エッジグラインディングマシンaccretech.com ↩