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シリコンウェーハの作り方と受入検査|量産の径は最大300 mm、SEMI

シリコンウェーハとは、単結晶シリコンのインゴットを薄く切り、鏡面に磨いた円板だ。ほとんどの半導体はこの上に作られ、SEMIによれば量産で作られる径は最大300 mmである1。ウェーハの性質は二つの段階で決まる。酸素・炭素・抵抗率は結晶を育てる段階で決まり、厚さ・平坦度・表面の状態は、インゴットを切ってから磨くまでの加工で決まる。

SEMIの規格も、格子間酸素、抵抗率、厚さと平坦度、表面の散乱体、表面の金属を、それぞれ別の試験法で測る形に分かれている。成膜や露光のマップに中心と外周の差が出たときの調べ方として、本稿では、これらの受入時のマップと同じ座標で比べ、両方にある差をウェーハ側、受入時になかった差を工程側の候補に分ける手順を最後の節にまとめた。

ウェーハは、結晶を育てる工程と、切って磨く工程で作る

Section titled “ウェーハは、結晶を育てる工程と、切って磨く工程で作る”

SUMCOの製造工程の説明によれば2、シリコンウェーハの多くはCZ法(チョクラルスキー法)で作る。金属不純物を数ppb以下まで精製した多結晶シリコンを石英るつぼで溶かし、種結晶を回しながら引き上げて単結晶インゴットにする。顧客の求めに応じて、融液に強い磁場をかけるMCZ法や、るつぼを使わずに溶けた帯を動かすFZ法も使う。CZ法では石英るつぼから酸素が融液に溶け込み、FZ法では酸素の少ない結晶が得られる。

インゴットは径をそろえてからスライスし、ラッピングで厚さと両面の平行度を整え、エッチングで機械加工の傷を除き、研磨で最終の表面を作る。電子グレードの鏡面ウェーハの寸法と共通の特性はSEMI M13が定め、エピ・アニール・SOIウェーハを作るための出発ウェーハも対象に含む。

図1結晶からウェーハになるまで
CZ MCZ FZ 酸素 ドーパント 石英るつぼ 融液 磁場を加える 溶融帯を移動 るつぼなし・低酸素 結晶成長で酸素・炭素・抵抗率が決まる インゴット 薄板 研磨面 エピ層 加工ダメージ 厚さ・平行度・表面が決まる エピ層の抵抗率・厚さ
酸素・炭素・抵抗率は結晶成長で決まり、厚さと表面はスライスから研磨までの加工で、エピ層の抵抗率と厚さはエピ成長で決まる。

酸素・炭素・抵抗率は、結晶を育てる段階で決まる

Section titled “酸素・炭素・抵抗率は、結晶を育てる段階で決まる”

受入時に測る酸素は、SEMI MF11884の赤外吸収で求める格子間酸素の濃度だ。炭素はSEMI MF13915で置換型炭素として測る。どちらも結晶の中に溶けている原子の量で、熱処理で析出した酸素の量とは別の値になる。

酸素は不純物であると同時に、使い道もある。SEMI MF1239は6、デバイス工程を模した熱処理の前後で格子間酸素がどれだけ減ったかから酸素の析出特性を測る試験法で、バルクの酸化物析出物を、製造中に入る金属不純物を捕らえるゲッタリングサイトになる可能性があるものとして扱う。破壊試験なので抜き取りで行う。表層の結晶欠陥を減らしながらバルク側に析出物を残した製品がアニールウェーハで、SEMI M57は7、COP(結晶由来のピット)の低減と無欠陥層の幅を含めて、その特性を規定している。

抵抗率は、SUMCOの説明によれば2、多結晶シリコンと一緒にるつぼへ微量に入れるホウ素やリンで調整する。SEMI MF84は8、一直線に並べた四探針で電圧と電流を測り、ウェーハの形状と測定位置で補正して抵抗率を求める方法だ。ドーパントの化学的な濃度、働くキャリアの濃度、抵抗率はそれぞれ別の量で、同じ濃度でも活性化の状態や補償、温度で電気的な応答は変わりうる。後工程のイオン注入で作る局所的なドーパント分布とも分けて扱う。

形の量は、厚さ・TTV・平坦度・ボウ・ワープ・ナノトポグラフィに分かれる

Section titled “形の量は、厚さ・TTV・平坦度・ボウ・ワープ・ナノトポグラフィに分かれる”

厚さは一点での表面から裏面までの距離、TTV(全厚さ変動)は指定した領域内の厚さの最大値と最小値の差だ。平坦度は裏面を理想平面とみなしたときの表面の偏差を、サイトごとに表す。ボウは自由状態での中心面の中心点の変位、ワープは同じ中心面の全域での最大値と最小値の差である。SEMI MF15309は厚さ・TTV・平坦度を、SEMI MF139010はボウとワープを、自動の非接触走査で測る方法を定める。これらを一つの「反り」にまとめると、厚さの差、チャックで矯正される全体の形、局所的なサイトの高さの差が一つの値にまとまり、区別できなくなる。

TTVをどこまで小さくできるかの例として、NISTは磁気粘性流体研磨と赤外干渉計による測定を組み合わせ、TTV約40 nmの300 mmウェーハを作った11。

ナノトポグラフィは、これらより短い横方向の尺度の高さ変動だ。SEMI M43は12、空間波長がおよそ0.2〜20 mmの範囲にある表面の非平面偏差と定義し、高さは数nmから数百nmに及ぶとする。同じ規格は、CMP前のナノトポグラフィがCMP後の絶縁膜の厚さのばらつきにつながり、山谷20 nmほどの起伏でもCMP後の絶縁膜に変色が出ることがあると記している。外周部の断面形状は別の量で、SEMI M7313が面取りの角度や幅などを取り出す方法を定める。

表面は光の散乱で検査し、サイズは標準粒子に換算した値で報告する

Section titled “表面は光の散乱で検査し、サイズは標準粒子に換算した値で報告する”

パターンのないウェーハの表面検査では、回転するウェーハにレーザーを当て、粒子や欠陥で散った光を検出器で捉える。日立ハイテクは14、この方式がウェーハメーカーの出荷検査とデバイスメーカーの受入検査に使われ、鏡面ウェーハで見つかる欠陥にはパーティクルのほかCOPのような結晶欠陥も含まれると説明する。SEMI M35は15、パーティクルやピットのように局在する散乱体をLLS(局在光散乱体)、スクラッチのように広がった散乱体をXLSと呼び分け、局在しない散乱光のバックグラウンドであるヘイズとも区別する。

検査装置が返すLLSのサイズは、標準粒子に換算した径で報告される。換算の仕組みと、その値が何に左右されるかは表面検査の粒径の解説で詳しく扱う。COPとパーティクルの分類には、CZウェーハでCOPをほかの輝点から切り分ける差分法16のような手法と、AFMなどによるレビューを組み合わせる。

金属汚染は、散乱光とは別に化学分析で測る

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表面金属は元素の種類と面密度、パーティクルは付着物の数と大きさ、LLSは光学系の応答で、それぞれ別の測定結果だ。SEMI M85は17、VPDまたはDADDでウェーハ表面から回収した微量金属をICP-MSで測る枠組みで、結果には回収面積、ブランク、回収率、検出下限が伴う。受入時からあった汚染と工場内での再汚染を分けるには、洗浄の前後で同じウェーハを測り、対応するモニターウェーハの結果とロット・スロットで結びつける。

ウェーハの種類は、届く断面の構造で分かれる

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SUMCOの製品一覧は18、ポリッシュド、エピタキシャル、アニール、接合分離、SOIを別々の構造として示している。主な4種類と、それぞれを扱うSEMIの規格は次のとおりだ。

種類断面の構造扱うSEMIの規格
鏡面(ポリッシュド)単結晶の基板そのものM1
エピ鏡面基板の上に単結晶Si層を成長させた二層構造M62
アニール鏡面ウェーハの表層を高温で処理した構造M57
SOI活性Si層、埋め込み酸化膜(BOX)、支持基板の積層M71

エピウェーハの受入項目はSEMI M62が19、エピ層の厚さ、キャリア濃度、表面欠陥などを含めて定める。CMOS LSI向けのSOIウェーハはSEMI M71が20、酸素イオン注入による分離(SIMOX)と貼り合わせによる層転写の両方を含めて規定する。シリコン以外の基板には別の規格を当てる。たとえばSEMI M5521はポリタイプ4Hと6Hの単結晶SiCウェーハを対象にしている。

本稿の切り分け手順は、下流マップの中心・外周差を受入マップに重ねること

Section titled “本稿の切り分け手順は、下流マップの中心・外周差を受入マップに重ねること”

この節は、成膜後の膜厚マップや露光のフォーカスマップに同心円状の差が出たときの調べ方を、本稿が独自にまとめたものだ。土台にするのはSEMI M2022の座標系で、M20が定めるのは座標系だけである。M20は、ウェーハの中心を原点とする直交座標か極座標で表面上の点を一つに決め、パターンやダイのマップの座標とも結びつけられるようにする規格である。

重ねる前に、四つの変換をそろえる。一つ目はノッチを基準にした回転、二つ目は表裏で反転する軸、三つ目は幾何学的な中心と装置の位置合わせ中心のずれ、四つ目はサイトの大きさとダイの格子だ。厚さマップと表面欠陥マップの中心が合って見えても、片方が装置独自の中心補正を使っていれば、同じ位置どうしの比較はずれる。

図2結果マップと受入マップを重ねる
成膜後の膜厚マップ デバイス側の症状 受入時の厚さ・形状マップ 同じウェーハ・同じ座標 中心 外周 局所的な薄膜 ノッチ 対応する差なし 一致 一致した差:ウェーハ側(形状・表面)の候補 受入時になかった差:工程で加わった変化の候補
膜厚マップの中心・外周差が受入時の形状マップにも同じ座標で出ていればウェーハ側、受入時になかった局所的な差は工程側の候補になる。

本稿では、下流の症状ごとに先に開く受入マップを次のように対応させている。

下流の症状先に開く受入マップ同時に確かめる工程側の量
膜厚・組成の中心と外周の差厚さ、サイト形状、ナノトポグラフィ、表面欠陥温度、チャンバー、処理順
フォーカス・重ね合わせの残差サイト平坦度、中心面の高さ、ノッチチャック、ステージ、レジスト膜
CMP後の膜厚のばらつきナノトポグラフィ、サイト形状、スクラッチパッド、スラリー、圧力
接合・リークの差抵抗率、酸素・炭素、表面金属注入とアニールの記録
欠陥の増加LLS・XLS・ヘイズ、金属の採取結果洗浄の時刻、キャリア、装置のチャンネル

優先順位も本稿の決め方だ。一枚のウェーハだけで一致する分布は、そのウェーハの局所的な特徴かハンドリングを候補にする。複数のウェーハに同じ径方向の分布があり、インゴット内の位置とも連続しているなら、結晶とウェーハ加工の側を先に測り直す。供給ロットをまたいで同じチャンバーや同じスロットに出るなら、工程側を先に調べる。工程側もウェーハ形状と同じ同心円の分布を作りうるので、マップの一致は、次に振る条件を選ぶ材料として使う。CMPでの例はCMPの解説にある。

量産の径は300 mmで、450 mmの規格は開発用にとどまる

Section titled “量産の径は300 mmで、450 mmの規格は開発用にとどまる”

2025年の世界のシリコンウェーハは、出荷面積が増えて売上が減った。数字と理由は2025年のウェーハ市場の分析にある。

450 mmには開発用の規格がある。SEMI M76は23、450 mmウェーハで装置と工程を研究開発し、計測の手法を確立するための鏡面ウェーハの寸法と結晶の要求を定めた規格で、SEMIのストアでは無効(Inactive)と表示されている。

ウェーハメーカー各社は、製品を断面の構造で分けて示す

Section titled “ウェーハメーカー各社は、製品を断面の構造で分けて示す”

SUMCOはポリッシュド、エピ、アニール、接合分離、SOIを、信越化学工業24はラップド、ポリッシュド、拡散、エピ、SOI、アニールを、GlobalWafers25はポリッシュド、拡散、エピ、アニール、SOIを製品ページに並べる。Siltronic26はCZとFZの結晶、鏡面とエピのウェーハを示す。

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    GlobalWafers:製品一覧sas-globalwafers.com ↩
  26. 26
    Siltronic:製品siltronic.com ↩