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半導体の材料一覧|日本企業は23品目中16品目で過半、金属シリコンは中国が87%

半導体の材料とは、チップの土台になるシリコンウェーハと、その上で膜を付け、模様を写し、削り、磨き、最後にチップを包むために使う加工材料のことだ。ウェーハの原料をたどると、珪石を還元して作る金属シリコンに行き着く。

日本企業は加工材料の多くで世界の過半を持つ。富士経済の調査をもとに経済産業省がまとめた本社所在地別の売上高シェアでは1、2023年の前工程材料23品目のうち16品目で日本企業が50%を超え、フォトレジストは78%、シリコンウェーハは53%だった。一方、ウェーハの出発点になる金属シリコンは、2025年に世界生産4,600千トンのうち4,000千トンを中国が作った2。比率で87%になる。日本が強い材料の下流と、1国に集まった上流が、同じ供給網の両端にある。

半導体の原料は金属シリコンで、ウェーハになるまでに純度を何段も上げる

Section titled “半導体の原料は金属シリコンで、ウェーハになるまでに純度を何段も上げる”

米国地質調査所(USGS)によると2、金属シリコンは珪石などのシリカから作り、さらに超高純度に精製すると半導体用や太陽電池用の多結晶シリコン(ポリシリコン)になる。SUMCOの製造工程の説明では3、ウェーハの原料にする多結晶シリコンは、金属不純物の濃度をppb(10億分の1)以下まで下げてある。

この多結晶シリコンを、抵抗を決めるホウ素やリンと一緒に石英ルツボで約1,420℃に溶かし、種結晶を回しながら引き上げると単結晶インゴットができる。これがCZ法だ。インゴットをワイヤーソーで厚さ1mmほどに切り、研磨材で粗く削り、薬液で傷を溶かし、コロイダルシリカで鏡面に磨くとウェーハになる。先端ロジック向けには、その表面にトリクロロシランなどを流して単結晶の膜を重ねたエピタキシャルウェーハを使う。工程ごとの品質の見方はシリコンウェーハの解説にまとめた。

珪石から金属シリコン、多結晶シリコン、単結晶インゴット、スライス、研削・エッチング・鏡面研磨を経てシリコンウェーハになる7段の流れを、原料・精製・結晶・加工の4区分で示す。
石からウェーハまで、どの順に作るか。金属シリコンを精製して多結晶にし、溶かして単結晶に育て、切って磨く。2025年の金属シリコンは中国が87%を作り、2023年のシリコンウェーハは日本企業が53%を売った。

多結晶シリコンの供給元は限られる。ドイツのWackerは自社を半導体・太陽電池用の多結晶シリコンで世界首位としている4。日本のトクヤマは1984年に参入し、2026年8月にはベトナムで半導体用多結晶シリコンの新工場を開いた5。同じケイ素の化合物でも、炭化ケイ素(SiC)は別の結晶を育てて作る基板で、主に電力用のパワー半導体に使う。

シリコンウェーハは日本の2社が中心で、日本企業のシェアは53%

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2023年のシリコンウェーハの日本企業シェアは53%だった1。中心は信越化学工業とSUMCOの2社で、信越化学は半導体シリコンを世界トップシェアの製品6に挙げる。SUMCOはウェーハ専業7のメーカーだ。海外では台湾のGlobalWafers8とドイツのSiltronic9が続く。

市場の規模は、SEMIの集計で2025年に出荷面積12,973百万平方インチ、売上114億ドルだった10。AI向けのロジックとHBMで先端品の需要が伸び、出荷は5.8%増えた。売上は1.2%減った。従来型の用途で需要と価格の回復が遅れたためだ。

前工程の材料は、エッチングガス・レジスト・研磨パッドで日本のシェアが高い

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半導体材料の世界市場は、SEMIの集計で2025年に732億ドルだった11。このうちウェーハ上で回路を作る前工程の材料が458億ドル、チップを包む後工程の材料が274億ドルを占める。前工程の主な材料と供給元、日本企業のシェアは次のとおりだ。

材料役割主なメーカー(国)日本企業のシェア(2023年)
シリコンウェーハ回路を作り込む基板信越化学工業(日)、SUMCO(日)、GlobalWafers(台)、Siltronic(独)53%1
フォトレジスト光で回路の模様を写す感光膜JSR(日)、東京応化工業(日)、信越化学工業12(日)78%1
マスクブランクス・フォトマスク回路の原版と、その素材の板HOYA13(日、ブランクス)、Tekscend Photomask14(日)フォトマスク 19%1
エッチングガス膜を削る反応ガス関東電化工業15(日)フッ素混合ガス 92%1、PFC 61%
成膜ガス・プリカーサ膜の原料になるガスと液体ADEKA16(日)、Air Liquide17(仏)メタルプリカーサ 45%1、シラン 26%
CMPスラリー・パッド表面を平らに磨く研磨液と研磨布FUJIFILM18(日)、Entegris19(米)、Qnity20(米)パッド 72%1、スラリー 51%
スパッタリングターゲット配線などの金属膜の原料JX金属21(日)、フルヤ金属22(日)60%1
材料ごとの日本企業シェアの横棒。前工程はバッファーコート・再配線材料98%、硫化カルボニル97%、フッ素混合ガス92%、フォトレジスト78%、臭化水素77%、CMPパッド72%、ターゲット材60%、高純度洗浄液59%、シリコンウェーハ53%、CMPスラリー51%、メタルプリカーサ45%、シランガス26%、フォトマスク19%、三フッ化窒素13%。後工程は銅張積層板73%、ボンディングワイヤ56%。
日本企業のシェアはどの材料で高いか。2023年の売上高シェアで、再配線材料、硫化カルボニル、フッ素混合ガス、レジスト、臭化水素、CMPパッドが7割を超え、シランガス、フォトマスク、三フッ化窒素は3割未満にとどまる。

品目の数で日本が最も強いのはエッチングガスで、2023年は硫化カルボニルが97%、フッ素混合ガスが92%、臭化水素が77%だった。前工程の分類に入るバッファーコート膜・再配線形成材料は98%1に達する。低いのはフォトマスクの19%、シランガスの26%、三フッ化窒素の13%だ。高いシェアも動いている。2021年から2023年に、CMPパッドは85%から72%へ、HFCエッチングガスは86%から72%へ下がった。レジストのメーカー別の比較はフォトレジストのメーカーとシェア、ガスと薬液の働きはエッチングガスと洗浄液にある。

後工程の材料でも、日本企業はボンディングワイヤと銅張積層板で過半を持つ

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後工程では、チップを基板につなぎ、樹脂で包む。経済産業省の同じ資料では、2023年の日本企業シェアはボンディングワイヤが56%、銅張積層板が73%だった1。主な材料と供給元は次のとおりだ。

材料役割主なメーカー(国)
パッケージ基板チップの細かい端子を基板側へ広げるイビデン(日)
層間絶縁材パッケージ基板の配線層の間を絶縁する味の素(日、ABF)
ボンディングワイヤチップと端子を結ぶ金属の細線田中貴金属23(日)
封止材チップを樹脂で覆い、湿気や外部環境から守る住友ベークライト(日)、レゾナック(日)

味の素によると、同社の絶縁材ABFは主要なパソコンのほぼ100%24に使われている。田中貴金属は、SEMIの2024年版の調査をもとに、ボンディングワイヤの供給量を世界一としている23。住友ベークライトは半導体封止用のエポキシ成形材料で自社をこの分野のリーディングカンパニー25と位置づけ、レゾナックも有機基板向けのエポキシ封止材26を出している。封止材の種類と選び方は半導体封止材(EMC・MUF)、基板材料は有機ICパッケージ基板材料で詳しく扱う。

後工程材料は2025年に9.3%伸び11、前工程材料の5.4%を上回った。SEMIによると、伸びの中心は基板とボンディングワイヤで、先端基板の需要増と金価格の上昇が売上を押し上げた。

供給の弱点は、中国に集まった金属シリコンと、日本のシェアが低い品目にある

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ウェーハの出発点である金属シリコンは、2025年に中国が世界生産の87%を作った。米国は2025年11月、ケイ素を重要鉱物の一覧に加えた2。多結晶シリコンの側では、トクヤマがベトナムに新工場を開き、韓国OCIとはマレーシアで合弁会社を設けた27。トクヤマはベトナム工場の狙いに、ウェーハ原料の安定供給とサプライチェーンの強靭化を挙げる。

経済産業省も、材料では高いシェアを保ちつつ、競争環境が変わりつつある分野がある1と書く。CMPパッドやHFCガスのように、2年で10ポイント以上落ちた品目がある。SemiMapの見方では、日本の材料産業の弱点は2つに分かれる。1つは中国に集まった金属シリコンという上流、もう1つはシランガス、三フッ化窒素、フォトマスクのように日本企業のシェアが3割未満の品目だ。

就職先や取引先として材料メーカーを見るなら、品目ごとのシェアで分けると判断しやすい。エッチングガス、レジスト、ウェーハ、CMPパッド、ボンディングワイヤ、銅張積層板の会社は世界の過半を握る市場で戦い、成膜ガスやフォトマスクの会社は海外勢と競る市場にいる。材料ごとの供給元は半導体材料の供給元DB、装置を含めた工程ごとの市場規模は工程別の製造装置と材料、各社の企業情報は半導体企業DBで続けて調べられる。

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