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ダイ・ツー・ウェーハ接合とは

ダイ・ツー・ウェーハ接合とは、個片に切り出したダイを、個片化していないウェーハの上に載せて接合する方式です。 接合する前に良品を選べる代わりに、切断した後の面を接合面として使うことになります。

大きさの違うチップレットを積む場合や、不良のダイを混ぜたくない場合、ウェーハ同士を丸ごと合わせる方式では対応しきれません。一方で、切断したダイの表面は汚れやすく、接合面の清浄度を保つことが難しくなります。

大きさの違うダイも載せられ、良品を選んでから積める

Section titled “大きさの違うダイも載せられ、良品を選んでから積める”

ウェーハ接合には2通りの進め方があります。ウェーハを2枚そのまま合わせるのがウェーハ・ツー・ウェーハ(W2W)、片方だけを先に個片化してから合わせるのがダイ・ツー・ウェーハ(D2W)です。

EV Groupは、別々の生産ラインで作ったウェーハを積んで電気的につなぐW2Wハイブリッド接合をヘテロ集積の中心技術とし1、CMOSイメージセンサや各種メモリとロジックの統合で既に実証されているとしています。一方で、多くのチップレットは大きさがまちまちなので、D2Wのハイブリッド接合のほうがヘテロ集積に実用的だとしています。

外形寸法に加えて、良品の位置も問題になります。W2Wでは、相手のウェーハのどこに良品があるかを選べません。NEDOの事業原簿は2、三次元積層では良品チップだけを選別して積層するか、良品率の高いウェーハを選別して積層する必要があり、不良品を大量に作らないためには良品を選別するテスト技術が不可欠だとしています。良品ダイを切り出してから載せるD2Wは、この選別を接合の前に済ませます。

ウェーハ同士か、ダイを選んでからか
ウェーハ同士を重ねる上のウェーハ下のウェーハ重ねた結果どちらかの不良で組ごと失う一度に接合するので速いダイを選んでから載せる検査したダイ受け側良品だけを載せられる1つずつ載せるので時間がかかる良品不良良品の組
ウェーハ同士を重ねると、どちらかに不良がある組はまとめて失います。ダイを先に検査してから載せれば良品だけを使えますが、載せる時間はダイの数だけかかります。

切断と搬送を経た面を、そのまま接合面に使う

Section titled “切断と搬送を経た面を、そのまま接合面に使う”

D2Wの難しさは、接合面がダイシングを経てくることにあります。W2Wでは、接合面は最後まで前工程のクリーンルームの中にあります。D2Wでは、いったん切断し、フィルムフレームなどのキャリアに載せ、ピックアップしてから接合面として使います。

面への要求は直接接合の側から来ます。常温ウェーハ接合では、活性化した面の結合手(ダングリングボンド)同士が原子間距離まで近づく必要があるため3、接合できるかどうかは界面の面粗さでほぼ決まり、三菱重工の常温ウェーハ接合装置では算術平均面粗さRaで0.5nmから0.7nm以下が必要です。三菱重工は、接合界面のパーティクルはボイドの原因になるので洗浄も十分に行う必要があり、活性化した表面に残留ガスが再吸着して結合手を終端しないよう、一般に10のマイナス6乗Pa台の真空が必要だとしています。

切断と搬送を経て接合装置に届く面にパーティクルが1つ挟まれば、そこはボイドになります。EV Groupは直接配置式D2W接合の短所として、接合界面に触れる必要があること、マルチダイスタック用途でのダイの搬送、ダイ配置時のパーティクル管理を挙げています。

この洗浄を接合の直前に行うのが、EV GroupのEVG320 D2Wです4。同社は直接配置式D2W接合向けでは業界初の商用ハイブリッド接合用の活性化・洗浄装置としています。フィルムフレームなどのキャリアからのダイ投入に対応し、他社のピック&プレース・ダイボンディング装置とつなぐインターフェースを備え、個片化したダイをもう一度洗って活性化する工程を1台で行います。

一括式は位置ずれが2段分重なり、直接配置式はダイごとにパーティクルを管理する

Section titled “一括式は位置ずれが2段分重なり、直接配置式はダイごとにパーティクルを管理する”

EV Groupは、ヘテロ集積のためのD2W接合方式として、一括式(Co-D2W)と直接配置式(DP-D2W)の2つを挙げ、それぞれに長所と短所があるとしています。

一括式は、複数のダイを1回のステップで最終ウェーハに一括搬送する方式です。製造フローは、キャリアの準備、キャリアへのダイ配置、ウェーハ接合(仮接合と永久接合)、キャリア剥離の4つで構成され、シリコンフォトニクス向けなどで数年前から少量生産に使われています。長所は、確立された技術であること、W2Wハイブリッド接合と同じダイ活性化と洗浄が使えること、酸化膜を管理できること、支持基板をリワークできることの4つです。短所は、D2WとW2Wのアライメント誤差が加算されること、キャリアの準備・利用・洗浄の費用、ダイ厚のばらつきを最小にする必要があることです。

直接配置式は、ピック&プレース式のフリップチップボンダーで、個片化したダイをターゲットウェーハに1つずつ接合する方式です。製造フローは、キャリアへのダイ配置、ダイの洗浄と活性化、フリップチップ方式での直接配置の3つです。

2つの方式は、位置合わせの誤差の重なり方と、パーティクルの持ち込み方で違います。一括式はキャリアの上にダイを並べ直してからW2Wと同じ形で接合するため、キャリアに並べるときのずれと、キャリアをウェーハに合わせるときのずれが足し合わされます。直接配置式は位置合わせが1回で済む代わりに、接合界面に触れながら1つずつ載せることになります。

一括式と直接配置式
一括式(Co-D2W)キャリアの準備ダイを並べるウェーハ接合キャリア剥離位置ずれが2段分重なる直接配置式(DP-D2W)キャリアにダイを置く洗浄と活性化1つずつ直接載せる載せるたびにパーティクル管理
一括式はウェーハ接合の洗浄と活性化をそのまま使えますが、位置ずれが2段分重なります。直接配置式は位置合わせが1段で済む代わりに、ダイを載せるたびにパーティクルを管理します。

薄くするほど剥がしに時間がかかり、やり直せるのはアニールの前まで

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D2Wでまず問題になるのがダイの厚さです。薄くすれば積んだときの全体の高さが下がり、一括式で求められるダイ厚のばらつきも絶対値として小さくなります。その代わり、キャリアから剥がす工程に時間がかかります。チップをダイシングフィルムなどのキャリアから剥がす工程ではニードルによる剥離が主流ですが5、厚さ100µm以下の薄いチップでは専用の治具を使う方式になり、通常の10倍以上の時間がかかります。粘着力の差を使うスタンプ方式ではさらに時間がかかり、生産性に課題がありました。

東レエンジニアリングは2024年に、レーザー・ピール・トランスファー(LPT)技術を公表しました。厚さ3µm以下の極薄チップでも、従来のフリップチップボンダーより速くキャリアから拾い上げて基板に移せるとしています。薄くするほどピックアップに時間がかかる関係を、装置の側から解消しようとする開発です。D2Wでは、ウェーハ薄化と薄化ウェーハのハンドリングが接合の前提条件になります。

もう1つの判断が、どこまでならやり直せるかです。東京エレクトロンのSynapse ZFは6、貼り合わせた後、永久接合のアニールの前であればやり直しができるリワーカー装置で、永久接合プロセスの歩留まり向上と製造コスト削減に役立つとしています。仮接合と永久接合を分けておけば、ずれや異物に気づいた時点で外せます。続けて処理すれば工程は短くなりますが、接合アライメントの結果を確かめて直せるのは熱処理の前までです。

歩留まりを下げる原因は、接合前の搬送と洗浄に集まる

Section titled “歩留まりを下げる原因は、接合前の搬送と洗浄に集まる”

D2Wは、大きさの異なるダイを載せられ、載せる前に良品を選べる代わりに、1つずつ載せる時間、切断した面を接合面に使うための清浄度の負担、一括式を選んだ場合に加算される位置合わせの誤差の3つを払います。ハイブリッドボンディングをD2Wで行う場合、接合面はCMPで作られ、ダイシング、キャリア搬送、洗浄と活性化を経て接合に入ります。工程が増えるほど、Ra 0.5nmの面が汚れる機会が増えます。D2Wの歩留まりを下げる原因が接合前の搬送と洗浄に集中するのは、このためです。

ダイ・ツー・ウェーハ接合とは何ですか?

個片に切り出したダイを、個片化していないウェーハの上に載せて接合する方式です。接合する前に良品を選べる代わりに、切断した後の面を接合面として使うことになります。

ウェーハ・ツー・ウェーハとの使い分けはどうなりますか?

接合の前に選別したいかどうかで使い分けます。多くのチップレットは大きさがまちまちなので、EV Groupはダイ・ツー・ウェーハのハイブリッド接合のほうがヘテロ集積に実用的だとしています。ウェーハ同士を合わせる方式では、良品の位置も外形寸法も相手のウェーハで決まります。

良品を選んでから載せると、何が起きますか?

不良を作り込む量が減ります。NEDOの事業原簿は、三次元積層では良品チップのみを選別して積層するか、良品率の高いウェハを選別して積層する必要があり、不良品を大量に製造する恐れを避けるには良品を選別するテスト技術が不可欠だとしています。

一括式と直接配置式はどう使い分けますか?

一括式D2W接合は複数のダイを1回のステップで最終ウェーハへ一括搬送する方式で、キャリアの準備、キャリアへのダイ配置、ウェーハ接合、キャリア剥離の4つのセグメントからなります。直接配置式はピック&プレース式のフリップチップボンダーで個片化したダイを1つずつ接合する方式で、キャリアへのダイ配置、ダイの洗浄と活性化、ダイの直接配置の3つのセグメントからなります。

接合面にはどのくらいの平坦さが要りますか?

常温ウェーハ接合では結合手同士が原子間距離まで近づく必要があるため、接合できるかどうかは界面の面粗さでほぼ決まり、三菱重工の常温ウェーハ接合装置では算術平均面粗さRaで0.5nmから0.7nm以下が必要です。

パーティクルは何を引き起こしますか?

ボイドの原因になるため、洗浄も十分に行う必要があります。EV Groupも、直接配置式の短所としてダイ配置時のパーティクル管理を挙げています。

置き直しはどの段階まで可能ですか?

熱処理の前までです。東京エレクトロンのSynapse ZFは、貼り合わせた後、永久接合のアニールの前であればやり直しができるリワーカー装置です。

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