接合オーバーレイとは
接合オーバーレイとは、貼り合わせた2枚のパッドが、どれだけずれているかを表す量です。 ずれが小さいほど接する面積が広く、結線の抵抗が下がります。
リソグラフィの位置合わせ誤差は、同じウェーハの中の層どうしの問題です。接合では2枚の別々のウェーハを一度で合わせるため、ずれてもやり直せません。しかも接合の最中に2枚のウェーハは変形し、ゆがみやすいため1、装置で位置を合わせる精度に加えて、そのゆがみをどう打ち消すかが結果を分けます。
ずれるほど抵抗が上がり、半分を超えると短絡する
Section titled “ずれるほど抵抗が上がり、半分を超えると短絡する”上下のパッドが完全に重なれば、接する面積はパッドの全面になります。ずれるほど重なりが減り、その分だけ結線の抵抗が上がります。ずれがパッドの幅の半分を超えると隣のパッドへ届き始め、抵抗の増加に加えて短絡という別の不良が出ます。
ずれへの強さは、パッドの並べ方と大きさの設計でも変わります。imecは、従来の正方格子に代えて六角格子に円形のCuパッドを並べるテスト構造を初めて提案しました2。この並べ方では、隣り合うすべてのパッドが等しい距離で最も密に詰まります。上のウェーハのパッドを下より小さくする設計もあり、imecは、上下で大きさの違うパッドには接合オーバーレイの許容幅が広がり2、細かいピッチで寄生容量が減り、絶縁破壊の強さが上がる利点があるとしています。
必要な精度はピッチの4分の1で、400 nmピッチなら100 nm
Section titled “必要な精度はピッチの4分の1で、400 nmピッチなら100 nm”imecは、一般に接合工程の位置合わせ精度はピッチの4分の1に相当するとしており1、200 nmピッチなら50 nmです。この目安を400 nmピッチに当てはめると100 nmになります。
400 nmピッチのウェーハ接合では、IEDM 2023で位置合わせ誤差150 nm未満が示されました2。imecは、このピッチで量産に十分な歩留まりを得るには、位置合わせ誤差を100 nmより小さくする必要があると結論づけました。4分の1の目安と量産の要求は一致し、実証値との間にはまだ差があります。
300 nmピッチの接合では、95%のダイで位置合わせ誤差が25 nm未満でした1。ピッチの縮小とともに、精度も向上しています。imecは、この精度を300 mmウェーハの全面で出すことを、結線密度を上げるうえで今日最大の課題としています。
接合の波は均一に進まず、そのゆがみを設計で先に打ち消す
Section titled “接合の波は均一に進まず、そのゆがみを設計で先に打ち消す”2枚のウェーハが貼り付くときには、接合の波が面を伝わります。imecはシミュレーションから、この接合の波が均一に進まないことを見いだし、これがウェーハの変形の原因と考えられるとしています1。変形がわかれば、設計者は実際に接合する前にCuパッドの位置を設計上でずらしておけます。
imecは、この接合前のリソグラフィ補正と現行で最も進んだボンダーを使い、300 nmピッチで先の25 nm未満を出しました。ずれの原因を装置の位置決めだけに求めず、ウェーハのゆがみとして設計側で打ち消すところに、この結果の意味があります。
ダイ単位の接合は、ウェーハ単位の2倍以上ずれる
Section titled “ダイ単位の接合は、ウェーハ単位の2倍以上ずれる”ダイ・ツー・ウェーハ接合では、2 µmピッチの接合で位置合わせ誤差は350 nm未満でした3。ウェーハ単位の値の2倍以上です。
1枚ずつ載せる工程では、装置が毎回位置を出し直します。ウェーハ単位なら1回の合わせで全面が決まるため、原理的にダイ単位のほうが不利です。この精度を出したのは高速かつ高精度なピック&プレースで、搭載の速さと精度が、そのまま歩留まりとコストを左右します。
表裏を結ぶ結線では、余裕は15 nm
Section titled “表裏を結ぶ結線では、余裕は15 nm”裏面の結線でも、表面側の構造と裏面側の構造を合わせます。直径20 nm・ピッチ120 nmの裏面ビアは、バリアレスのMoで埋めた構造です。55 nm幅の裏面金属線と20 nm幅の円形底部との間の位置合わせ余裕は15 nmです1。
裏面はウェーハを薄くしてから加工するため、薄化の均一性も位置合わせ精度に影響します。この構造には、極端なウェーハ薄化が必要です。imecの別の研究は、ASMLのスキャナを使って裏面と表面の位置ずれの分布の差を小さくすることを主な目標とし、一時接合が持ち込む大きな誤差にも対処する必要があるとしています4。
精度と、良品を選ぶ自由は逆を向く
Section titled “精度と、良品を選ぶ自由は逆を向く”合わせ精度を上げれば細かいピッチが使えますが、装置の精度と工程の安定を同じ割合で引き上げる必要があります。ウェーハ単位なら1回で全面を合わせられて精度が出るものの、良品だけを選ぶ自由が消えます。ダイ単位なら選べる代わりに精度が落ち、載せる時間もかかります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”接合オーバーレイとは何ですか?
貼り合わせた2枚のパッドが、どれだけずれているかを表す量です。ずれが小さいほど接する面積が広く、結線の抵抗が下がります。
どのくらいの値ですか?
400 nmピッチのウェーハ接合で、位置合わせ誤差は150 nm未満でした。ダイ接合では350 nm未満です。
量産にはいくつ要りますか?
imecは、400 nmピッチで量産に十分な歩留まりを得るには、位置合わせ誤差を100 nmより小さくする必要があるとしています。
一般の目安はありますか?
接合工程に必要な位置合わせ精度はピッチの4分の1で、200 nmピッチなら50 nmです。この目安を400 nmピッチに当てはめると100 nmになり、量産の要求と一致します。
最も小さい報告はどれですか?
300 nmピッチのウェーハ接合で、95%のダイの位置合わせ誤差が25 nm未満でした。接合で生じるゆがみを見込んで、接合前にパッドの位置を設計でずらす補正を使った結果です。
ずれると何が起きますか?
接する面積が狭くなって抵抗が上がります。ずれが半分を超えると、隣のパッドへ届いて短絡します。
表と裏の結線でも影響しますか?
影響します。55 nm幅の裏面金属線と20 nm幅の円形底部との間の位置合わせ余裕は15 nmです。一時接合が持ち込む大きな誤差も抑える必要があります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ハイブリッドボンドピッチとは── 必要な精度を決める寸法
- ウェーハ・ツー・ウェーハ接合とは── 1 回の合わせで全面が決まる方式
- ダイ・ツー・ウェーハ接合とは── 精度が落ちる代わりに選べる方式
- オーバーレイバジェットとは── リソグラフィでの位置合わせ誤差の考え方
4件を表示
- 1
- 2
- 3
- 4imec:薄化ウェーハの裏面露光で表側のマークに合わせるアライメントimec-publications.be ↩