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TSV露出とは

TSV露出とは、シリコンに埋めた貫通電極の底を、ウェーハの裏面に露出させる工程です。 プラグ出し、バックサイドリビールとも呼びます。銅の柱の底はウェーハ全面で同じ深さにあるので、出来を決めるのは削る量より、銅が裏面からどれだけ突き出るかの面内のそろい方です。露出した銅はシリコン中を速く拡散するため、削ったあとの裏面には強度と平坦さに加えて、金属を捕まえる力も求められます。

銅の柱は片端が閉じたまま埋まり、裏面を削って初めて貫通する

Section titled “銅の柱は片端が閉じたまま埋まり、裏面を削って初めて貫通する”

TSVは、表面から深い穴を掘り、側壁に絶縁層とバリア層を作り、銅をめっきで埋めて作ります。シリコン基板に表面から裏面にかけて深いトレンチ孔をボッシュ法でエッチングし、孔の側壁にバリア層と絶縁層をCVD法で形成し、孔の中に金属をめっき法で充填し、表面をCMP等で平坦化して電極を露出させます。この時点の銅の柱は、片端だけがデバイス面につながり、もう一端はシリコンの中で閉じています。最後に裏面から研削・CMP・RIEで薄型加工してトレンチ底部の電極を露出させ、独立した貫通電極を形成します1。要素技術の一覧では、この工程が「ウェハ裏面 BG・CMP・RIE プラグ出し」という名前で挙がっています。

寸法の目安として、産業技術総合研究所は厚さ50µmの薄型ICチップの中心部に50µmピッチで1600個の10µm径TSV配列を形成する構想を示し、10µm径・50µm深さのTSVで1本あたり0.25pFという低容量特性を測定しました。同研究所の設計と試作での値です。厚さ50µmのシリコンに直径10µmの銅の柱が立ち、その底をウェーハ全面でそろえて出すことになります。

薄くする理由の1つはTSVの構造です。ディスコは、ウェーハを極薄化した積層構造を使うと低アスペクト比のTSVが形成でき、配線抵抗と寄生容量が小さくなるとし2、低消費電力、TSVの残留応力の低減、TSVプロセスの低コスト化も実現できるとしています。残すシリコンが薄いほど、掘る穴も短くて済みます。露出工程の難しさとTSVの作りやすさは、同じ厚さの値で決まります。

研削で手前まで落とし、エッチで銅を突き出させ、絶縁膜で覆い直す

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露出の4段階
① 銅を埋めた後② 研削で止める③ ウェットエッチ④ 酸化膜とCMP50 µm銅TSVシリコン酸化膜接着層支持基板
研削は銅の柱の手前で止め、ウェットエッチでシリコンだけを下げて柱を突き出させます。そのあと酸化膜で覆い、CMPで柱の先を開けながら表面を平らにします。

基本の順序は、裏面研削(BG)、CMP、RIEです。研削で目標付近まで一気に落とし、CMPで平坦さと清浄さを整え、RIEでシリコンだけを選んで下げると、銅の頭が周囲のシリコンより持ち上がります。SEMATECHとNISTが評価に使った直径5µm・深さ50µmのTSVでは、SEMATECHの工程で研削を銅に届く直前で止め3、残りのシリコンをウェットエッチングで除いて銅の柱をシリコン面から突き出させています。

突き出した銅は、絶縁膜でいったん覆い、銅の頭の上だけを開け直します。サムコはCMP、RIEによるCuプラグ出し、SiO2膜の形成、フォトリソグラフィー、SiO2膜のエッチング4という順序を示し、それぞれにRIE装置や液体ソースCVD装置を割り当てています。SEMATECHの工程では、酸化膜を付けたあとCMPで銅の底を開け、同時に表面を平らにします3。開けた銅の頭に、次の再配線層(RDL)がつながります。

この間ずっと、薄くなったウェーハは接着層を介して支持基板に貼られています(一時接合と剥離)。東京エレクトロンは、仮接合のSynapse Vで材料塗布、乾燥、接合を1台の装置で実現したとしています5。剥離側のデボンディング装置Synapse Z Plusについては、ウェーハ剥離とデバイス・キャリアウェーハ洗浄を1台に収め、TSV工程を終えたあとの複雑な工程に対応するとし5、厚さ50µm以下という薄いウェーハでも安定した搬送と加工を実現しているとしています。薄化ウェーハのハンドリングが、TSV露出の前提です。

突き出し量は、研削・支持基板・接着層・エッチのむらを足し合わせて決まる

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突き出し量の面内むら
未露出RDLに接続しない適正な突き出し突き出し過大CMPで曲がるおそれ研削・エッチ後の面銅TSVシリコン接着層支持基板
研削とエッチのむらに、支持基板と接着層の厚さむらが足し合わさって、柱の突き出し量が面内でばらつきます。届かない柱は再配線層につながらず、出すぎた柱はCMPで曲がるおそれがあります。

TSV露出は、目標の厚みへ削り込む作業と、削り残す厚みを面内でそろえる作業の両方で成り立ち、後者のほうが難しくなります。銅の柱の底の深さはウェーハ全面でそろっているため、残すシリコン厚のばらつきが、そのまま銅の出方のばらつきになるからです。SEMATECHとNISTは、研削のむら、支持基板の厚さのむら、接着層の厚さのむら、露出エッチのむらが足し合わさって、突き出し量の面内ばらつきになるとしています3。研削のそろい方は、4つのむらのうちの1つです。厚さの目標値と同じように、面内のばらつきも歩留まりを左右します。

突き出し量には上下両方に失敗があります。露出が足りない銅は再配線層と電気的に接続せず、突き出しすぎた銅はCMPの途中で機械的に損なわれる(曲がる)おそれがあります3。そのため現場では、突き出し量の均一性を白色光干渉、レーザー形状測定、共焦点クロマティック計測、レーザー三角測量3などで確かめます。SEMATECHとNISTの評価では、形状測定の値を9本のTSVからなる単位セルで平均しています。

削りのそろい方の水準として、ディスコは加工レシピとチャックテーブルの傾きを調整して加工点を最適化したグラインダで、TTVを約0.3µmまで改善した測定結果6を示しています。テープなし加工における同社の参照値です。別の技術資料では、4µmまで薄化した300mmのDRAMウェーハでTTV1.02µm、300mmウェーハ全般で研削平坦度TTV2µm未満2という値を報告しています。厚みを落とす工程そのものはウェハ薄化で、TSV露出はその精度要求を引き上げた形です。

裏面に出た銅は、1時間で厚さ725µmの基板を通り抜ける

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裏面から反対面へ届く銅
塗布面反対面350℃加熱725 µm塗布量 1.00E13反対面の銅(atoms/cm2、対数)1時間2時間加熱時間平均 1.59E102.52E10最大 9.57E1019.52E10
塗布量1.00E13 atoms/cm2に対し、350℃で1時間加熱しただけで、厚さ725µmの基板の反対面に最大9.57E10 atoms/cm2の銅が届きます。

銅を露出させると、シリコンの裏面に銅が現れます。銅はシリコン基板中の拡散係数が高いため避けられ7、薄化が進むメモリ系デバイスでは、基板の側面や裏面でも銅の管理が必要です(金属汚染)。

ディスコは拡散の速さを測っています。8インチ・厚さ725µmのシリコン基板の裏面に銅の標準液を面内1.00E13 atoms/cm2で塗布し、350℃で1時間加熱したところ、塗布面と反対の面で平均1.59E10 atoms/cm2、最大9.57E10 atoms/cm2の銅が測定されました。2時間の加熱では平均2.52E10 atoms/cm2、最大19.52E10 atoms/cm2でした。後工程で使う温度環境より厳しい加速試験の条件ですが、銅は1時間で厚さ725µmの基板を通り抜けます。

裏面を鏡面にするほど割れにくくなり、銅を捕まえる力は失われる

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銅を捕獲するゲッタリングサイトとして、薄化後の裏面にあえて加工ダメージを残す対策が取られています。ところが、シリコンウェーハに研磨加工を行うと抗折強度が高くなる反面、ゲッタリング効果が失われる8という課題がありました。裏面を鏡面にするほど割れにくくなりますが、金属を捕獲する能力は失われます。

ディスコのGettering DPホイールは、破砕層深さ約50nmで、抗折強度の最小値をUltra Poligrindと同等程度に保ちながらゲッタリング効果を得られるとしています。突き出し量をそろえる平坦さ、薄いウェーハを割らない強度、出てきた銅を捕まえる力の3つを同じ裏面で成り立たせることが、TSV露出の工程設計の中心です。

TSV露出とは何ですか?

シリコンに埋めた貫通電極の底を、ウェーハの裏面に露出させる工程です。裏面から研削・CMP・RIEで薄型加工してトレンチ底部の電極を露出させ、独立した貫通電極を形成します。プラグ出し、バックサイドリビールとも呼びます。

なぜ露出の工程が要るのですか?

銅を埋めた時点では、銅の柱の片端だけがデバイス面につながり、もう一端はシリコンの中で閉じているためです。裏面のシリコンを削って銅の底を出すと、チップの上下を貫く経路になります。

現場では何を測るのですか?

残すシリコンの厚みと面内ばらつき(TTV)、それに銅の突き出し量です。突き出し量の面内むらは研削、支持基板の厚さ、接着層の厚さ、露出エッチのむらが重なって生じ、白色光干渉やレーザー形状測定などで確かめます。

どのくらいの精度で削るのですか?

ディスコは、加工点を最適化したグラインダでTTV約0.3µmという測定結果を示しています。別の技術資料では、4µmまで薄化した300mmのDRAMウェーハでTTV1.02µmという値を報告しています。いずれも同社の試作条件での値です。

銅の頭を出したあとは何をするのですか?

絶縁膜で覆い直し、銅の上だけを開け直します。サムコの工程ではSiO2膜の形成、フォトリソグラフィー、SiO2膜のエッチングが続き、SEMATECHの工程では酸化膜を付けたあとCMPで銅の底を開けて表面を平らにします。

銅が裏面へ出ると何が心配ですか?

シリコン中での銅の拡散です。銅はシリコン基板中の拡散係数が高いため避けられ、ディスコの試験では350℃で1時間の加熱で厚さ725µmの基板の反対面に銅が届きました。薄化が進むメモリ系デバイスでは、基板の側面や裏面でも銅の管理が必要です。

銅の拡散にはどう備えるのですか?

ゲッタリングサイトです。銅を捕獲するため、薄化後の裏面にあえて加工ダメージを残します。研磨で抗折強度を高めるとゲッタリング効果が失われるという課題に対し、ディスコは破砕層深さ約50nmで両立させたGettering DPホイールを出しています。

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