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ウェーハ接合とは

ウェーハ接合とは、2枚のウェーハを面ごと重ねて一体化する工程です。 チップに切り分ける前の、丸い板のまま貼り合わせます。薄くしたウェーハを単独で扱うと反りと搬送のリスクが大きくなるので、3次元積層では先に貼り合わせてから薄くします。方式ごとに引き換えにするものが違い、熱で結合させれば間に酸化膜を挟める代わりに熱膨張の差と加熱・冷却の時間を抱え、常温で直接つなげば熱を避ける代わりに原子レベルに平滑で清浄な面と高い真空を払います。

先に貼り合わせ、後から薄くする

Section titled “先に貼り合わせ、後から薄くする”
接合と薄化の順序
① 酸化膜を形成② 貼り合わせて熱処理③ 活性基板を薄くする研削・研磨で除去活性基板酸化膜支持基板
SOIウェーハでは、2枚を貼り合わせて熱処理で結合させた後に活性基板を薄くします。薄くなった層は、その時点ですでに支持基板に支えられています。

層を重ねるには、上に載る側を薄くします。裏面研磨は、前工程が済んだウェーハの裏側を研磨して、厚さ数十マイクロメートルから200マイクロメートル程度にする工程です1。薄いウェーハをそのまま搬送すると、反りと搬送が問題になります。

先に薄くする場合の工夫として、ディスコのTAIKOプロセスは、ウェーハの最外周のエッジ部分を約3ミリメートル残して内周だけを研削します2。ディスコは、この方法で薄いウェーハの搬送リスクと反りを低減でき、外周の枠を残すことでウェーハの強度と取り扱いやすさも向上するとしています。

貼り合わせてから削れば、薄い層は最初から支えを持ちます。SUMCOのSOIウェーハの製造では3、支持基板と活性基板のどちらか一方または両方に酸化膜を作り、2枚を貼り合わせて熱処理で結合させ、その後に活性基板を所定の厚さまで研削・研磨します。SOIでは、酸化膜を介してシリコン基板同士を貼り合わせる方法が実用化されています1。熱で結合させるこの形は、間に絶縁の酸化膜を挟めるのが利点です。

常温接合は、真空中のビームで結合手を露出させて貼る

Section titled “常温接合は、真空中のビームで結合手を露出させて貼る”
表面活性化常温接合の仕組み
① 表面が覆われた状態② ビームで除去③ 常温で接触酸化膜・吸着分子母材の原子高速原子ビーム結合手が露出原子間の結合
真空中で高速原子ビームを当てると、表面の酸化物と吸着分子が取れて結合手が出ます。その面どうしを触れさせると、常温のまま原子どうしが結合します。

3次元集積実装技術は、シリコン貫通電極やチップ・ウェハ接合技術によって複数のデバイスを積層・集積する技術です4。そのなかで直接接合技術は、接合面を極めて平坦に加工して活性化させることで接合します。接着剤などを使わずに2枚のウェーハを直接貼り合わせる技術を、産総研はウエハー直接ボンディングと呼んでいます。

常温で貼る代表が表面活性化常温接合です。真空中で高速原子ビームなどを用いて固体表面の酸化物や吸着分子をスパッタリング効果で除去し、活性な表面同士を接触させて常温で原子間結合を形成します5。ニデックの常温ウェーハ接合装置BOND MEISTERも、高真空中で接合面にイオンビームや中性原子ビームを当て、材料表面の酸化膜や吸着層を取って材料本来の結合手を露出させます6。ニデックはこれを活性化された表面と呼び、その面どうしを接触させると瞬時に接合力が働きます。同社がシリコンに成膜した銅どうしを接合した例では、引張り試験で母材から破壊したとしています6。

300ミリメートル対応機の仕様は、接合チャンバーの真空度が10のマイナス5乗パスカル台、最大印加荷重が200キロニュートン、表面活性化がアルゴン高速原子ビーム、アライメントが赤外線の透過・反射方式です。貼り合わせ精度は±2マイクロメートルで、実績値とされています。ボンドテックは、接触時の位置ずれを修正する機能で300mmウエハでも±0.2μmの接合後精度を保てるとしています7。現場が握る量は、真空度、当てるビームの種類、加圧の荷重、そして合わせる位置です。

接合面には、原子レベルの平滑さが要る

Section titled “接合面には、原子レベルの平滑さが要る”

接合面は清浄で、原子レベルに平滑である必要があります5。MEMSやICを作る工程で接合面の粗さが悪化すると、接合部のひずみが大きくなってデバイスに悪影響を及ぼし、接合そのものが困難になる場合があります。表面活性化の条件しだいでも面は荒れます。産総研によると、これまで使われてきたアルゴン高速原子ビームでは、長時間の表面活性化で表面が荒れ、接合部のひずみが増えて接合強度が落ちるという問題がありました5。

荒れた面はCMPなどで研磨する必要がありますが、可動部を持つMEMSデバイスには研磨液を使うウェットプロセスを適用できません5。そこで産総研は、2013年に公表した研究でドライプロセスによる平滑化を選びました。キセノン高速原子ビームで表面粗さ0.40ナノメートルrmsまで荒らしたシリコン面にネオン高速原子ビームを当てると、0.17ナノメートルrmsまで平滑になり、CMPで研磨したシリコンと同程度の粗さが得られました。ネオン高速原子ビームで8 nm加工した面では、接合部のひずみもCMPで研磨したウエハーを接合した場合と同程度まで減りました5。2013年時点の試作結果で、成果は同年9月12〜14日の精密工学会秋季大会学術講演会で発表されています。使える平滑化の方法は、デバイスの構造によって変わります。

金属薄膜を付けた面を直接貼り合わせるには、その面が原子レベルまで平坦で、酸化層を除いた活性な状態である必要があります。産総研は2021年、独自のタンタルキャップ層の平坦化技術で原子レベルに平坦な薄膜表面を作り、単結晶MTJ薄膜のウエハー直接ボンディングに初めて成功した8と発表しました。同じ発表は、積層数を増やすにはウェーハ接合をはじめ多くのプロセス技術が必要で、その難易度は2次元に配列する既存デバイスより格段に高いとしています。

常温接合は熱を避ける代わりに、高い真空を払う

Section titled “常温接合は熱を避ける代わりに、高い真空を払う”
大気中の接合と真空中の接合
大気中の親水化接合真空中の表面活性化接合ウェーハセンタープッシュ接合が外周へ広がるたわませるので反りが出る高真空ビームで活性化常温で重ねる
大気中の親水化接合は空気の巻き込みを避けるため中央から押し広げ、そのたわみが反りを残します。表面活性化接合は常温で重ねられる代わりに、高い真空を要します。

ニデックは常温接合の利点として、常温プロセスで母材並みの接合強度が得られること、接合による熱歪みや熱応力を避けられるため微細化への対応が容易でデバイスの品質が安定すること、加熱と冷却の時間を省いて高いスループットになること、多岐にわたる材料と異種材料を接合できることを挙げています。300ミリメートル対応機については、室温で接合するためウェーハ間の熱膨張率差が問題にならず、高いアライメント精度を確保できるとしています6。

欠点は、高い真空が必要なことです。活性化して結合手を露出させても、不純物のある環境では接合前に不純物と結合して活性が下がるため、超高真空が要ります7。超高真空は真空引きにベーキングや時間がかかるため量産装置では使いにくいという課題がありましたが、ボンドテックは接合チャンバーに高効率のロードロックチャンバーを設けてスループットを上げています。ハイブリッド接合については、調査会社Futurumが待ち時間を管理すれば接合面が活性なまま保たれ、ボイドが減ると分析しています。

大気中の接合には別の代償があります。ボンドテックによると、大気中で水を介して貼り合わせる親水化接合では、空気を巻き込んでボイドになるため、ウエハを撓ませて中央から外周へ接合を押し広げますが、ウエハのそりが発生します7。アニール時には、余分な水分も微小なボイドになります。

2つの方式を組み合わせる手もあります。ボンドテックは、MEMSの封止に使う陽極接合(アルカリガラスとSiを400度程度で加熱し、1000V程度の電圧をかけて界面で酸素とSiを結合させる技術)に表面活性化を前処理として併用し、低温、ボイドレス、低アウトガスを達成するとしています7。同社はまた、1層に満たない程度のSi原子を界面に挟むことで、イオン結晶性の材料でも接合できるようにしたとしています。

用途は、MEMSのパッケージングから3次元集積まで

Section titled “用途は、MEMSのパッケージングから3次元集積まで”

ニデックが挙げる常温接合の用途は、MEMSや水晶デバイスを中心としたウェーハレベルパッケージング、異種材料のベアウェーハを貼り合わせた機能性ウェーハの製造、樹脂や合金などの中間材を使わない直接接合、TSVを形成したウェーハを何層も接合する3次元集積デバイスの製造です。中間材のコストもなくせます。

3次元積層技術はすでにLSIチップやイメージセンサーに使われています8。誘電体どうしと金属パッドどうしを同時につなぐ形はハイブリッドボンディングと呼び、ウェーハどうしを丸ごと貼る進め方はウェーハ・ツー・ウェーハ接合です。

ウェーハ接合とは何ですか?

2枚のウェーハを面ごと重ねて一体化する工程です。産総研は、接着剤などを使わずに2枚のウェーハを直接貼り合わせる技術をウエハー直接ボンディングと呼んでいます。

なぜチップに切り分ける前に貼り合わせるのですか?

薄くしたウェーハを単独で搬送する場面を減らせるためです。SOIウェーハでは、支持基板と活性基板を貼り合わせて熱処理で結合させた後に、活性基板を所定の厚さまで研削・研磨します。接合が先で、薄化は後です。

常温でもくっつくのですか?

くっつきます。高真空中でイオンビームや中性原子ビームを当てると、表面の酸化膜や吸着層が取れて材料本来の結合手が露出し、その面どうしを接触させると瞬時に接合力が働きます。ニデックが成膜した銅どうしを接合した例では、引張り試験で母材から壊れたとしています。

どのくらい平らな面が要るのですか?

原子レベルの平滑さです。産総研の2013年の試作では、荒れたシリコン面をネオン高速原子ビームで表面粗さ0.17ナノメートルrmsまで平滑にすると、CMPで研磨したシリコンと同程度の粗さと接合部のひずみになりました。

現場では何を測って管理しますか?

表面の粗さ、真空度、加圧の荷重、位置合わせです。ニデックの300ミリメートル対応機の仕様では、接合チャンバーの真空度が10のマイナス5乗パスカル台、最大印加荷重が200キロニュートン、貼り合わせ精度が±2マイクロメートル(実績値)です。

ハイブリッドボンディングとはどう違いますか?

ウェーハ接合は2枚を面ごと一体化する工程全体を指し、ハイブリッドボンディングはその中で誘電体どうしと金属パッドどうしを同時につなぐ形を指します。

どこで使われていますか?

ニデックは常温接合の用途として、MEMSや水晶デバイスを中心としたウェーハレベルパッケージング、異種材料を貼り合わせた機能性ウェーハの製造、TSVを形成したウェーハを何層も重ねる3次元集積化デバイスの製造を挙げています。SOIでは、酸化膜を介してシリコン基板どうしを貼り合わせる方法が実用化されています。

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