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ベベル成膜とは

ベベル成膜とは、ウェーハの外周部(ベベル)だけに保護膜を積み、後の工程で外周が傷んだり、外周にたまった残渣が剥がれて粒子になったりするのを防ぐ工程です。 外周の膜を取り除くベベル洗浄・エッチングとは逆に、膜を足して守ります。

難しいのは、膜を外周だけにとどめることです。Lam Researchの特許の方式では、ウェーハ中央の上ではプラズマを立てずに外周のまわりだけで放電を保ちます。Coronus DXは、そのうえで表と裏の両方を覆います。

エッチングで除去しても残る外周の欠陥は、表裏に薄い誘電体膜を一度に積んで守る

Section titled “エッチングで除去しても残る外周の欠陥は、表裏に薄い誘電体膜を一度に積んで守る”

Lam Researchは2023年6月20日、Coronus DXを「業界初のベベル成膜装置」として発表しました1。同社によると、Coronus DXは1工程でウェーハ外周の表と裏の両面に独自の保護膜を積み、先端の製造工程で起きやすい欠陥や損傷を防ぎます。

同社が挙げる背景は次のとおりです。何百もの工程を重ねると、外周に残渣や表面の荒れがたまり、それが剥がれて別の場所へ移ると、デバイスを不良にする欠陥になります。こうした欠陥がエッチングで除去しても残る場合に、Coronus DXは外周に薄い誘電体の保護層を積みます。成膜量は精密に調整でき、ウェーハの中心合わせと装置内に組み込んだ計測で成膜のばらつきを抑えます。

中央のすき間を狭めて放電を止め、外周のまわりだけにプラズマを立てる

Section titled “中央のすき間を狭めて放電を止め、外周のまわりだけにプラズマを立てる”
ウェーハ外周の断面
上部セラミックカバーPEZリングウェーハヒーター付きチャックすき間を狭めて中央の放電を抑える外周だけのプラズマ保護膜は外周を表から裏まで回り込むプラズマの制御範囲は外周から最大4mm
Lam Researchの特許と寄稿をもとにした模式図です。ウェーハ中央の上はすき間が狭く放電が抑えられ、外周のまわりだけにプラズマが立って表裏に膜が積もります。

外周だけに膜を積む方法は、Lam Researchの特許US8501283B2「Methods for depositing bevel protective film」2に書かれています。可動電極と固定電極のあいだのすき間を調整し、ウェーハ中央の上では放電が消える距離にしつつ、外周のまわりではプラズマが維持できる条件をつくります。そのうえで成膜ガスを流し、ヒーターでチャックの温度を外周への成膜に向いた値に保ち、局所的なプラズマで外周に膜を積みます。

特許の実施例では、ウェーハと上部のセラミックカバーのすき間を、放電が消える幅に制御します。例として、1mm以下のすき間では放電が消える場合があるとし、すき間の値は装置ごとに実験で求めるとしています。セラミックカバーの外径を変えると、ウェーハ表側の外周に膜が積もる幅も変わります。

PEZリングでプラズマを外周4mmまでに絞り、酸素の多いSiON膜が公開研究で示された

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Lam ResearchのJack Chen氏はEE Timesへの寄稿で、ベベル成膜をベベルに、精密に制御でき調整も利く誘電体膜を選択的にPECVDで積む方式3と述べています。寄稿は製品名を挙げず、ベベル成膜の一般的な方式として書かれています。PECVDの有効な方法の一つとして、大きさの異なるPEZ(plasma exclusion zone)閉じ込めリングで環状のプラズマの形を決め、ウェーハ表裏の外周から最大4mmまでの領域を制御する方法が挙げられています。表側と裏側の成膜を1工程にまとめられる点も利点とされています。

寄稿は、公開された研究でSiH4系の酸素の多いシリコン酸窒化膜(SiON)が、純度、ウェットエッチへの耐性、貼り合わせの縁の品質、金属汚染からの保護をあわせ持つことが示されたと書いています。この膜は公開研究の例で、Coronus DXの仕様とは別の話です。同じ寄稿には、CEA-LetiのPECVDベベル成膜チャンバーの図も載っています。

3D NANDの長いウェットエッチと、貼り合わせの縁のロールオフから外周を守る

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ウェットエッチを受けた外周
基板エッチ液基板エッチ液保護膜なし:外周が荒れる荒れや残渣が剥がれて粒子にベベル成膜:表裏の外周を覆う例:酸素の多いSiON膜上の濃い帯は積層膜
3D NANDの長いウェットエッチは外周の基板を大きく傷めることがあります。ベベル成膜では外周の表裏を保護膜で覆ってからエッチングに進みます。

Lam Researchのニュースリリースは、外周の欠陥が問題になる例を3つ挙げています。

  • 3Dパッケージングでは、配線工程(BEOL)の材料が外周から移動し、後の工程の汚染源になることがある。
  • 外周の断面形状に生じるロールオフが、ウェーハ貼り合わせの品質に影響することがある。
  • 3D NANDの製造で行う長いウェットエッチによって、外周の基板が大きく傷むことがある。

Jack Chen氏の寄稿でも、高アスペクト比の3D NANDトレンチを加工する長いウェットエッチでは、薬液が外周に深刻なピッティング(孔食)と損傷を起こしやすいと書かれています。ウェーハ貼り合わせを使うパッケージングでは、外周の膜厚ばらつきとロールオフに厳しい制限がかかります。外周にたまった副生成物は、剥がれてウェーハの有効領域へ移ることがよくあります。

Lam Researchの特許も、同じ問題を別の角度から挙げています。エッチングで外周が削られると、外周が荒れたブラックシリコンになり、基板が薄くなって外周が欠けやすくなり、荒れた部分が汚染を抱え込みます。外周を守る従来の方法として、ウェーハの外周の上にシャドーリングを載せる方式もありましたが、特許ではリングが傾きや粒子の問題を招くとしています。

1工程あたり0.2〜0.5%の歩留まりを、ベベルエッチと組にして積み上げる

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Lam Researchは、Coronus DXを既存のベベルエッチ製品を補うものと位置づけています。Coronusシリーズは2007年に登場し、同社によると主要な半導体メーカーのすべてが使い、世界で数千チャンバーが稼働しています。従来のCoronusとCoronus HPは、外周の膜を取り除いて欠陥を防ぐエッチング装置です。

同社のブログ4とニュースリリースによると、Coronus製品はエッチングまたは成膜の1工程ごとに0.2〜0.5%の歩留まりを上乗せし、ウェーハの全工程では最大5%の改善になり得ます。月10万枚を超えて投入する工場では、1年で数百万個のダイが増える可能性があるとしています。Coronus DXは、すでに世界の主要な顧客工場で量産に使われています。ニュースリリースには、3D NANDメーカーであるキオクシアの技術幹部が、ベベル技術の進歩が次世代フラッシュメモリーの量産に必須だと述べたコメントも載っています。

外周の状態を確かめる工程としては、ウェーハ端部・裏面検査があります。

ベベル成膜とは何ですか?

ウェーハの外周部(ベベル)だけに保護膜を積む工程です。Lam ResearchのCoronus DXは、外周の表と裏に誘電体の保護膜を1工程で積みます。

なぜ外周だけに膜が必要なのですか?

多くの工程を重ねると外周に残渣や荒れがたまり、それが剥がれて別の場所へ移り、デバイスの不良の原因になるからです。エッチングで除去しても残る欠陥には、外周を膜で覆って守ります。

どうやって外周だけに膜を積むのですか?

Lam Researchの特許では、ウェーハ中央の上の電極とのすき間を狭くして中央の放電を抑え、外周のまわりだけにプラズマを立てて成膜します。同社の寄稿では、PEZリングで形を決めた環状のプラズマを使うとしています。

どんな膜を、どの範囲に積みますか?

Lam ResearchのJack Chen氏の寄稿は、ベベル成膜の一例として、プラズマの働く範囲を表裏とも外周から最大4mmに絞る方式を挙げています。膜種としては、公開された研究で示されたSiH4系の酸素の多いシリコン酸窒化膜(SiON)を紹介しています。

どの製品で使われますか?

Lam Researchは、先端ロジック、3D NAND、先端パッケージングを対象に挙げています。3D NANDでは長いウェットエッチで外周の基板が大きく傷むことがあり、パッケージングでは外周のロールオフが貼り合わせの品質に影響します。

ベベル洗浄とはどう違いますか?

ベベル洗浄・エッチングは外周の膜や汚染を取り除く工程で、ベベル成膜は外周に膜を足して守る工程です。Lam ResearchはCoronus DXを、ベベルエッチ製品を補う位置づけで発表しました。

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