寄生容量とは
寄生容量とは、導体どうしが近いために付いてしまう容量です。 回路の動作に使う容量とは別に付き、充放電に時間と電力を使うので、遅延と消費電力が増えます。
導体が向かい合う場所に付き、微細化で割合が上がる
Section titled “導体が向かい合う場所に付き、微細化で割合が上がる”ゲートとチャネルの間は、使う容量です。ゲート電圧でチャネルの電荷を動かす仕組みそのものなので、大きいほど制御が強く働きます。
いっぽうゲートとソース・ドレインの間、ゲートとコンタクトの間など、同じ仕組みで付くほかの容量は、信号が切り替わるたびに充放電の時間と電力を増やすだけなので問題になります。
微細化が進むと、この割合が上がります。ゲート下の使う容量は面積とともに減るのに対し、隣との距離も同時に縮むためです。
間を空けると密度が落ちるので、誘電率を下げる
Section titled “間を空けると密度が落ちるので、誘電率を下げる”容量は誘電率と向かい合う面積に比例し、距離に反比例します。減らす手は、距離を広げるか誘電率を下げるかの 2 つです。距離を広げれば密度が落ちるため、集積度を上げたい場面では誘電率の側を下げる手が取られます。
imec はセミダマシンの構成で、上層金属とエアギャップを組み合わせ、容量を抑えています1。エアギャップは、線のあいだに空気を残して実効の誘電率を下げる方法です。
ナノシートの間隔を 10 nm 未満に詰めて下げる
Section titled “ナノシートの間隔を 10 nm 未満に詰めて下げる”imec は、ナノシートの垂直方向の間隔を 10 nm 未満にして寄生容量を下げています2。シートを縦に重ねる構造では、シートとシートの間にゲート金属が入ります。この隙間が広いほど、ゲートとソース・ドレインの間に付く容量が増えます。
FinFET から GAA ナノシート、フォークシート、CFET へ移るにつれて、セル高さは 5T から 4.3T、さらに 3T へ下がります。構造が変わるたびに、容量の付き方も変わります。
容量を下げる構造ほど、寿命の点検が要る
Section titled “容量を下げる構造ほど、寿命の点検が要る”エアギャップは容量を下げますが、線の周りに空隙を残す構造でもあります。絶縁の余裕と、水分が入る経路の両方を点検する必要があります。
imec の Ru とエアギャップの配線は、100℃・Vmax 0.75 V 超で 10 年寿命を満たし、湿度試験の後も目立った劣化はありませんでした3。性能の数字と寿命の数字を同じ試料で示すことが、採否の条件になります。
距離は面積で、誘電率は強度と湿度への強さで払う
Section titled “距離は面積で、誘電率は強度と湿度への強さで払う”距離を広げれば容量は下がりますが、セルの面積と配線の密度で払うことになります。誘電率を下げれば面積を保てるものの、膜が柔らかくなり、機械的な強度と水分の侵入で苦しくなります。エアギャップはこの延長にあり、実効の誘電率を最も下げられる代わりに、絶縁の余裕と湿度への強さを別途点検する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”寄生容量とは何ですか?
導体どうしが近いために付いてしまう容量です。回路の動作で使う容量とは別に付き、充放電に時間と電力を使うため、遅延と消費電力へ出ます。
どこに付きますか?
ゲートとソース・ドレインの間、ゲートとコンタクトの間、隣り合う配線の間です。いずれも導体が絶縁膜を挟んで向かい合う場所です。
どうすれば減りますか?
距離を広げるか、間の誘電率を下げるかです。距離を広げると密度が落ちるため、実際には誘電率の側を下げる手がよく使われます。
エアギャップとは何ですか?
配線の間に空気の隙間を残して、実効の誘電率を下げる構造です。imec はセミダマシンの構成で、上層金属とエアギャップを組み合わせて容量を抑えています。
デバイス構造でも減らせますか?
はい。imec は、ナノシートの垂直方向の間隔を 10 nm 未満にして寄生容量を下げています。
なぜ微細化で目立ちますか?
ゲートの下の使う容量は寸法とともに減りますが、隣との距離も同時に縮むためです。全体に占める寄生の割合が上がります。
信頼性とぶつかりますか?
ぶつかります。imec の Ru とエアギャップの配線は 100℃・Vmax 0.75 V 超で 10 年寿命を満たしましたが、容量を下げた構造でも寿命の点検が要ります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- RC遅延とは── 寄生容量が抵抗と組んで生む遅延
- エアギャップとは── 実効の誘電率を最も下げる構造
- Low-k膜とは── 誘電率の側から容量を下げる材料
- ミドルオブライン(MOL)とは── ゲートの隣を通るので容量が付きやすい層