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Ru配線とは

Ru配線とは、銅のかわりにルテニウムを配線材料に使う構成です。 バルクの抵抗率では銅に劣りますが、細い配線では逆転する領域があります。逆転するのは、銅が溝の内壁にバリアを要し、そのぶん導電断面を失うためです。Ruは銅より削りやすいため、溝を掘って埋める方式から離れ、配線の高さを伸ばして断面を稼ぐ道も開きます。Ruの価値は抵抗率ではなく、この断面の使い方で決まります。

抵抗率で負けても、バリアの取り分がなければ線抵抗で勝てる

Section titled “抵抗率で負けても、バリアの取り分がなければ線抵抗で勝てる”

銅の抵抗率はルテニウムより低く、抵抗率の表で比べれば銅のほうが優れています。IBM Researchの計算でも、fcc相のRuは粒界散乱が大きく、平均粒径が同程度の銅配線より抵抗率が高くなります1。ところが配線の抵抗は、抵抗率と断面積の組み合わせで決まります。銅は絶縁膜への拡散を抑えるバリアメタルを必要とし、その膜が溝の内壁を先に占めるため、実際に電流が通る銅の断面は溝の寸法より狭くなります。

配線が細くなるほど、この取り分が線幅に占める割合は上がります。銅はバリア・ライナー・キャップを必要とし、これらの追加層が使える線幅の大きな割合を占めるため、配線金属そのものが導電断面を使い切れなくなります2。バリアを省ける金属なら、この取り分がまるごと消えます。同じ溝でも金属の断面を広く取れるため、抵抗率で負けていても線抵抗で勝つ領域があり、細い配線ほどこの逆転が起きやすくなります。

逆転する寸法について、IBM Researchは、密着層と濡れ層のライナーに導体の体積を取られるため、fcc相のRuの線抵抗は線幅21 nm未満で銅を下回る1と計算しています。太い側の実測もあります。IBM Researchは48 nmピッチのデュアルダマシン配線をRuで埋め3、ビア抵抗への影響はわずかで、線抵抗はおよそ2倍高かったと報告しました。比抵抗と断面積は抵抗の温度係数から求め、断面積はTEMで確かめています。

バリアを外すなら、導体側と絶縁側の寿命を別々に示す

Section titled “バリアを外すなら、導体側と絶縁側の寿命を別々に示す”

バリアは銅の拡散を防ぐだけでなく、エレクトロマイグレーションを抑える役目も担っています。そのため「バリアを省ける」と言うには、絶縁側の寿命と導体側の寿命という、別々の試験の2つの結果が要ります。

imecは両方の結果を同じ試験構造で並べています。3nm世代に向けて初めて示した、バリアレスのRuメタライゼーションと誘電率3.0の絶縁膜を使った金属ピッチ21nmのデュアルダマシン構造で、RCが従来の世代より30%改善し、330℃・530時間ではEM故障が観測されず、100℃でのTDDB故障時間は10年を超えた4と報告しています。

ビア単体でも比較が出ています。imecが比べたビアでは、0.3nmのTiNライナーの上にRuを充填したバリアなしのビアの抵抗が、1.5nmのTaNバリアを持つCo充填の同等プロセスを上回りました5。

削れる材料なので、掘って埋める順序から降りられる

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掘って埋めるか、付けて削るか
Cu のダマシンRu のセミダマシン溝を掘るバリアを敷き埋めるCMPで削るRuを全面に付けるRuを直接エッチング線の間を絶縁膜にRuCuバリア絶縁膜下地
Cuは溝を掘ってバリアを敷き、埋めてから削ります。Ruは膜を付けてから直接エッチングで線にするので金属CMPの工程がなく、バリアも省けます。

Ruのもう1つの利点は、銅より削りやすいことです。ダマシン法は、銅をエッチングで削るのが難しいという事情から生まれた方式で、削りにくい材料を配線にするために、掘って埋めて研磨するという順序を選んでいます。削れる材料なら、この順序から降りられます。金属を先に付け、そのまま直接パターニングする方式を、imecはセミダマシンと呼びます。

imecの定義では、セミダマシンは最初の局所配線層M0を直接エッチングすることから始まる2層の配線モジュールで6、さらに多層へ広げられる可能性があります。パターニングには、EUVを使う自己整合ダブルパターニングを改良し、スペーサーをそのまま絶縁膜として残すSID SADPを使い、Ruの直接エッチングと組み合わせます。エッチングではSiNのハードマスクの酸化を抑え、線どうしがつながる欠陥を避けています。

幅を変えずに高さを伸ばすと、線抵抗が約40%下がる

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縦に伸ばす
AR 3AR 6同じ幅線抵抗AR 3AR 6約40%低い
同じ幅のまま高さを2倍にしたアスペクト比6のRu配線は、従来のアスペクト比3の配線より線抵抗が約40%低くなりました。

差が出るのはアスペクト比です。埋める方式では細く深い溝を隙間なく埋めることが難しく、縦に伸ばすほど失敗が増えます。削る方式は溝を埋める工程そのものを飛ばすため、幅を変えずに高さだけ伸ばして断面を稼げます。

imecは、今日の典型的なCu配線のアスペクト比が約1.6であるのに対し、セミダマシン第1世代でM0にアスペクト比2、第2世代で3を狙うとしています。さらに、アスペクト比6のRu配線では、従来のアスペクト比3の配線より線抵抗が約40%低かった7と発表しています。面積を増やさずに抵抗が4割下がる、平面で詰めるかわりに縦に伸ばして断面を稼ぐ方向です。

研究段階で、16nmピッチとウェーハ全面の歩留まりまで来た

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16 nmピッチ
ピッチ 16 nm線幅 8 nm平均 656 Ω/µm40%が抵抗目標に到達Ru絶縁膜下地
16 nmピッチのRu配線は線幅8 nmの局所配線にあたり、平均656 Ω/µmでした。薄膜の抵抗率から予測した抵抗目標に届いた構造は40%です。

imecは2022年に、18nmピッチで直接エッチングした低抵抗のRu配線を初めて実験で示し6、完全自己整合ビアを使う2層のモジュールへ広げました。そのうえで、2025年6月の発表でセミダマシンによる16nmピッチのRu配線を実証し、平均の線抵抗を656 Ω/µmと報告しました。16nmピッチの構造のうち40%が、薄膜の抵抗率から予測した抵抗目標に届き、これは線幅8nmの局所配線に相当します。18〜22nmピッチの範囲では、ウェーハ全面の歩留まりが90%以上と報告しています。1本うまく作れたという段階を越えて、ウェーハ全面でどれだけ成功したかを示す段階に入っています。

もっとも、Ruが銅を全面的に置き換えると決まるまでには、まだ距離があります。逆転が起きるのは細い配線であり、太い配線では今も銅が有利です。層ごとに材料を選び分ける配線が、現実的な着地点になります。

Ru配線とは何ですか?

銅のかわりにルテニウムを配線材料に使う構成です。バルクの抵抗率では銅に劣りますが、細い配線では銅より有利になる領域があります。

抵抗率で劣るのに、なぜ有利になるのですか?

実際に電流が通る断面に差があるためです。銅は絶縁膜への拡散を抑えるバリアが要り、その膜が溝の内壁を占めます。バリアを省ける金属なら、同じ溝でも金属自身が導電断面を使い切れます。

バリアを外した構成に、寿命の裏づけはありますか?

imecは、バリアレスのRuメタライゼーションを使った金属ピッチ21nmの試験構造で、RCの30%改善に加えて、330℃・530時間でEM故障なし、100℃でのTDDB故障時間10年超という結果を示しています。

削れる材料なのですか?

銅より削りやすい材料です。そのため、金属を先に付けてから直接パターニングするセミダマシン方式が成り立ちます。溝を掘って埋めるダマシン法に要る金属CMPの工程も省けます。

削れると何が良いのですか?

アスペクト比を上げられます。imecは、今日の典型的なCu配線のアスペクト比が約1.6であるのに対し、セミダマシン第1世代でアスペクト比2、第2世代で3を狙うとしています。さらにアスペクト比6のRu配線で、面積を保ったまま、従来のアスペクト比3の配線より約40%低い線抵抗を実験的に示したと発表しています。

どこまで細くできていますか?

imecは2025年6月に、セミダマシンで16nmピッチのRu配線を実証したと発表しています。平均の線抵抗は656 Ω/µmでした。18〜22nmピッチの範囲ではウェーハ全面の歩留まりが90%以上と報告されています。

ビアでも差は出ますか?

ビア単体でも比較結果が公開されています。imecによると、0.3nmのTiNライナー上にRuを充填したビア(バリアなし)の抵抗が、1.5nmのTaNバリアを持つCo充填の同等プロセスを上回りました。

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