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許容電流密度とは

許容電流密度とは、配線が規定の寿命を保てる範囲で流せる、断面積あたりの電流の上限です。 これを超えると、原子が動いて断線へ向かいます。配線を細くすれば同じ電流でも電流密度は上がり、動作周波数も同時に上がります。そのため、必要な電流密度と許される電流密度は世代ごとに逆へ動きます。

電流密度が高いほど、金属イオンが陽極へ流れて断線が早まる

Section titled “電流密度が高いほど、金属イオンが陽極へ流れて断線が早まる”
断線の起こり方
長い配線金属イオンが陽極へ陰極側陽極側ボイドで断線短い配線イオンの流れ背圧が打ち消す配線ビア
電流で金属イオンが陽極側へ運ばれ、配線が切れます。寿命モデルは、空洞が陰極側のビアの近くにできると考えます。短い配線では、逆向きの背圧がこの流れを打ち消します。

エレクトロマイグレーションは、金属薄膜の導体でイオンが陽極へ移動し、断線(オープン)故障を起こす故障メカニズムです。このイオンの移動は、高温と高い電流密度で加速されます1。許容電流密度は、この加速を製品の寿命に収まる範囲で止めるための上限です。

IRDSの寿命モデルは、ボイドが単一ビアを含む配線の陰極側にでき、ドリフト速度が界面拡散に支配されることを前提にしています2。寿命の見積もりにはブラックの式を使います。

細くするほど要る電流密度は上がり、寿命は世代ごとに半分になる

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世代ごとの寿命と必要な電流密度
EM寿命(幾何モデル)11/21/4前世代現世代次世代必要なJmax断面の縮小動作周波数の上昇世代
幾何モデルでは、許される側の寿命は1世代ごとに半分、2世代で4分の1になります。要る側のJmaxは、断面の縮小と周波数の上昇で同じ期間に上がります。

EMの寿命はw×h/jw\times h/jに比例します2。wwは線幅またはビア径、hhは配線の厚み、jjは電流密度です。幾何モデルでは寿命が新しい世代ごとに半分になり、2世代進めば4分の1です。配線寸法のわずかな工程ばらつきでも、寿命は影響を受けます。

IRDSは、最大等価DC電流密度をJmaxJ_\mathrm{max}、エレクトロマイグレーション限界でのDC電流密度をJEMJ_\mathrm{EM}と呼び、どちらも配線の幾何スケーリングで制限されるとしています。JmaxJ_\mathrm{max}は、配線断面の縮小と最大動作周波数の上昇によって、スケーリングとともに増えます。許される側が縮み、要る側が伸びるので、何も手を打たなければ世代ごとに余裕が消えます。

上限を上げる手は、材料・界面・設計の3通り

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材料では、AlやMnを加えたCu合金の種層が、寿命を伸ばす最適な手法とされています2。界面では、Cuの溝と誘電体のSiCNバリアの間へ、CoWPやCVD Coの薄い金属層を挿入します。

設計では短長効果が、導体線の電流搬送能力を伸ばすのに有効に使われ、配線の電流密度の設計規則を支配してきました。短い配線では、背圧が原子の移動を打ち消します。

45 nmより先では、粒の構造が寿命を左右する

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45 nmノードより先では、粒構造がドリフト速度、ひいてはEM信頼性に果たす役割が大きくなります。許容電流密度は、寸法と材料に加えて粒の形でも決まります。成膜とアニールで作り込む粒の形が、同じ設計でも寿命を左右します。

上限を超えると、Al配線は熱暴走で融ける

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Al配線の過電流破壊
大電流温度が上がる抵抗が増える消費エネルギーが増える熱暴走Al-Si共晶温度を超えるAl配線が融ける共晶が接合を貫くトランジスタ破壊
Al配線は抵抗の温度特性が正なので、温度が上がるほど抵抗と消費エネルギーが増えて熱暴走します。Al-Siの共晶温度を超えると配線が融け、共晶が接合を突き破るとトランジスタが壊れます。

主にAl配線の融解による破壊を、総称して過電流破壊と呼びます3。Al配線は抵抗の温度特性が正のため、大電流を流すと抵抗が増え、配線で消費されるエネルギーがさらに増えて熱暴走し、Al-Siの共晶温度を超えて融けます。過電流で温度が上がり、Al-Siの共晶が接合を突き破ってトランジスタを壊す場合もあり、原因を切り分けにくい壊れ方です。

上限を高く取るほど、保証年数を削る

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許容電流密度を高く取れば、同じ配線で大きな電流を流せて面積が減ります。その代わりEMの寿命が縮み、製品の保証年数を削ります。バリアや被覆層で寿命を伸ばせば安全ですが、電流が通る断面を食います。短長効果を使えば設計で稼げるものの、配線の長さに上限が入ります。

許容電流密度とは何ですか?

配線が規定の寿命を保てる範囲で流せる、断面積あたりの電流の上限です。IRDSはEM限界でのDC電流密度をJEMと表記しています。

寿命はどんな式で表しますか?

寿命はw×h/jに比例します。wは線幅またはビア径、hは配線の厚み、jは電流密度です。

世代ごとにどう変わりますか?

幾何モデルでは、寿命が世代ごとに半分になります。配線寸法のわずかな工程ばらつきでも寿命は変わります。

なぜ必要な電流密度が上がるのですか?

断面の縮小と最大動作周波数の上昇により、Jmaxがスケーリングとともに増えるためです。

材料で伸ばす手はありますか?

AlやMnを加えたCu合金の種層が、寿命を伸ばす最適な手法とされています。

界面で伸ばす手はありますか?

Cuの溝とSiCNバリアの間へ、CoWPやCVD Coの薄い金属層を挿入する手もあります。

設計で伸ばす手はありますか?

短長効果です。短い配線では背圧が原子の移動を打ち消すので、導体線の電流搬送能力を伸ばせます。配線の電流密度の設計規則を支配してきました。

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