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バリアレス配線とは

バリアレス配線とは、層間絶縁膜の中にとどまる金属を使い、拡散バリアを省いて配線を作る構成です。 溝の断面がそのまま電流の通り道になります。銅の配線では、溝の内側に必ずバリアメタルの囲いを敷きます。囲いの厚みは寸法が縮んでも同じだけ要るため、細い溝ほど導体の取り分を食い潰します。省ける金属はバルクの抵抗率が銅より高いので、損得は線の細さで決まり、得になるのは細い層だけです。

バリアに要る厚みは金属で10倍違い、線幅20 nm前後で銅と抵抗が並ぶ

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銅は1997年からアルミニウムに代わって配線の材料になりました。微細化で増える抵抗は金属そのものだけでなく、拡散バリアと密着用のライナーからも来ます。必要なライナー・バリア厚は、Cu 3 nm、Co 1 nm、Ru 0.3 nm、W 0 nmです1。銅と Ru で 10 倍、W との間では有無の差です。

幅10 nmの溝に残る導体
CuCoRuWバリア 3 nmバリア 1 nmバリア 0.3 nmバリア 0 nm4 nm8 nm9.4 nm10 nm導体バリア・ライナー層間絶縁膜
同じ幅10 nmの溝でも、銅は両側の3 nmずつを囲いに取られて導体は4 nmです。タングステンは囲いが要らず、10 nmがすべて導体になります。

この厚みは溝の両側から引かれるため、幅 10 nm の溝では銅が 6 nm を取られ、残る導体は 4 nm、溝の 4 割です。同じ引き算を Co に当てはめると 8 nm、Ru では 9.4 nm が残ります。

この取り分を含めると、線幅 20 nm 前後で銅の抵抗はほかの 3 金属と並びます。バルクの抵抗率で 3〜5 倍の差があっても、断面の差が配線抵抗の順位を逆転させます。imec も、銅と違って金属のバリアが要らない金属を使えば、貴重な導電断面を配線金属だけで使い切れ、微細な寸法でもビア抵抗を競争力のある値に保てるとしています2。

銅は絶縁膜の中を動くため囲いが要り、Ru と Mo は膜中にとどまる

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銅は層間絶縁膜の中を動きます。動いた銅がトランジスタの領域まで届くと、シリコンの中に準位を作って特性を変えるため、囲って抑える必要があります。ルテニウムやモリブデンは絶縁膜の中にとどまるので、囲いという工程そのものを省けます。imec は、Ru が本来 SiN にも SiCO にも移動しないことを示しています3。

バリアが要る理由
Cu動くトランジスタ特性を変えるRu・Moトランジスタ膜中にとどまる銅Ru・Mo層間絶縁膜
銅は層間絶縁膜の中を動き、トランジスタまで届くと特性を変えます。ルテニウムやモリブデンは膜中にとどまるので、囲いを省けます。

Nanomaterials の論文は、Co、Ru、W を、銅よりエレクトロマイグレーションに強く汚染の危険も小さい有力候補として挙げ、その性質がバリアレスのメタライゼーションを可能にするとしています1。残るのは密着の問題です。拡散を抑える役目が消えた後も膜を密着させる下ごしらえは要り、成膜法と表面の前処理がその役を担います。

バリアなしの ALD Mo は、800℃の熱と 150 時間の通電に耐えた

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imec は、SiO2 の上へバリアもライナーも挟まずに直接成膜する ALD モリブデン工程を、配線とトランジスタの間をつなぐ MOL 工程に適合する形で初めて報告し、抵抗率 19〜22 μΩ·cm を得ました3。用途は、埋め込み電源配線へのビアと、活性領域へのコンタクトのデュアルダマシン配線です。この膜は 800℃ のアニールに耐え、imec は FEOL の高い熱バジェットとも両立するとしています。800℃ を通した埋め込み電源配線は、5 MA/cm²・330℃ の条件で 150 時間を超えて不良ゼロでした。表面の MoOx は前洗浄で除かれることを、ブランケット膜の SIMS で確かめています。

囲いを省いた構成で確かめるべきなのは、まさにこの 2 点です。熱を通した後も金属がもとの位置にとどまること、電流を流し続けた後も線の断面が保たれることです。

削れる金属なら、囲いの工程が構成から消える

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銅を削って線を作る工程は歩留まりが出にくいため、銅は溝を掘って埋めるダマシン方式で作ります。Ru や Mo は削れるので、金属を先に敷いてから線の形にする方式が使えます。この方式では形を切り出す前に金属を敷くため、囲いの工程が構成から消えます。imec は、セミダマシンの統合には W、Mo、Ru のようなバリアレスでパターニングできる金属が要るとしています2。バリアレスであることと、作り方の選択が結びついています。

埋めて作る線と削って作る線
Cuを埋める溝を掘るバリアを敷く銅を埋めるRu・Moを削る金属を敷く削って線にする銅バリアRu・Mo絶縁膜
銅は溝を掘ってからバリアを敷き、その中へ埋めます。削れる金属は先に敷いてから線の形に切り出すので、バリアを敷く段階が工程から消えます。

imec が EUV と自己整合ダブルパターニングで作った Ru 線は、臨界寸法 9〜10 nm・アスペクト比 3〜6 です。アスペクト比 3 の線の 9 割超が、ピッチ 20〜26 nm で 700 Ω/μm 未満の目標を満たしました。

囲いを省ける金属は、銅よりバルク抵抗率が高い

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バリアを省けば断面はすべて導体になりますが、選べる金属はバルクの抵抗率が銅より高いものに限られます。この取引が成り立つのは細い層だけで、太い層では銅が有利なままです。IBM の研究チームは 48 nm ピッチの Ru 配線で、ビア抵抗への影響はわずかで、線抵抗はおよそ 2 倍高い4という結果を得ています。抵抗率と断面積は抵抗の温度係数を使う方法で測り、断面積は TEM で確かめました。信頼性ではエレクトロマイグレーションの不良がなく、絶縁破壊までの時間は長くなっています。そのうえで IBM は、Ru が線幅 16 nm 以下で配線金属の候補になりうるとしています。

さらに囲いが消えると、密着と表面の下ごしらえへ要求が移ります。工程の数は減っても、残った工程の許容幅は狭くなります。

バリアレス配線とは何ですか?

層間絶縁膜の中にとどまる金属を使い、拡散バリアを省いて配線を作る構成です。溝の断面がそのまま電流の通り道になります。

なぜ銅にはバリアが要りますか?

銅は層間絶縁膜の中を動き、トランジスタまで届くと性質を変えるからです。囲って抑える必要があります。

どの金属で省けますか?

必要なライナー・バリア厚は Cu 3 nm、Co 1 nm、Ru 0.3 nm、W 0 nm で、Ru と W が省ける側です。Mo も、imec がバリアを省いた ALD 成膜を報告しています。

どのくらい得ですか?

幅 10 nm の溝なら、銅は両側 3 nm ずつを囲いに取られ、導体はちょうど 4 nm です。囲いを省けば 10 nm がすべて導体になります。

信頼性は確かめられていますか?

imec の試験では、バリアなしの ALD Mo を 800℃ のアニールに通した後、5 MA/cm²・330℃ で 150 時間を超えて不良ゼロでした。IBM も 48 nm ピッチの Ru 配線で、エレクトロマイグレーションの不良がなく、絶縁破壊までの時間が長いと報告しています。

いつから働きますか?

線幅 20 nm 前後で、ライナー分を含めた銅の抵抗がほかの 3 金属と並び、この寸法から下で働きます。IBM は、Ru が線幅 16 nm 以下で配線金属の候補になりうるとしています。

密着はどうしますか?

拡散を抑える役目が消えた後も、膜を密着させる下ごしらえは必要です。成膜法と表面の前処理が担い、imec の Mo では前洗浄が表面の MoOx を除いています。

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