ルテニウムライナーとは
ルテニウムライナー(Ruthenium Liner)とは、銅などの配線を形成する下地へ薄く付けるRu膜です。 銅の濡れや密着、成長と埋込みを助ける役割を持ち、Ruそのものを主導体にするRu配線とは区別します。Ruライナーは細いCu配線を隙間なく埋めるための膜で、IBM Researchの評価では、Coライナーと比べてCuの抵抗率が上がり、Coキャップと組むとキャップからライナーへのCoの拡散という劣化の経路が生じます。採用の判断は、埋め込みの余裕とこの2つの代償の比べ合いです。
配線が細くなると下地の膜が導体の断面を占めます。一方、ライナーを薄くしすぎると被覆と濡れ、密着が失われるため、膜厚だけでなく役割と連続性を確認します。
Ruライナーは、Cuを側壁と底へ連続して付けるための下地
Section titled “Ruライナーは、Cuを側壁と底へ連続して付けるための下地”IBM Researchは、ピッチ56 nmより細いCu配線の埋め込みをよくする手段として、Ruライナーを被覆と濡れのよさから最も有望な解の1つとしています1。濡れが足りない下地の上では、Cuが連続した膜にならず島状に凝集します。ライナーの仕事は、この凝集を防いでCuを側壁と底へ連続して付けることです。
RuまたはCoのライナーは銅を受ける界面を整え、後の銅成膜と熱処理、埋込みへ影響します。Applied MaterialsはRuの密着とCoの濡れを組み合わせたライナーを紹介しています。2 RuとCoを組み合わせたライナーの薄膜化は、Cu配線を細い層まで延ばす手段の1つです。
バリア、ライナー、シードは役割で分け、決まった順に付ける
Section titled “バリア、ライナー、シードは役割で分け、決まった順に付ける”バリアメタルは主にCuなどの拡散を抑え、ライナーは密着、濡れ、核生成を助けます。シード層は後のめっきへ電流を供給する導電下地です。材料によって複数の役割を兼ねることがあっても、名称だけで同一の膜と扱いません。
アルバックの技術資料が示す流れでは、開口を加工して底面と側壁を清浄化し、構成に必要なバリアとライナーを形成します。銅のシードや成膜を行い、めっきやCuリフローで埋めた後、断面と電気特性を確認します。3埋める工程は電解めっきかCuリフローです。
Ru/Coを組み合わせる製品例と、Ru単層、Co単層の構成を分けます。成膜法、膜厚、反応物と後の温度は構成ごとに決め、どの膜を底面と側壁へ残すかを確認します。
Ruライナー上のCuは、Coライナー上より抵抗率が10〜15%高く測られた
Section titled “Ruライナー上のCuは、Coライナー上より抵抗率が10〜15%高く測られた”IBM Researchは、7 nm世代より先の寸法でRuライナーとCoライナーがCuの抵抗率に与える影響4を調べました。抵抗の温度係数を使う方法でCuの抵抗率を導き、その際にライナー金属を流れる電流の分も注意深く評価しています。結果は、Ruライナー上のCuの抵抗率がCoライナー上より10〜15%高く、RCプロットでも確かめられました。
IBM Researchはこの差を界面散乱と、おそらく粒界散乱によるものとしています。界面の第一原理計算でも、CoライナーからRuライナーへ替えるとCuの抵抗率は3〜7%上がりました。埋め込みに強い下地を選ぶと、抵抗ではCoに一歩譲ることになります。
Coキャップと組むと、キャップのCoがライナーへ抜けてEMを劣化させる
Section titled “Coキャップと組むと、キャップのCoがライナーへ抜けてEMを劣化させる”RuライナーとCoキャップを組み合わせたCu配線では、エレクトロマイグレーション(EM)の性能を上げるのに、ボイドのないCuの埋め込み、Cuとライナーの界面(溝の側壁と底)とCuとキャップの界面(溝の上面)の制御、粒径の作り込みが決め手になる5とIBM Researchは報告しています。
なかでも、キャップのCoがRuライナーへ拡散し、Cu配線の上面でCoが不足することが、EM劣化の根本原因の1つです。IBM ResearchはCoを添加したRuライナーを開発し、このCoの拡散に対処してEM性能を大きく高めました。ライナーの材料は、上に載せるキャップとの組み合わせで評価する必要があります。
48 nmピッチ以下では、Ru特有のCMPの課題が出る
Section titled “48 nmピッチ以下では、Ru特有のCMPの課題が出る”IBM Researchは、48 nm以下のピッチの構造(10 nm技術)で、Ruライナー構造に特有のCMPの新しい課題として1、Ruの曲がりとCuのリセスを挙げました。スラリー、消耗品、工程の順序を最適化した新しいCMPの解を作り、統合したウェーハの電気試験で抵抗と歩留まりの改善を示しています。下地を替えると、研磨の条件も見直しが要ります。
薄い下地は導体面積を広げ、濡れと連続性の余裕を減らす
Section titled “薄い下地は導体面積を広げ、濡れと連続性の余裕を減らす”処理後は、膜の連続性、側壁と底面の被覆、銅の濡れと密着、埋込み、界面抵抗、拡散と信頼性を管理します。
主導体としてRuを使う比較論文のバリア厚を、Cu用Ruライナーの推奨厚さとして流用しません。ライナーを省く場所と、拡散防止を維持する場所を断面で区別します。
薄い下地は導体面積を広げますが、濡れと連続性の余裕を減らします。低抵抗だけで判断せず、密着、埋込みと拡散・長期信頼性まで確認します。厚さの配分はライナー膜厚予算の問題として、断面全体で決まります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ルテニウムライナーは何をする工程ですか?
銅などの配線を形成する下地へ薄く付けるRu膜です。銅の濡れや密着、成長と埋込みを助ける役割を持ち、Ruそのものを主導体にするRu配線とは区別します。
どの段階で行いますか?
開口を加工して底面と側壁を清浄化し、構成に必要なバリアとライナーを形成します。銅のシードや成膜を行い、めっきやCuリフローで埋めた後、断面と電気特性を確認します。
何を管理しますか?
膜の連続性、側壁と底面の被覆、銅の濡れと密着、埋込み、界面抵抗、拡散と信頼性を管理します。Coキャップと組む場合は、キャップからライナーへのCoの拡散も見ます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”5件を表示
- 1IBM Research:CMP development for Ru liner structures beyond 14nmresearch.ibm.com ab
- 2Applied Materials CuBS VoltaのRu/Coライナーappliedmaterials.com ・ 2026年10月12日閲覧 ↩
- 3アルバック Cu多層配線の成膜技術ulvac.co.jp ・ 2026年10月12日閲覧 ↩
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