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実効比抵抗とは

実効比抵抗とは、細い配線で実際に測れる比抵抗です。 バルク比抵抗に、界面と粒界での散乱による上乗せを加えた値になります。材料表の比抵抗を断面で割って抵抗を求める計算は、太い線でだけ成り立ちます。線幅が1桁のnmへ入ると、界面と粒界という寸法に依存する要因が加わり、同じ材料の同じ線でも値が変わります。細い配線の材料選びは、材料表の順位ではなくこの値で決まります。

バリアとライナが、電流の通る断面を削る

Section titled “バリアとライナが、電流の通る断面を削る”
同じ溝で、電流が通る断面
Cu(バリアあり)W・Mo・Ru(バリアレス)同じ溝幅同じ溝幅絶縁膜バリア・ライナ電流が通る断面
同じ溝でも、Cuは側壁と底をバリアとライナに取られ、電流が通るのは内側だけです。バリアが要らない金属なら、溝の断面をまるごと導体に使えます。

配線の断面のうち、電流が通るのは導体の部分だけです。バリアメタルとライナは外周に入るため、細い線ほど取られる割合が大きくなります。材料の比抵抗が同じでも、通れる面積が減れば抵抗は上がります。imecは、抵抗の高いこれらの層の厚みが線の寸法に合わせて縮まず、導電にほとんど寄与しないまま金属の体積に占める割合が増え続けるとしています1。同じ寸法の領域では、Cuの比抵抗そのものも急に上がります。

imecによると、Cuと違ってバリア不要の金属を使えば、貴重な導電面積を配線金属自体が使い切れ、微細な寸法でも競争力のあるビア抵抗を保てます2。同社は、セミダマシン集積にはタングステン、モリブデン、ルテニウムのようにバリアレスでパターニングできる金属が要るとしています。代替金属は大きな寸法ではCuより比抵抗が高いものの、寸法を縮めたときの上がり方が緩やかなので、小さい寸法ほど見通しがよいとimecはみています。

材料の2つと界面の2つで、線の比抵抗が決まる

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細い線の中の電子の散乱
上面で鏡面反射(p)粒界で反射(R)下面で乱反射粒界配線の長さ方向の断面
電子は線の表面と粒界で進路を曲げられます。表面での跳ね返り方を表すのが鏡面性p、粒界での跳ね返りを表すのが粒界反射係数Rです。表面で乱反射する電子と粒界で戻される電子が、線が細いほど比抵抗を押し上げます。

imecのDuttaらは2017年に、薄膜の比抵抗の膜厚依存性を半古典的なMayadas-Shatzkesモデルで表し、そこで得た当てはめパラメータをナノワイヤ向けの修正モデルへ入力して線の比抵抗を計算しました3。入力は、表面散乱の鏡面性p、粒界散乱の反射係数R、バルク比抵抗ρ0、電子平均自由行程λ0の4つです。

膜鏡面性 p粒界反射 Rλ0ρ0
TaN上のPVD Cu0.050.2240.6nm1.7μΩcm
TiN上のALD Ru0.010.456.6nm7.1μΩcm

TaN上のPVD Cuと、TiN上のALD Ruの値です。Ruのρ0は7.1〜7.6μΩcm、鏡面性pは0.01〜0.99の幅を取ります。Cuはバルク比抵抗の低さで勝り、Ruは平均自由行程が短いぶん細線での上乗せが小さくなります。粒界反射係数はRuのほうが大きく、ここはCuに分があります。どちらが細線で有利かは、4つをそろえて初めて決まります。

断面30から130nm²で、予測は実測と10%以内で一致した

Section titled “断面30から130nm²で、予測は実測と10%以内で一致した”

断面30から130nm^2の線では、予測した比抵抗が実測とおよそ10%以内で一致しました3。設計の見積もりに使える精度です。微細Ru配線では、粒界散乱が支配的な散乱機構でした。どの寄与を減らすと最も効くかが分かれば、成膜条件や下地の選定に優先順位が付きます。

当てはめの入力は、膜の測定でそろえます。NISTは、厚さ約10〜150nmの蒸着Cu膜で、シート抵抗を四探針法、膜厚を触針式の段差計、平均粒径をEBSDとXRDで測り、実測の粒径と表面・粒界散乱の当てはめパラメータで比抵抗を計算しています4。

断面を電気で測る方法もあります。NISTは、シート抵抗の温度変化と、純粋なバルクCuの比抵抗の温度変化から、マティーセンの規則で膜厚を電気的に求めました。この値は段差計の値と3nm以内で一致し、室温のCuの平均自由行程39nmを大きく下回る寸法でも、Cu線の断面積をこの規則で測り続けられるとNISTは結論しています。

アスペクト比を上げると抵抗は下がり、容量が増える

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線の高さと隣の線との容量
低いアスペクト比高いアスペクト比高い比+エアギャップ同じ間隔、向かい合う面が増える絶縁膜配線エアギャップ向かい合う側壁
幅と間隔を変えずに線を高くすると、断面が増えて抵抗は下がる一方、隣の線と向かい合う側壁も伸びて容量が増えます。間の絶縁膜をエアギャップに替えると、その容量を抑えられます。

imecは、ラインのアスペクト比を上げて抵抗を下げつつ、エアギャップで容量を抑える方向2を示しています。断面を縦へ伸ばせば実効比抵抗の影響は薄まりますが、隣の線との距離はそのままで対向面積だけが増えます。

RC遅延は抵抗と容量の積で決まります。実効比抵抗を下げる操作が容量を上げるなら、RC遅延まで通して判断します。

下げる手段ごとに、差し出すものが違う

Section titled “下げる手段ごとに、差し出すものが違う”

実効比抵抗を下げて得られるのは、配線遅延と電圧降下の余裕です。配線1本あたりの抵抗にここから線長と本数を掛ければ、回路の遅延と電圧降下まで見積もれます。差し出すのは、バリアを省くなら拡散に対する守り、アスペクト比を上げるなら隣の線との容量、粒を大きくするなら熱処理の工程です。

実効比抵抗とは何ですか?

細い配線で実際に測れる比抵抗です。バルク比抵抗に、界面と粒界での散乱による上乗せを加えた値になります。

何から決まりますか?

鏡面性パラメータp、粒界反射係数R、バルク比抵抗ρ0、電子平均自由行程λ0の4つと、線の断面寸法から決まります。imecのグループは2017年に、この4つを入力にして線の比抵抗を計算しました。

バルク比抵抗だけで見積もれますか?

細い線では、もう1段の補正が要ります。Cuのバルク比抵抗は1.7μΩcmですが、平均自由行程が40.6nmあるため、線幅が1桁のnmでは界面と粒界の寄与が大きく乗ります。

バリアメタルはどう作用しますか?

断面を削ります。バリアやライナの厚みは線の寸法ほど縮まず、導電にほとんど寄与しないまま金属の体積に占める割合を増やします。バリア不要の金属なら、貴重な導電面積を配線金属自体が使い切れます。

モデルの精度はどのくらいですか?

断面30から130nm^2の線で、予測した比抵抗が実測とおよそ10%以内で一致しました。微細なRu配線では、粒界散乱が支配的な散乱機構でした。

アスペクト比を上げると良くなりますか?

断面が増えるので抵抗は下がりますが、隣の線との容量が増えます。imecは、アスペクト比を上げて抵抗を下げつつ、エアギャップで容量を抑える方向を示しています。

設計側では何に使いますか?

配線1本あたりの抵抗を見積もる入口です。ここへ線長と本数を掛けると、回路の遅延と電圧降下まで見積もれます。

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