セミダマシンとは
セミダマシンとは、溝を掘って金属を埋めるダマシンに代えて、金属を先に付けてからパターニングして削る配線形成です。 削り終えたあとに、線と線の間へ絶縁膜を入れます。線幅が1桁のnmへ入ると、細い溝の底までバリアと金属を隙間なく詰める作業そのものが難しくなります。セミダマシンはこの詰める難しさを、金属を細く削る難しさと、使える金属の制約に置き換える方式です。ビアと上の配線を一度に作る利点は、デュアルダマシンから引き継いでいます。
順序を逆にして、溝へ詰める工程と金属のCMPをなくす
Section titled “順序を逆にして、溝へ詰める工程と金属のCMPをなくす”ダマシンでは、絶縁膜へ溝を掘り、バリアメタルを付け、金属を埋め、CMPで余りを取ります。細い溝ほど、底まで均一に詰める難度が上がります。
セミダマシンでは、金属を先に全面へ付け、マスクを作り、金属を削って線を残し、そのあとで絶縁膜を入れます。imecは、デュアルダマシンと違い、線を配線金属の直接パターニング(サブトラクティブ配線)で作るので、工程を終えるのに金属のCMPが要らないとしています1。削ったあとの線の間は、絶縁膜で埋めるか、局所配線層では(部分的な)エアギャップにします。詰める工程が抜ける代わりに、金属を細く削る工程が要ります。
ビアと上の配線は、デュアルダマシンと同じく一度に作る
Section titled “ビアと上の配線は、デュアルダマシンと同じく一度に作る”上の層へつなぐビアは、シングルダマシンの要領でパターニングし、金属で埋めたうえで盛り続けます。imecの説明では、絶縁膜の上に金属の層ができるまで堆積を続け1、この金属層をマスクしてエッチングし、下の線と直交する2層目の配線にします。そのためビアと上層メタルの2層を一度に形成する1点は、従来のデュアルダマシンと同じです。
imecは2019年の時点で、セミダマシンのモジュールを、ダマシンを基本とする工程フローを16nmメタルピッチへ延ばす興味深い手段2と位置づけ、従来のデュアルダマシンのモジュールと組み合わせて使えるとしていました。同じチップの中で、ダマシンの層とセミダマシンの層を並べて使えるということです。
バリアなしで削れる金属が要る
Section titled “バリアなしで削れる金属が要る”セミダマシン集積には、タングステン、モリブデン、ルテニウムのようなバリアレスでパターニングできる金属が要ります1。Cuは削る難度が高く、バリアも要るため、この工程では別の金属を選びます。imecは、Ruを導体に使えば、絶縁膜と導体の間に拡散バリアが要らないとしています2。
imecは、Cuと対照的にバリア不要の金属を使えば、貴重な導電面積を配線金属自体が使い切れるとしています。実効比抵抗の面でも、外周へ取られる分が消える点が響きます。imecのDuttaらは微細Ru配線で粒界散乱が支配的な散乱機構だったとしており3、断面を稼げれば粒径の上限も上がるという点でも、この工程と結び付きます。
imecは18nmピッチの2層で、ビア抵抗40から60Ωを示した
Section titled “imecは18nmピッチの2層で、ビア抵抗40から60Ωを示した”imecは2022年6月のVLSIで、完全自己整合ビアを持つ2メタルレベルのセミダマシンモジュールを18nmメタルピッチで動作させた1と発表し、初の実験的な実証としています。下層ラインにはEUVリソグラフィと自己整合ダブルパターニングを併用し、上層には単一露光EUVを使いました。下層ラインは幅9nmのRuで、試験したピッチでビア抵抗は40から60Ωの範囲でした。それ以前にimecは、金属のパターニングで線を作れることを示し、EUVの単一露光と組み合わせて30nmピッチの均一な線2を得ています。
ビアと上下の線の位置が合わないと、ビアと隣の線の間にリークが起きるおそれがあります。機能する完全自己整合ビアを作ることは、セミダマシン工程の長年の目標でした。imecは、5nmまでの合わせ誤差を吸収した1ことを主要な成果としています。合わせ誤差を構造で吸収できれば、重ね合わせバジェットの配分が変わります。露光側の要求を、配線構造の側が肩代わりする形です。IBMの研究者もRuのトップビア構造で、自己整合ビアのパターニングを確実にするため、TiNのスペーサーでエッチングの選択比を高めました4。
MOL(ミドルオブライン)の層でも使い道があります。imecは、セミダマシンでMOL層のセル境界を端と端の間隔(T2T)8nmまで縮められ5、端が自己整合するとしています。作り方は、連続した線と幅広のビアを通常どおり作り、2層の金属ができてから、上の16〜18nmピッチのMint層をハードマスクにして最後のパターニングで2つに分けるものです。imecはRuの2層試験構造で平均ビア寸法10.5nmとM0BのT2T 8.9nmを得たとし、設計者がスタンダードセルを詰めるのに使えるブースターとして、5トラック設計に対して21%の面積利得を挙げています。
線を縦に高くしても、埋め込みの難度は変わらない
Section titled “線を縦に高くしても、埋め込みの難度は変わらない”imecは2019年に、抵抗とばらつきを下げるには高いアスペクト比が要る一方で、その効果は望まない容量の増加に打ち消される2と指摘していました。セミダマシンについてimecは、容量を抑えたまま1ラインのアスペクト比を高くできることが全体のRC利得につながるとし、アスペクト比を上げて抵抗を下げつつエアギャップで容量を抑える方向を示しています。
溝へ詰める工程を省けば、線を縦へ高くしても埋め込みの難度はそのままです。ダマシンでアスペクト比を上げるとボイドが問題になるのに対し、削って作る側ではその上限から自由になります。
得るのは詰めない工程、差し出すのは削る難しさと金属の制約
Section titled “得るのは詰めない工程、差し出すのは削る難しさと金属の制約”セミダマシンで得られるのは、細い溝へ詰める工程の回避と、バリアを省いた断面、そして縦へ伸ばせるアスペクト比です。差し出すのは、金属を1桁nmの幅まで削るエッチング、削った線の間へ絶縁膜を入れる工程、そして使える金属が限られることです。配線担当は、埋め込みの難度と削りの難度を世代ごとに比べます。
自己整合ビアは材料境界で着地点を制限し、FSAVでは上下の配線へ整合させます。位置ずれへの余裕が増えても、材料の選択性、接続面積とリークの制約は残ります。金属を削る単位工程だけでなく、絶縁膜とエアギャップ、界面と信頼性まで含めて工程を成立させます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”セミダマシンとは何ですか?
溝を掘って金属を埋めるダマシンに代えて、金属を先に付けてからパターニングして削る配線形成です。削り終えたあとに線の間を絶縁膜で埋めるか、エアギャップにします。金属のCMPは要りません。
ダマシンと同じところはありますか?
あります。ビアと上層メタルの2層を、従来のデュアルダマシンと同様に一度に形成します。ビアは穴を開けて金属で埋め、絶縁膜の上に層ができるまで盛ってから、その層を削って上の配線にします。
どんな金属が要りますか?
タングステン、モリブデン、ルテニウムのような、バリアレスでパターニングできる金属が要ります。imecは、Ruを導体に使えば絶縁膜との間に拡散バリアが要らないとしています。
どこまで実証されていますか?
imecは2022年6月に、18nmメタルピッチでの2メタルレベル素子の動作を報告しました。下層ラインにEUVとSADPを併用し、上層には単一露光EUVを使っています。MOLでは、セル境界の端と端の間隔を8nmまで縮められるとしています。
ビア抵抗はどのくらいですか?
imecの実証では幅9nmのRuを下層ラインとし、試験したピッチでビア抵抗が40から60Ωの範囲に収まりました。
完全自己整合ビアとは何ですか?
ビアを上下両方の配線へ自己整合させる構造で、機能するものを作ることはセミダマシン工程の長年の目標でした。imecは5nmまでの合わせ誤差を吸収したことを主要な成果としています。
何が良くなりますか?
容量を抑えたままラインのアスペクト比を高くでき、imecはこれが全体のRC利得につながるとしています。アスペクト比を上げて抵抗を下げ、エアギャップで容量を抑える方向です。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ダマシン法とは── 掘ってから埋める側
- サブトラクティブ配線とは── 同じく削って作る系統の側
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- 4IBM Research:Cu後継配線に向けた自己整合Ruトップビアの新しい統合方式(論文)research.ibm.com ↩
- 5imec:2層セミダマシン統合による標準セル境界の縮小imec-int.com ↩