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エアギャップで配線の自己発熱が30%増|imecのA14世代14層シミュレーション

low-kとは、隣り合う配線の間をSiO2より誘電率の低い絶縁膜で埋め、配線間の容量を下げる方法だ。air gapとは、配線の間を膜で埋めずに空洞を残し、容量をさらに下げる方法を指す。imecは18〜26 nmピッチのRu配線で、空洞にした配線間の容量が絶縁膜で埋めた場合より40%低い1と報告した。一方で、空洞は熱を伝えにくい。imecがA14世代を例に行った14層配線のシミュレーションでは、air gapを入れると配線の自己発熱が30%増えた2。

同じシミュレーションには、air gapとは別の結果もある。14層の配線スタックでは、熱抵抗の86%をvia層が占めた2。この2つの結果から、本記事は、air gapの熱を見積もるときは配線間の絶縁構造だけでなくvia層を含むスタック全体で計算する必要があると考える。

抵抗を下げる高アスペクト比の配線は、容量を上げる

Section titled “抵抗を下げる高アスペクト比の配線は、容量を上げる”

配線が細くなると抵抗が上がる。断面を縦に伸ばして高アスペクト比にすれば抵抗は下がるが、隣の配線と向かい合う面積が増えて容量が上がり、RC遅延の改善が打ち消される。imecは、高アスペクト比化に伴う容量の増加をRC改善の大きな障害3と位置づけている。

low-kとair gapは、RC遅延のうちCを受け持つ。RはCu、Ru、Moなどの配線金属が受け持つ。imecは2019年、21 nmピッチのdual damascene試作で、バリアのないRu配線とk=3.0の絶縁膜を組み合わせ、前の世代よりRCを30%改善した3。

配線の断面を4通り並べた図。左からSiO2で埋めた配線、low-k膜で埋めた配線、膜の中に空孔を持つ多孔質low-k膜で埋めた配線、配線の間を空洞にしたair gap。
low-kは配線の間を誘電率の低い膜で埋め、air gapは配線の間を空洞にする。

air gapは研究段階の技術ではない。Intelは2014年のIEDMで、性能上重要な層にair gapを入れた14 nmロジック技術が量産中4と発表した。imecも2020年に、一部のメーカーが中間層でlow-kの代わりにair gapを使っている5と書いている。いま研究が進むのは、最小ピッチの配線をRuのエッチングで作り、その間を空洞にするsemi-damasceneへの適用だ。

容量の低下は、研究発表で25〜40%

Section titled “容量の低下は、研究発表で25〜40%”

研究発表の数値では、air gapは配線間容量を25〜40%下げている。imecは2024年、18〜26 nmピッチの2層Ru配線で、空洞にした配線間の容量が絶縁膜で埋めた参照より40%低い1と報告した。Changらは2023年、パターニングした金属配線の間にair gapを作り、最先端のCu damascene配線より結合容量を最大25%下げた6。

回路の性能については、imecが2020年に別の解析を示している。64ビットARM CPUを題材にした12層配線の解析で、Ru semi-damasceneにair gapを組み合わせると、性能が10%上がり、消費電力が5%以上下がる可能性があるとした7。

imecのA14シミュレーションでは、air gapで自己発熱が30%増える

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配線に電流を流すと、抵抗によるジュール熱が出る。imecは、微細化で配線金属の抵抗率が上がり、low-k膜の熱伝導率が低いことがこの問題を悪化させる2と説明する。同社は2023年、トランジスタ側と配線側をつないだ多段の計算で、14層の配線スタックの自己発熱を解析した。

その解析では、配線間の絶縁膜の熱伝導率が1 W/mKを下回ると温度上昇が急になった2。いま使われているOSG3.0などの絶縁膜も、すでにこの範囲にある。空気の熱伝導率はさらに低いので、A14世代などでair gapを入れると、配線の自己発熱は30%増えた2。配線金属の種類は、熱の逃げ方にほとんど影響しなかった。

パッケージの冷却を強めても、この熱は下がりにくい。imecの比較では、パッケージ上面の冷却を強めると、同じトランジスタ側の電力で温度が40%、90%下がったが、配線の自己発熱はわずかしか下がらなかった2。

熱抵抗の86%は、14層スタックのvia層にある

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熱の逃げ道は、配線層よりvia層で詰まる。これはair gapの有無とは別の、スタック全体の性質だ。imecの14層スタックでは、熱抵抗の86%がvia層、14%が配線層だった2。imecは、各層の熱抵抗を厚さ÷熱伝導率で定義している。

imecの14層BEOLスタックの熱抵抗を1本の横棒で分けた図。via層が86%、配線層が14%。
imecの14層スタックでは、熱抵抗の86%をvia層が占める。

viaの密度が高いほど、また上下のviaがそろって積み重なるほど、熱は逃げやすい。電源用の上層はviaがそろっているが、信号用の下層と中間層はviaの位置がばらばらで温度が上がりやすい。中間層にk=3.0のlow-kを使う条件では、スタック全体の熱抵抗はこの中間層が支配した。

寿命、湿気、機械強度も、数値で確かめる項目に加わる

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空洞にすると、配線間の絶縁破壊(TDDB)、湿気、機械強度の条件も変わる。imecは2022年、air gap幅8〜16 nmのRu配線で、TDDBの電界加速係数がRu/low-kのdual damasceneより高く、100°C・0.75 V超で10年寿命を満たし、85°C/85%RH・1,000時間の湿度試験で容量・リーク・耐圧に大きな変化がなかった8と報告した。2020年には、30 nmピッチの2層Ru配線で、空洞を持つ構造の機械的安定性がCu dual damasceneと同程度だった7と発表している。

一方、18 nmピッチの2層配線では、via-配線間のリーク目標を満たしたviaは40%だった1。研究ラインで通過した項目と、18 nmピッチで残る項目は、air gapの信頼性試験の結果をまとめた記事で比べている。

装置の側では、low-k膜の成膜とCMPが先に動いている

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Cu配線の絶縁膜では、Applied Materialsが2024年、最小のk値を下げ、機械的強度を上げたlow-k膜の新版を発表した9。壊れやすいlow-k膜の上を削るCMPでは、同社がReflexion LKの機能として終点検出と研磨プロファイルのその場制御10を挙げている。装置会社がair gapをどの世代に置いているかは、TELの世代推定をまとめた記事で扱う。

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