W2WとD2Wの違い、不良ダイを外せるかD2Wは位置ずれと切断の粒子を抱える
hybrid bondingのウェーハ・ウェーハ接合(W2W)では、上下どちらかのウェーハにある不良ダイが、そのまま積層品の不良になる。ダイ・ウェーハ接合(D2W)は、検査で選んだ良品ダイだけを、下のウェーハの良品の位置に積める。つまり歩留まりの損失は、W2Wではウェーハ全体の掛け算として、D2Wではダイ1個ずつの合否として出る。
ただしD2Wでは、損失が別の場所へ移る。imecは、D2Wには良品ダイだけを積んで積層品の歩留まりを上げられる利点と、大きさの違うダイを接合できる利点があるとする1。一方でD2Wでは、位置ずれの合否がダイごとに決まり、切断で出る粒子とダイの端の不良が加わる。そのためD2Wの接合装置は、ダイ1個ずつの追跡を機能に挙げる。
W2Wの歩留まりは、上下のダイ歩留まりの掛け算になる
Section titled “W2Wの歩留まりは、上下のダイ歩留まりの掛け算になる”上の不良ダイと下の不良ダイを選んで外せないのは、W2Wが2枚のウェーハを丸ごと貼り合わせるからだ。UCLAの歩留まり計算の論文は、W2Wを量産の効率と位置合わせの精度で勝る一方、どちらのウェーハの欠陥にも歩留まりが弱い2方式と整理している。
掛け算の効き方を、下のウェーハ10か所あたりの良品の積層品の数で比べる。上のウェーハのダイ歩留まりが90%、下が80%で、不良の位置に相関がなければ、W2Wでは平均7.2個(0.9×0.8×10)になる。D2Wでは、上のダイを接合前に検査して良品を選び、下のウェーハの良品の8か所にだけ積むので、8個になる。どちらも接合での損失を除いた筆者の試算だ。D2Wの8個は、上のダイを検査する工程を足して得る数でもある。
W2Wは、イメージセンサーと3D NANDで使われている。imecによれば、1 µm前後のピッチのhybrid bondingはイメージセンサーと3D NANDで商用化されている3。KIOXIAの第8世代BiCS FLASHは、別々に作ったCMOS回路のウェーハとメモリーセルのウェーハを貼り合わせる4。接合そのものの歩留まりについては、ソニーが0.8 µmピッチのW2Wで、半数のウェーハで歩留まり100%、残りのウェーハでも94%超5を報告した。
W2Wでは、粒子のボイドが接合の波に沿って長く伸びる
Section titled “W2Wでは、粒子のボイドが接合の波に沿って長く伸びる”W2Wの接合は、ウェーハの中心で接触し、そこから外へ波のように広がる。UCLAの計算は、W2Wが粒子汚染により敏感なのは、接合の波が進むときにボイドが尾を引き、1個のダイあたりの致命的な面積が大きくなるため2と説明する。D2Wでは、ダイが小さいので、この尾はほとんどできない2。粒子1個が作るボイドの大きさは、ボイドと洗浄の記事にまとめた。
尾が長いことは、パッドの並べ方の効き方も変える。同じ計算で、致命的なパッドを中央に集めた配置は、周辺に並べた配置より、W2Wでは粒子による歩留まりが3%以上高かった。D2Wでは、2つの配置の差は0.6%未満にとどまった2。パッドの配置が粒子による歩留まりに効く度合いは、計算上W2Wのほうが大きい。
位置ずれも、W2Wではウェーハ全体の分布として出る。W2Wでは、ウェーハの端で位置ずれが限界に達しても、中心に近いダイは生き残りやすい2という計算結果が出ている。
D2Wでは、位置ずれの合否がダイごとに決まる
Section titled “D2Wでは、位置ずれの合否がダイごとに決まる”D2Wでは、ダイを1個ずつ置くので、位置ずれもダイごとに決まる。UCLAのモデルでの計算では、ピッチ0.3 µmのD2Wで、ダイの端の位置ずれが限界を超えるとそのダイは捨てられ、ダイが大きくなるほど位置ずれによる歩留まりが下がった。W2Wでは、ダイの大きさによらずほぼ安定していた2。論文は、この比較で出た差を、位置ずれが歩留まりに効く仕組みの違いで説明している。
接合技術のライセンス会社Adeiaは、パッドの大きさを2〜15 µmで変えたD2Wの試験で、位置ずれの許容がどのパッドの大きさでもパッド直径の約80%で、許容の限界での抵抗の上昇は5〜20%6だったと報告した。imecの2 µmピッチのD2Wでは、位置ずれは350 nm未満で、電気歩留まりはケルビン構造で85%超、数珠つなぎ構造で70%超だった1。
D2Wは、切断の粒子とダイの端の不良を抱える
Section titled “D2Wは、切断の粒子とダイの端の不良を抱える”D2Wでは、接合の前にウェーハをダイへ切り分ける。この切断が、W2Wにはない粒子の出どころになる。imecは2 µmピッチの接合で、粒子を出さずに銅とSiCNの面を守るため、プラズマダイシングを使った1。
不良は、ダイの端に集まる。Adeiaの解析では、ボイドはウェーハの中では無作為に散らばり、ダイの中では端と角に多かった6。1層の接合なら、ダイの端から50〜75 µmを避ければ端による歩留まりの損失を防げ、積層ではさらに約200 µmが要る6。ダイの大きさにも最適値がある。Adeiaは、小さなダイを複数並べると同じ面積の大きなダイ1個より歩留まりで有利だが、小さくしすぎると端の欠陥が支配的になり、最適は約100 mm²とした6。
積み重ねた場合の歩留まりも、Adeiaが示している。12段積みでは、1層あたりの歩留まりは平均95%で、積層品全体では56%だった6。Adeiaによれば、平均を下げたのは初めに起きた粒子汚染の突発で、その後は1層あたりの歩留まりが積まないダイと同じ水準まで上がり、12層までは積層数の根本的な限界は見つからなかった6。
D2Wの管理は、ダイ1個ずつの記録に移る
Section titled “D2Wの管理は、ダイ1個ずつの記録に移る”D2Wでは、ダイ1個ずつの記録が装置の機能として売られている。Applied MaterialsとBesiが共同開発したD2W接合装置Kinexは、統合の利点として、ダイ単位の追跡による複数ダイのパッケージの管理、接合工程の間の待ち時間の精密な管理、インラインの位置ずれ計測とドリフトの検出7を挙げ、ロジック、メモリー、後工程受託の複数の顧客が使っているという。
大きさの違うダイをまとめて積めることも、D2Wの強みだ。EVGは2022年、1つの3Dシステムを構成する大きさの違う複数のダイを1回の転写で接合し、ボイドのない接合の歩留まり100%8を得たと発表した。この100%は、ボイドの有無で数えた値だ。
位置ずれが歩留まりと絶縁破壊の両方に効くことは、歩留まりと信頼性の記事で扱った。ダイごとの位置ずれやボイドの測り方は、不良ごとの検査の記事にまとめている。
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- 1imec:2 µmピッチのD2W接合、良品ダイの利点と電気歩留まり(2024年5月)imec-int.com abc
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- 3imec:400 nmピッチのW2W接合と商用化されたピッチ(2024年2月)imec-int.com ↩
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- 6
- 7Applied Materials:D2W接合装置Kinexの発表(2025年10月)ir.appliedmaterials.com ↩
- 8EVG:大きさの違う複数ダイのD2W接合でボイドなし100%(2022年7月)evgroup.com ↩