認定試験の合否、量産発表とは別の文書寿命の根拠は合否表と学会論文
hybrid bondingの量産に関わる発表のうち、ここで比べた4つが伝えるのは、事業の節目だ。KIOXIAのサンプル出荷は出荷を、AMDの発表は生産開始の時期を、Applied Materialsの発表は装置の顧客採用を、EVGの発表は接合直後のボイドなし歩留まりを伝える。寿命の根拠は、認定試験の合否表や学会論文の寿命の外挿として、別の文書に出る。
信頼性の文書にも種類がある。2022年のレビュー論文は、hybrid bondingの過去6年の成果を整理するにあたり、誤解を避けるために、認定(qualification)、頑健性(robustness)、信頼性(reliability)の言葉の定義から始め、公開データの多くは認定試験の合否だとした1。そのうえで、表面処理や位置合わせといった製造の課題を解いた後なら、ピッチ1 µm超では従来の配線層とほぼ同じようにふるまい、頑健で信頼できる1と結論している。
4つの発表が伝えるのは、出荷、時期、採用、接合直後の歩留まり
Section titled “4つの発表が伝えるのは、出荷、時期、採用、接合直後の歩留まり”ここで比べた4つの発表は、どれも事業の進み具合を示す。試料に熱や電圧をかけて故障までの時間を測る試験の報告は、別の文書に出る。
サンプル出荷は、量産品の仕様が固まる前の段階だ。KIOXIAは2024年7月、CMOS回路とメモリーセルのウェーハを貼り合わせるCBA技術を使った第8世代BiCS FLASHの2Tb QLCについて、サンプル出荷を始めたが、サンプルは製品評価用で、仕様は量産品と異なる場合があるとした2。
生産開始の予定は、時期の約束だ。AMDは2021年5月、TSMCと共同で開発したhybrid bondの3Dチップレットについて、年末までに生産を始める見通し3と発表した。この発表が示すのは、配線密度と時期だ。
装置の顧客採用は、工程の道具がそろったことを示す。Applied Materialsは2025年10月、D2W接合装置Kinexをロジック、メモリー、後工程受託の複数の顧客が使っている4と発表した。装置が使われていることは、その装置で作った製品の寿命とは別の話だ。
歩留まり100%も、何を数えたかで意味が変わる。EVGが2022年に発表した100%は、大きさの違う複数のダイを1回の転写で接合したときの、ボイドのない接合の歩留まりだ5。ボイドの有無は接合直後の状態を表す。
認定試験の合否は、試験条件と試料の構造までが1組になる
Section titled “認定試験の合否は、試験条件と試料の構造までが1組になる”認定試験は、決めた条件で試料に負荷をかけ、合格か不合格かを判定する。接合技術のライセンス会社Adeiaは2023年、8 mm×12 mmのダイを使ったD2W接合の試料で、1層の接合では−40〜150℃の温度サイクル2,000回、225℃と275℃で2,000時間の高温保管、121℃・湿度100%で168時間のオートクレーブ、吸湿の後の3回のリフローに合格した6と報告した。TSVでつないだ5段積みの試料も、温度サイクルは−40〜125℃、高温保管は150℃という条件で合格した。
この表から読めるのは、その構造をその条件で試験して合格したという事実だ。5段積みでは、1層の接合より温度の範囲が狭い。Adeiaは銅だけで接続し、アンダーフィルを使わないことから、hybrid bondingはマイクロバンプの接続より信頼性が高い6と主張する。
寿命の外挿は、測ったピッチと温度の範囲で効く
Section titled “寿命の外挿は、測ったピッチと温度の範囲で効く”寿命の評価は、合否より一歩進む。故障を早める条件で故障までの時間や電圧を測り、使用条件へ外挿する。imecとWestern Digitalは1 µmピッチのW2Wで、接合面の絶縁破壊電圧の分布を測り、175℃未満では使用条件での寿命が10年を超え、銅の移動は200℃超かつ1.5 MV/cm超でしか見られなかった7と報告した。
この結果は、1 µmピッチについての根拠だ。同じ論文では、絶縁破壊が起きる接合面での隣のパッドとの最短距離が、設計の400 nmから320 nmに縮んでいた8。ピッチを詰めれば、この距離はさらに短くなる。imecは400 nmピッチでも、温度を変えた絶縁破壊の測定から寿命を評価し、劣化は絶縁膜そのものの劣化で、接合面に沿った銅の移動は起きにくい9と報告した。位置ずれが歩留まりと絶縁破壊の両方を動かす仕組みは、歩留まりと信頼性の記事で扱った。
量産品の信頼性は、量産と前後して論文で示される
Section titled “量産品の信頼性は、量産と前後して論文で示される”量産品の信頼性の根拠も、学会の論文に出る。ソニーは2016年12月のIEDMで、銅どうしのhybrid bondingを使った積層型の裏面照射CMOSイメージセンサーを量産したと報告し、電気試験の結果から接続と信頼性の高さを示した10。
ソニーは2026年4月にも、0.8 µmピッチのW2Wで1,000万個の接続を持つ試験構造について、175℃で1,000時間の熱処理と絶縁破壊電圧の試験で、微細化と位置ずれがあっても特性は安定していた11と報告した。
寿命の根拠は、ピッチごとに別の文書に出ている。レビュー論文の結論はピッチ1 µm超、imecとWestern Digitalの寿命の外挿は1 µm、ソニーの2026年の試験結果は0.8 µm、imecの寿命評価は400 nmについてのものだ。ソニーの2016年の報告は、量産品の接続と信頼性を示した。歩留まりの損失がW2WとD2Wでどう出るかは、W2WとD2Wの歩留まりの記事にまとめた。
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- 3AMD:hybrid bondの3Dチップレットと生産開始の見通し(2021年5月)ir.amd.com ↩
- 4Applied Materials:D2W接合装置Kinexの発表と顧客(2025年10月)ir.appliedmaterials.com ↩
- 5EVG:複数ダイのD2W接合でボイドなし100%(2022年7月)evgroup.com ↩
- 6Adeia:D2W接合の信頼性試験の条件と合否(IMAPS、2023年3月)imapsource.org ab
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- 8imec・Western Digital:同論文の著者版PDF(2022年)imec-publications.be ↩
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