極低温エッチング、TELは2027年量産へLamは2019年から量産で使用
極低温エッチングとは、ウェーハを0°Cより十分低い温度に冷やして絶縁膜を掘る技術を指す。3D NANDのチャネルホールをこの方法で掘る工程について、Lam Researchと東京エレクトロン(TEL)の発表には、量産の段階に違いがある。Lamは2019年から極低温エッチングを量産で使い、Cryo 3.0を量産中の自社装置Flexにも載せる。TELは2026年7月、400層NAND向けの極低温エッチング装置が2027年から顧客の量産ラインに入る1と説明した。
LamはCryo 3.0を従来の誘電体エッチングの2.5倍2の速さとし、低温で新しい化学反応を使えるようになるとする。TELは使う化学反応を具体的に示し、従来のフッ化炭素ガスに代えてHFとリン系のガスを使い、IR Dayのスライドに2.5倍の速さ3と記す。Cryo 3.0の公表値と仕組みはLam Cryo 3.0の解説にまとめた。
Archer CEOは、径の差10 nm未満の精度が1段あたりの層を増やす柔軟性になると述べた
Section titled “Archer CEOは、径の差10 nm未満の精度が1段あたりの層を増やす柔軟性になると述べた”3D NANDは、積層膜を何段かに分けて重ねる。Motley Foolが掲載した2024年7月31日(米国時間)の決算説明会の書き起こしによれば、LamのTim Archer CEOは、深さ10 µmの穴を径の差10 nm未満で掘れるCryo 3.0の精度によって、顧客は1層あたりのセルを増やし、1段あたりの層を増やす柔軟性を得られる4と述べた。
Lamは2019年から極低温エッチングを量産に入れ、量産で動かしているのは自社だけだと説明していた
Section titled “Lamは2019年から極低温エッチングを量産に入れ、量産で動かしているのは自社だけだと説明していた”Lamは2019年に極低温エッチングを初めて量産に入れた2。2024年7月の発表では、NANDの量産で使われているLamの高アスペクト比絶縁膜エッチングのチャンバーは7,500室を超え、そのうち約1,000室が極低温を使う。同じ月のブログでLamは、NANDの量産で極低温装置を動かしているのは2019年以来Lamだけだとしていた5。
Cryo 3.0は、新しいVantexにも、主要なメモリーメーカーすべてが量産に使うFlex2にも載る。Motley Foolが掲載した2025年1月の決算説明会の書き起こしによれば、Archer CEOは、Cryo 3.0が最新のVantex CX+で先端の案件を獲得し、Flexの既存装置にはアップグレードとして広がっている6と述べた。Archer CEOは、新しい装置に載せて売れるうえ既存の装置のアップグレードにも使えることは、顧客にとって財務的に魅力があるとも述べた。
NAND全体の投資について、Lamは2025年初めに、既存のNANDの生産能力を200層超の製品へ移すには数年で約400億ドルの転換投資が要ると説明していた。Motley Foolが掲載した2026年4月の決算説明会の書き起こしによれば、Lamはその大半が2027年末までに前倒しで起きる7と見込みを改め、チャネルホールの絶縁膜エッチングでは自社が市場で首位の位置にあると述べた。
TELは、炭素を含まない別の化学で極低温工程を作った
Section titled “TELは、炭素を含まない別の化学で極低温工程を作った”TELの子会社の東京エレクトロン宮城は、2023年のVLSIシンポジウムで、極低温と炭素を含まない新しいガスを組み合わせ、10 µmを超える深さまで掘れ、33分という短い処理時間の工程8を発表した。10 µmを33分で掘ると仮定して計算すると、平均で毎分約0.3 µmになる。
TELは2025年2月のIR Dayで、この工程の中身を2つの技術として示した。1つは、従来のフッ化炭素(CFx)ガスに代えて、HFとPFx(リンとフッ素の化合物)を使うPHastIEだ3。TELは、CFxは重合して穴の上部にたまりやすく、反応種が下へ運ばれるのを妨げるとし、新しいガスと低温の組み合わせで速く掘れるようにしたと説明する。もう1つは、ウェーハにかける電圧を正弦波から矩形波に変え、イオンを穴に垂直に入れるHERBだ。
量産への道筋は、3回の決算説明で順に示された。TELは2025年10月、400層NANDの量産投資が2026年末に始まり、自社の極低温エッチング装置が量産ラインに入る9と見込んだ。2026年2月の決算資料は、エッチングのNAND向けの項目にスリットとチャネルホールのPOR10を挙げた。2026年7月の説明では、400層NAND向けの極低温エッチング装置を顧客の量産ラインに入れる時期を2027年からとした。
Lamは転換投資の大半を2027年末までと見込み、TELは極低温装置を2027年から量産ラインに入れる
Section titled “Lamは転換投資の大半を2027年末までと見込み、TELは極低温装置を2027年から量産ラインに入れる”2社の見通しは、どちらも2027年を含む。Lamは200層超への転換投資の大半が2027年末までに起きると見込み、TELは400層NAND向けの極低温エッチング装置を2027年から顧客の量産ラインに入れると説明する。TELの装置が2027年に量産ラインで動き始めるか、Lamが示す極低温の量産室数がどこまで増えるかは、2社の次の発表で確かめられる。
電力と排出の削減幅も両社が数字を出しており、各社の数字と条件は極低温エッチングの電力と排出の試算にまとめた。絶縁膜エッチング全体で各社が発表している数値は3社のエッチング装置の得意工程、削る膜と用途で各社の製品を並べた入口はAMAT・Lam・TELのエッチング装置分類にある。
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- 2Lam Research:Cryo 3.0の発表と量産中の室数(2024年7月)newsroom.lamresearch.com abc
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- 5Lam Research:Cryo 3.0の解説ブログ、量産中の極低温装置(2024年7月)newsroom.lamresearch.com ↩
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- 8VLSI Symposium:2023年の注目論文、東京エレクトロン宮城の極低温工程(2023年5月)archive.vlsisymposium.org ↩
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