極低温エッチングで電力40%減、Lam試算TELは電力43%減とIR Dayで提示
極低温エッチングとは、ウェーハを0°Cより十分低い温度に冷やして絶縁膜を掘るエッチングを指す。3D NANDのチャネルホールを掘るこの方法について、Lam Researchと東京エレクトロン(TEL)はそれぞれ自社の資料で削減幅を示している。LamはCryo 3.0で、従来のエッチングと比べてウェーハ1枚あたりの消費エネルギーが40%減り、排出量は最大90%減る1と試算する。TELは2025年2月のIR Dayのスライドで、自社の極低温工程について電力43%減、CO2e 83%減2と示した。
Lamは2つの数字の理由を別々に挙げる。排出の削減は温暖化係数の低いガスを使うことから、電力の削減は処理能力が上がることから来るという。TELは、炭素を含まないガスを使う工程だと示している。Cryo 3.0の形の精度と仕組みはLam Cryo 3.0の解説にまとめた。
Lamは、排出の削減を温暖化係数の低いガスの使用に結び付ける
Section titled “Lamは、排出の削減を温暖化係数の低いガスの使用に結び付ける”Lamの発表の注記によれば、排出90%減はCryo 3.0で使えるようになった新しいエッチングの化学反応にもとづく1値で、ウェーハ1枚あたりのCO2のkg数で数える。計算はIPCCの温室効果ガス目録の指針に沿い、Lamはこの削減量が独立の検証を受けていないと注記している。Lamのブログは、Cryo 3.0は温暖化係数の低いプロセスガスとその副生成物を使う3ことで排出を減らせる可能性があるとし、90%は現在のレシピ条件にもとづくと書く。
TELは、炭素を含まないガスを使う工程の削減幅を自社の資料で示す
Section titled “TELは、炭素を含まないガスを使う工程の削減幅を自社の資料で示す”TELの子会社の東京エレクトロン宮城は、2023年のVLSIシンポジウムで、炭素を含まない新しいガスを極低温と組み合わせた工程を発表した。VLSI 2023の要旨は、この工程で温室効果ガスによるカーボンフットプリントが84%減るとしていた4。2025年2月のIR Dayは、2023年のVLSIで発表した工程だとして、電力43%減とCO2e 83%減を示した。同じスライドでTELは、従来のフッ化炭素(CFx)ガスに代えてHFとPFx(リンとフッ素の化合物)を使う2と説明した。43%、83%、84%はいずれもTELが自社の資料で示した値だ。
HFの温暖化係数については、TELの量産工程とは別の研究も報告している。名古屋大学と東京エレクトロン宮城は2026年1月、マイナス60°CのHFプラズマで酸化膜を掘る研究を発表し、HFの温暖化係数は従来のフッ化炭素系のエッチングガスより大幅に低いとした5。この研究の条件では、酸化膜を掘る速さは室温で低いイオンエネルギーの条件の約100倍だったと、Chemical Engineering Journalの論文6は報告する。フッ化炭素ガスが従来のエッチングでどう使われているかはエッチングガスと洗浄液の使い分けにまとめた。
Lamは、電力の削減を処理能力の向上に結び付ける
Section titled “Lamは、電力の削減を処理能力の向上に結び付ける”Lamのブログは、処理能力が上がるとウェーハ1枚あたりの装置の消費エネルギーが下がる3と書き、40%減と90%減を極低温に対応した装置で見込む値としている。Cryo 3.0の掘る速さは、従来の誘電体エッチングの2.5倍だ。Lamの比較相手は「従来のエッチングプロセス」で、Motley Foolが掲載した2024年7月31日(米国時間)の決算説明会の書き起こしによれば、Archer CEOは非極低温のエッチング装置との比較7と言い換えた。
TELのIR Dayのスライドは、電力43%減を「Less Power」、CO2e 83%減を「Less Carbon Footprint」として、環境の欄に並べる。速さの2.5倍は、同じスライドの工程の欄にある。2社が極低温エッチングをどの工場のどの世代に入れようとしているかは、LamとTELの極低温チャネルホールエッチングの比較にまとめた。
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- 1Lam Research:Cryo 3.0の発表と電力・排出の試算(2024年7月)newsroom.lamresearch.com ab
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- 3Lam Research:Cryo 3.0の解説ブログ、低温暖化係数ガスと試算の条件(2024年7月)newsroom.lamresearch.com ab
- 4VLSI Symposium:2023年の注目論文、東京エレクトロン宮城の極低温工程(2023年5月)archive.vlsisymposium.org ↩
- 5名古屋大学:極低温HFプラズマによる酸化膜エッチング(2026年1月)en.nagoya-u.ac.jp ↩
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