エッチング装置の選び方、起点は削る膜LamとTELはRIE、AMATは制御技術
エッチング装置とは、プラズマで膜を削り、レジストの形を下の膜へ写す装置を指す。比べるときの主な項目は5つある。ウェーハを運ぶプラットフォーム、そこに付く反応室(チャンバー)、プラズマの作り方(ICPかCCPか)、削る膜の種類(導電膜、絶縁膜、シリコン、メタル)、そして工程位置(トランジスタを作るFEOL、配線のBEOL、3D NANDなど)だ。Applied Materials(AMAT)、Lam Research、Tokyo Electron(TEL)の製品ページでは、製品を並べる見出しは削る膜の種類と用途で、ICPかCCPかではない。本稿もこの2つで候補を絞る。
Lamの製品ページは、導電膜向けのKiyo1、絶縁膜向けのFlex2、その発展形のSense.iの方式欄にRIE(反応性イオンエッチング)を挙げる。TELはTactras3とEpisode ULの仕様表に「Dielectric, Conductor, Reactive Ion Etch」と書く。同じ2社でも、Lamのシリコン深掘り装置SyndionはDRIE、TELのCertas LEAGAはChemical Dry Etchだ。AMATの製品ページが挙げるのは、パルス化したRF電源やウェーハ近くで作るプラズマといった制御技術だ。
装置の名前は、運ぶプラットフォームと削るチャンバーの2層でできている
Section titled “装置の名前は、運ぶプラットフォームと削るチャンバーの2層でできている”AMATのCentrisもTELのTactrasも、中央の搬送室の周りに複数のチャンバーを付けたクラスター型だ。そのため製品名には、ウェーハ搬送とチャンバー数を表すプラットフォーム名と、プラズマで削る反応室を表すチャンバー名が混ざる。AMATの「Centris Sym3」は、2つの名前を並べている。
AMATのCentrisは2010年に導電膜エッチング向けのプラットフォームとして登場し4、エッチング6室とプラズマクリーン2室の計8室を備えた。2015年からはSym3エッチングシステムのプラットフォームになっている。AMATはSym3の10,000室目の出荷を2023年12月に伝え5、Sym3を「エッチングチャンバー」と数えている。同じ記事は、チャンバーをより高い密度で載せるVistaraプラットフォームにも触れている。
Lamは製品をプロセスモジュールと製品ファミリーの名前で並べる。Sense.i6はKiyoとFlexのプロセスモジュールから発展したシステムで、2025年に発表した導電膜向けのAkara7はSense.iプラットフォームに載る。
TELは、システム名で製品を並べる。仕様表では、Tactrasに1〜6室、Episode UL8に1〜12室のチャンバーを付けられる。チャンバー名は200mm以下向けのUNITY Me+9の仕様表に出てくる。酸化膜・窒化膜向けがSCCMとDRM、Si・SiCトレンチ向けがUDだ。
| 会社 | プラットフォーム・システム | チャンバー・プロセスモジュール・製品ファミリー | チャンバー数の公開値 |
|---|---|---|---|
| Applied Materials | Centris、Vistara | Sym3、Sym3 Y、Sym3 Z、Sym3 Z Magnum | Centrisは2010年の発表時に8室(エッチング6室、プラズマクリーン2室) |
| Lam Research | Sense.i | Kiyo、Flex、Akara、Vantex、Syndion、Versys Metal | Kiyoは2025年2月時点で量産中のチャンバーが3万室超10 |
| Tokyo Electron | Tactras、Episode UL、Certas LEAGA、UNITY Me+ | SCCM、DRM、UD(UNITY Me+) | Tactras 1〜6室、Episode UL 1〜12室、Certas LEAGA 1〜6室 |
ICPとCCPの違いは、プラズマを作る電力とイオンを加速する電力を分けるかにある
Section titled “ICPとCCPの違いは、プラズマを作る電力とイオンを加速する電力を分けるかにある”ICP(誘導結合プラズマ)は、容器の上のコイルに流すソース電力でプラズマの密度を決め、ウェーハ側にかけるバイアス電力でイオンのエネルギーを決める(スタンフォード大学ナノ加工施設のICPの説明11)。CCP(容量結合プラズマ)は、向かい合う2枚の電極の一方にRFをかけ、その電極に向けてイオンを加速する(同施設のCCPの説明12)。
RIEの名は、どちらの方式の装置にも付く。スタンフォードの施設は、CCPで電力をかけた電極にウェーハを置いて削る方式をRIEと呼び12、ICPの装置にも「ICP-RIE」と名の付くものを並べる11。RIEという表記だけでは、ICPかCCPかは決まらない。
3社の製品ページが方式名と並べて書くのは、膜の種類と制御技術だ
Section titled “3社の製品ページが方式名と並べて書くのは、膜の種類と制御技術だ”Lamの製品ファミリーのページには方式名の欄がある。Kiyo、Versys Metal13、Sense.iはRIE、Flexは原子層エッチング(ALE)と極低温エッチングとRIE、Vantex14は極低温エッチングとRIE、Syndion15はDRIE(深掘りRIE)とRIEだ。違いは、ページ冒頭の膜の種類(導電膜、絶縁膜、シリコン深掘り、メタル)と、設計の説明に出る。
TELは、Tactras、Episode UL、Certas LEAGAの仕様表に用途の欄を置く。TactrasとEpisode ULは「Dielectric, Conductor, Reactive Ion Etch」、Certas LEAGA16は「Dielectric, Chemical Dry Etch」で、Certas LEAGAはプラズマを使わないガスケミカルエッチング装置だ。
AMATの製品ページは制御技術を挙げる。Centris Sym3 Y17は高コンダクタンスのチャンバーとパルス化したRF電源、Sym3 Z Magnum18はウェーハ近くで作るプラズマ、第2世代のパルス電圧技術(PVT2)、独立したRFバイアスだ。
| 製品 | 方式欄 | 公式ページが挙げる設計要素 | 削る対象 |
|---|---|---|---|
| AMAT Centris Sym3 Y | ― | 高コンダクタンスのチャンバー、パルス化したRF電源 | 導電膜、EUVパターニング |
| AMAT Sym3 Z Magnum | ― | ウェーハ近くで作るプラズマ、PVT2、独立したRFバイアス | GAAのソース・ドレインのキャビティ |
| Lam Akara | ― | 固体素子のプラズマ源DirectDrive、イオンエネルギー制御、プラズマのパルス化 | 導電膜(CFET、3D DRAM、3D NAND) |
| Lam Kiyo | RIE | 対称なチャンバー、独立したプロセス調整 | 導電膜 |
| Lam Flex | ALE、極低温、RIE | 多周波、小容積、閉じ込めプラズマ | 絶縁膜 |
| TEL Tactras | Reactive Ion Etch | 共通のベース設計を用途別に組み、最大6室を載せる | 絶縁膜、導電膜 |
| TEL Certas LEAGA | Chemical Dry Etch | プラズマを使わないガス処理 | 酸化膜の除去、選択エッチング |
比較は、削る膜と工程位置で候補を絞ってから始める
Section titled “比較は、削る膜と工程位置で候補を絞ってから始める”本稿では、製品ページが挙げる用途を、エッチングで削る膜の種類と工程位置で整理した。
| 削る膜 | 主な工程位置 | 候補になる装置 |
|---|---|---|
| 導電膜(ポリシリコン、メタルゲート、Si/SiGe) | FEOLのトランジスタ、GAA、パターニング | AMAT Sym3 Y・Sym3 Z Magnum、Lam Kiyo・Akara、TEL Tactras・Episode UL |
| 絶縁膜 | コンタクト、BEOLのlow-k、DRAMのキャパシタ | Lam Flex、TEL Tactras・Episode UL |
| 3D NANDの高アスペクト比の穴 | 3D NANDのチャネルホール、スリット | Lam Vantex・Flex、TEL Tactras |
| メタル・メタルハードマスク | BEOLの配線、Alパッド | Lam Versys Metal、AMAT Centura DPS Plus(200mm以下) |
| シリコン深掘り | TSV、HBM、パワーのトレンチ、MEMS | Lam Syndion、TEL UNITY Me+・Tactras-UDEMAE、AMAT Centura |
| 酸化膜の除去・選択エッチング | コンタクト前の洗浄、3D構造のリセス | TEL Certas LEAGA |
3D NANDのチャネルホールでは、Lamが極低温エッチングをVantexとFlexで使えるようにしている。工程ごとの強みでは、TELが絶縁膜エッチングの世界シェアを5割超19と発表しており、3社が数値を付ける工程はそれぞれ違う。200mm以下のラインでは、TELのUNITY Me+やAMATのCentura Etchといった先端向けとは別の製品群が候補になる。
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- 1Lam Research:Kiyoの製品ページlamresearch.com ↩
- 2Lam Research:Flexの製品ページlamresearch.com ↩
- 3
- 4Applied Materials:Centrisプラットフォームの成り立ち(2023年6月)appliedmaterials.com ↩
- 5Applied Materials:Centris Sym3の10,000室出荷(2023年12月)appliedmaterials.com ↩
- 6Lam Research:Sense.iの製品ページlamresearch.com ↩
- 7Lam Research:Akaraの製品ページlamresearch.com ↩
- 8Tokyo Electron:Episode ULの製品ページtel.com ↩
- 9
- 10Lam Research:Akaraの発表とKiyoの量産中の室数(2025年2月)investor.lamresearch.com ↩
- 11Stanford Nanofabrication Facility:ICPエッチングの説明snfguide.stanford.edu ab
- 12Stanford Nanofabrication Facility:CCPエッチングの説明snfguide.stanford.edu ab
- 13Lam Research:Versys Metalの製品ページlamresearch.com ↩
- 14Lam Research:Vantexの製品ページlamresearch.com ↩
- 15Lam Research:Syndionの製品ページlamresearch.com ↩
- 16
- 17Applied Materials:Centris Sym3 Yの製品ページappliedmaterials.com ↩
- 18Applied Materials:Sym3 Z Magnumの製品ページappliedmaterials.com ↩
- 19