ウェットエッチングが残る犠牲膜の除去熱リン酸で窒化膜を横に溶かすYMTC特許
ウェットエッチングが残る工程の1つは、3D構造の犠牲膜を横から抜く工程だ。犠牲膜とは、後の工程で取り除くために一時的に積んでおく膜を指す。SCREENの入門解説はエッチング工程の9割以上はドライで行われているとするが1、YMTCの特許は、3D NANDのゲート置換で、積層の中の窒化膜を熱リン酸で横方向に溶かして取り除く工程を示す。マスクの下へ回り込む性質は、パターン転写では欠点でも、層と層の間の膜を抜く工程では役に立つ。
ただし、深い3D構造で等方的に削る装置は、液を使うものだけではない。Applied Materialsは2026年、3D NANDのMo配線の分離について、従来のウェット工程からの移行を可能にする装置2を発表した。Lam Researchは2022年、GAA構造の開発向けに、気相の技術やラジカルを使う選択エッチ装置を発表している。imecは、GAAのSiGeを抜く工程でドライとウェットの両方を調べた。
パターン転写がドライに移ったのは、薬液がマスクの下へ回り込むから
Section titled “パターン転写がドライに移ったのは、薬液がマスクの下へ回り込むから”SCREENの入門解説によれば、ウェットエッチングは横方向にも進むので、細かい回路ではレジストが落ちてしまう1。ドライは垂直方向に進むので、微細な回路も作れる。ウェットは装置が1億〜3億円程度で薬液も安く、50枚などをまとめて処理できるが、同じ解説は、粗い回路が減ってエッチング工程の9割以上がドライになったと書く。ウェットとドライの断面の違いは、エッチングの入門ページの図1に示した。
ウェットはドライの後始末にも使われる。SCREENは、ドライで膜を削り終える頃に変質したレジストがポリマになり、残すとICの欠陥につながるため、ウェットステーションやスピンプロセッサの薬液で取り除く1と書く。この後始末は洗浄の工程の一部になる。
YMTCの特許では、3D NANDのゲート置換で熱リン酸が窒化膜を横に溶かす
Section titled “YMTCの特許では、3D NANDのゲート置換で熱リン酸が窒化膜を横に溶かす”3D NANDでは、酸化膜と窒化膜を交互に積んだ後で、窒化膜をワード線の金属に置き換える。YMTCが2018年に出願した特許は、この置換の最初の工程として、積層を貫く開口から熱リン酸のウェットエッチャントを入れ、窒化膜を酸化膜に対して選択的に溶かして、酸化膜の間に横向きの空洞を作る3と書く。
同じ特許によれば、150〜170℃の熱リン酸は窒化膜を毎分35〜65オングストロームで溶かし、酸化膜は毎時70〜130オングストロームしか溶かさない。選択比は約30になる。それでも酸化膜が削れすぎて空洞の形が崩れるため、特許は添加剤で選択比を、たとえば400超まで上げることを提案している。
GAAのチャネル解放では、imecがSiGeを抜く工程をウェットとドライの両方で調べた
Section titled “GAAのチャネル解放では、imecがSiGeを抜く工程をウェットとドライの両方で調べた”GAAのナノシートトランジスタでは、SiとSiGeを交互に積み、SiGeを後で抜いてSiのシートを残す。imecのHoriguchi氏は、ナノシートとFinFETで工程が違う4つの点のうち2つにこの横方向の除去を挙げる。1つはSiGeの外側を横方向のエッチングで後退させて内側スペーサーの空間を作る4工程、もう1つはSiGeを選択的に抜いてシートを互いに離すチャネル解放だ。チャネル解放には、Geの残りが少なくSiが荒れない高い選択比と、細いシートどうしが貼り付かないようにする制御が要り、imecはドライとウェットの両方を調べたという。
Lam Researchは2022年2月、GAA構造の開発を支える3つの装置を発表した。Argosはウェーハ表面を選択的に改質し、汚れを除く表面処理の装置5、Prevosは新しい化学品と気相の技術を温度制御と組み合わせ、酸化膜、シリコン、金属を高い選択比で削る装置、Selisはラジカルと熱のエッチングを使い、構造を傷めずに上から下まで均一に削る装置だ。Lamは、縦に積む構造の製造には、ほかの層を傷めずに材料を均一に等方的に除く処理が要ると説明し、これらの装置はSamsung Electronicsの工場で、先端ロジックの開発工程の12近い重要工程に使われているとしている。
Appliedは、深い構造では液が底まで届きにくいとして、Mo配線の分離を気相のエッチングへ移せると説明する
Section titled “Appliedは、深い構造では液が底まで届きにくいとして、Mo配線の分離を気相のエッチングへ移せると説明する”Applied Materialsは2026年6月、3D NANDのワード線をMoで作るときの分離工程向けに、Producer Selectra Mo Etchを発表した。同社は、ワード線の分離には従来ウェットエッチングが使われてきたが、高い積層では液が深い穴の底まで届きにくく、上が厚く削れる形になる2と説明する。この装置はガスの供給と工程の制御で上から下まで均一に削り、すでに量産で検証済みで、従来のウェット工程からの移行を可能にするとしている。
東京エレクトロンのCertas LEAGAも、液を使わずに等方的に削る装置だ。同社は、プラズマを使わないガスの化学反応でウォーターマークを残さずに削り、3D構造の高アスペクト比部分での選択エッチや精密なリセスに使える6と説明し、洗浄装置と組み合わせられるとしている。この装置は、プラズマ源による分類とは別の、ガスケミカルの選択エッチに入る。
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- 1SCREEN:初心者のための半導体入門、エッチングの方法と使い分けscreen.co.jp abc
- 2Applied Materials:3D NANDのMoワード線を分離するSelectra Mo Etchの発表(2026年6月)appliedmaterials.com ab
- 3YMTC:熱リン酸エッチャントの添加剤と3Dメモリーのゲート置換、米国特許10913893(2018年11月出願)patents.google.com ↩
- 4imec:ナノシートトランジスタの工程上の違いとチャネル解放imec-int.com ↩
- 5Lam Research:GAA向け選択エッチ装置Argos・Prevos・Selisの発表(2022年2月)newsroom.lamresearch.com ↩
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