フィラー誘起故障とは
フィラー誘起故障とは、封止樹脂に混ぜられたフィラーがチップ表面を押し、表面の回路を傷めて起きる故障です。 守るための材料が、加害の側に回ります。
樹脂は温度が下がるたびに縮み、中の硬い粒をチップのほうへ進ませます。粒の先端が保護層の厚さを超えて進めば、回路が傷みます。
樹脂が縮むと、尖った先端がチップへ向かって動く
Section titled “樹脂が縮むと、尖った先端がチップへ向かって動く”樹脂には、強度を確保し、チップの熱膨張係数に近づけるためにフィラーが混ぜられています1。高温でモールドしている間は、チップ表面にフィラーが接触してもダメージには至りません。その後フィラー周辺の樹脂が硬化収縮し、とがった形状の先端がチップ表面に向いていれば、収縮に伴って先端がチップ表面へ変位します。
樹脂の熱膨張係数はフィラーの数倍です。温度が下がるほど樹脂だけが強く縮み、その縮みが粒を進ませる力になります。
変位が保護層の厚さを超えると、回路が傷む
Section titled “変位が保護層の厚さを超えると、回路が傷む”100μm 程度のフィラーがチップ表面にモールドされると、温度サイクルなどでフィラーがチップ表面を押します。その変位量がチップ表面の保護層の厚さを超えると1、チップ表面の回路がダメージを受けて故障します。
フィラー先端の変位量はフィラーのサイズと相関があり、小さいフィラーほど変位量も小さくなります。大きさそのものが、保護層まで届くかどうかを左右します。
球形にして大きな粒を除けば、留まる
Section titled “球形にして大きな粒を除けば、留まる”フィラーが球形なら、樹脂を破らずに留まります1。丸い面が樹脂を押し広げずに済むためです。そこで、大型フィラーは球形化し、一定を超えるサイズのフィラーは除去することが有効とされています。
それでも、フィラー誘起の故障は樹脂封止型の半導体デバイスでは潜在的に起こりうる故障です。ゼロにする話というより、確率を下げる話です。
フィラーは抜かず、形と大きさをそろえる
Section titled “フィラーは抜かず、形と大きさをそろえる”モールディングは、衝撃・温度・湿度などの要因から守るために、エポキシなどの樹脂で半導体デバイスの周囲を固めることです2。フィラーはその樹脂に強度を与え、熱膨張係数をチップへ近づける役目を担っています。抜いてしまえば、反りと割れの側が悪化します。
そのため、フィラーの球形化と寸法の選別で半導体チップが受けるダメージを軽減することが重要です1。抜くというより、形と大きさをそろえる向きです。
球形化も粒の選別も、別の代償を伴う
Section titled “球形化も粒の選別も、別の代償を伴う”フィラーを混ぜれば樹脂の強度が上がり、熱膨張係数もチップへ近づきます。その代わり、硬い粒が温度サイクルでチップ表面を押す経路が生まれます。大型のフィラーを球形にすれば樹脂を破って進む危険は下がるものの、粉体を整える工程と費用が乗ります。一定を超えるサイズを除けば変位量は小さくなりますが、粒度の分布が狭まって流れ方と充填の性質が移ります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”フィラー誘起故障とは何ですか?
封止樹脂に混ぜられたフィラーがチップ表面を押し、表面の回路を傷めて起きる故障です。
なぜ樹脂にフィラーを混ぜるのですか?
強度を確保し、熱膨張係数をチップに近づけるためです。
どのくらいの大きさが問題ですか?
100μm 程度のフィラーがチップ表面にモールドされた場合です。
いつ押されるのですか?
温度サイクルなどで押されます。樹脂の熱膨張係数はフィラーの数倍です。
どこまで進むと故障ですか?
変位量がチップ表面の保護層の厚さを超えると、回路がダメージを受けます。
形は関係しますか?
します。フィラーが球形の場合は、樹脂を破らずに留まります。
対策は何ですか?
大型フィラーの球形化と、一定を超えるサイズのフィラーの除去が有効とされています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”2件を表示
- 1ルネサス エレクトロニクス:半導体信頼性ハンドブック(R51ZZ0001JJ0250)renesas.com abcd
- 2日本半導体製造装置協会(SEAJ):半導体製造装置用語集(組立:Assembly)seaj.or.jp ↩