ナノリッジレーザーとは
ナノリッジレーザーとは、シリコンの上に開けた細い溝の中でIII-Vの結晶を育て、その上へ広がった部分でレーザーを作る構造です。 Siのウェーハ上で直接光源を作れます。
シリコンは光を放つ効率が低いので、レーザーにはIII-Vの材料を使います。貼り合わせる代わりに育てる理由は、1枚のウェーハ上で一度に作れれば、1個ずつ載せる工程と費用が消えるからです。
細い溝の底で欠陥を止め、上へ広がった結晶で光らせる
Section titled “細い溝の底で欠陥を止め、上へ広がった結晶で光らせる”SiとIII-Vでは、原子の並びの間隔が異なります。そのまま積むと界面にずれが溜まり、欠陥として結晶の中へ伸びていきます。
酸化膜に細い溝を開け、その中で結晶を育てると、欠陥は溝の側壁へ当たって止まります。溝が細いほど、上まで伸びる欠陥が減ります。溝の上へ伸びた部分は横へ広がって欠陥の減った結晶になり、この広がった部分が光を放つ領域になります。
載せる2つの手は良品を選べるが、1個ずつ時間がかかる
Section titled “載せる2つの手は良品を選べるが、1個ずつ時間がかかる”imecは、レーザーの集積手段1としてウェーハ規模のフリップチップ接合、マイクロトランスファープリンティング、電気励起のナノリッジレーザーの3つを挙げています。フリップチップ接合は、別に作ったレーザーを裏返して基板へ載せる手です。マイクロトランスファープリンティングは、薄く剥がした素子をスタンプのように写し取る手です。
どちらも良品だけを選んで載せられるため、歩留まりが読めます。その代わり1個ずつ載せる工程が要り、枚数が増えるほど時間がかかります。
育てる手は載せる工程を消し、結晶の質を工程の中で作り込む
Section titled “育てる手は載せる工程を消し、結晶の質を工程の中で作り込む”ナノリッジは、Siのウェーハ上で一度に育てる手です。載せる工程そのものが消えるため、枚数が増えても時間が伸びにくくなります。ナノリッジは電気励起のレーザーで1、電流を流して光らせます。
その代わり、結晶の質を工程の中で作り込むことになります。溝の寸法、成長の条件、欠陥の止まり方のすべてが歩留まりに直結します。集積の深さと、歩留まりの読みやすさが逆を向きます。
光源は、データセンターの光配線で変調器へ光を送る
Section titled “光源は、データセンターの光配線で変調器へ光を送る”データセンターの光配線では、将来の回線が400 Gb/sの容量を目標とします2。imecは、2並列のGeSi電界吸収変調器による106 Gb/sの送信器を1.5 pJ/ビットで実現しました。この変調器へ光を供給するのが、レーザーの役目です。
光源が同じチップの上にあれば、外部のレーザーとの結合の損失が消えます。結合の段が減るぶん、必要な光の強さも下がります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ナノリッジレーザーとは何ですか?
シリコンの上に開けた細い溝の中でIII-Vの結晶を育て、その上へ広がった部分でレーザーを作る構造です。
なぜ細い溝を使いますか?
SiとIII-Vでは原子の並びの間隔が異なり、界面に欠陥が生じます。細い溝なら欠陥が底で止まり、上まで伝わりにくくなります。
何が利点ですか?
Siのウェーハ上で直接育てられるため、別に作ったレーザーを運んで載せる工程が消えます。
電気で光りますか?
imecは、電気励起のナノリッジレーザーをレーザー集積の手段の1つとして挙げています。電流を流して光らせます。
ほかの手段は何ですか?
imecは、ウェーハ規模のフリップチップ接合とマイクロトランスファープリンティングを挙げています。
どう使い分けますか?
前の2つは別に作った良品のレーザーを載せる手で、歩留まりが読めます。ナノリッジは工程へ取り込める代わりに、結晶の質を作り込む必要があります。
何のためのレーザーですか?
データセンターの光配線の光源です。imecは1レーンあたり400 Gb/sを目標に挙げています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- III-V on Si ヘテロ集積とは── 同じ問題への別の解き方
- 選択エピタキシャル成長とは── 溝の中で育てる工程
- シリコンフォトニクスとは── 光源を載せる相手の platform
- 光インターコネクトとは── 光源が供給する先の回線