コンテンツにスキップ

DTI(ディープトレンチ分離)とは

DTI(ディープトレンチ分離)とは、隣り合う画素のフォトダイオードの間へ、深い溝を掘って分離する構造です。 Si内に設けた分離層を用いて色分離性を改善し1、画素サイズ1.4µm以下の裏面照射型CMOSイメージセンサに採用されています。

画素を小さくすると、隣の画素へ光や電荷が回り込む混色(クロストーク)が増えます。裏面照射構造で感度を取り戻した後も、混色を抑える工夫が要る場面が広がりました。

溝が、斜めに来る光と電荷をせき止める

Section titled “溝が、斜めに来る光と電荷をせき止める”
仕組み
溝が、斜めに来る光と電荷をせき止めますフォトダイオードフォトダイオードDTI斜めの入射光溝が光路を断ち、光をここで止めます画素の深さ全体DTIは画素の深さ全体を貫き、隣と分けます
DTIはSi内に設けた分離層で色分離性を改善する構造で、画素サイズ1.4µm以下の裏面照射型センサで採用されています。

表面照射型のCMOSイメージセンサでは、画素の微細化が進むとメタル配線の開口が狭くなり、入射光が蹴られて感度が低下します2。裏面照射型は、センサウェーハを支持基板に貼り合わせて裏面を薄肉化してから、裏面側にオンチップレンズを形成します。これで光の入射経路からメタル配線層を取り除き、感度を保ったまま画素の微細化を可能にしました。ソニーは2009年にこの裏面照射型を商品化し3、従来の表面照射型に比べおよそ2倍の感度と低ノイズを実現したとしています。

DTIは、この構造の上でさらに、隣り合う画素の間へ画素の深さ全体を貫く溝を掘ります。斜めに入った光や生成した電荷は、この溝に遮られて隣のフォトダイオードへ抜けにくくなります。

B-DTIは、量子効率を保ったままクロストークを減らす

Section titled “B-DTIは、量子効率を保ったままクロストークを減らす”
推移
画素は、縮みながら分離を保ってきました1752013年ごろ140DTI採用の目安1202014年報告1002015年以降画素ピッチは4世代のうちで縮小しましたDTIは1.4µm以下の世代から使われます
画素サイズは1.75µmクラスから量産ベースで最小1.12µmまで縮小しました。単位は0.01µmで、175は1.75µmを表します。

画素サイズの微細化による感度低下が裏面照射構造で解決された後、飽和信号量の確保とクロストーク(混色)の抑圧が次の課題になりました1。V.C.Veneziaらは、BCFA(Buried Color Filter Array)とB-DTIを組み合わせ、シリコン表面近くにカラーフィルタを形成して量子効率の低下を抑えつつクロストークを低減し、画素サイズ1.0µmで、飽和電荷数6,500e-、暗電流4e-/sec(@60℃)、読出しノイズ1.5e-(@×16gain)を達成したと紹介されています。Samsungも同様の画素分離構造を採用しているとされています。

画素サイズは1.75µmクラスから、量産ベースで最小1.12µmまで縮みました1。薄膜化と分離構造の両方が、この縮小を支えています。

クロストーク抑制の要求が、裏面照射の発展を後押しした

Section titled “クロストーク抑制の要求が、裏面照射の発展を後押しした”

2000年代後半、民生用ビデオカメラやディジタルスチルカメラの高解像度化・小型化に伴い、画素間クロストーク抑制の要求が高まりました4。これを受けて、2005年頃からSOI構造の裏面照射型CMOS-APSの開発が注目されました。2008年にはOmniVisionとTSMCが、シリコンバルクウェハを用いた裏面照射型CMOS-APSの量産化技術を発表しました。DTIは、この裏面照射構造の量産化と歩調を合わせて広がった技術です。

STIの溝を、画素の深さ全体まで延ばした

Section titled “STIの溝を、画素の深さ全体まで延ばした”

前工程の素子分離に使うSTI(Shallow Trench Isolation)は、シリコンへ溝を掘り、絶縁膜で埋める構造です。DTIは、同じ「溝を掘って絶縁材で満たす」考え方を、画素の深さ全体まで延ばしたものです。

転送ゲートを縦型構造にし遮光メタルを埋め込むことで飽和信号を増やしクロストークを抑えた、画素サイズ1.2µmの裏面照射型センサが2014年に報告されています1。溝を深くする手と、ゲートや遮光メタルの形を変える手は、どちらも混色という同じ課題への異なる答えで、画素サイズごとに組み合わせが選ばれています。

溝を深くするほど、電荷をためる容積を削る

Section titled “溝を深くするほど、電荷をためる容積を削る”

溝を深く掘るほど、隣の画素との分離は強まり、混色は抑えられます。その代わり、溝そのものが画素の中でシリコンの面積を占め、フォトダイオードが電荷をためられる容積と競合します。裏面照射構造や薄膜化と組み合わせれば感度を保ったまま分離を強められますが、貼り合わせや薄肉化という工程が増えます。画素をどこまで縮めるかは、この分離と容積のせめぎ合いの中で決まります。

DTIとは何ですか?

Si内に設けた分離層を用いて色分離性を改善する構造で、DTI(Deep Trench Isolation)と呼びます。画素サイズ1.4µm以下の裏面照射型CMOSイメージセンサに採用されています。

なぜ画素の間に溝が要るのですか?

裏面照射構造の後も、斜めに入る光や生成した電荷が隣の画素へ回り込む混色(クロストーク)が残る場面が増えたためです。

裏面照射構造とはどう役割が違いますか?

裏面照射構造は、配線を光路から外して感度を上げる仕組みです。DTIはその上で、隣の画素との間を物理的に分ける仕組みです。

B-DTIとは何ですか?

Backside Deep Trench Isolationの略です。BCFAと組み合わせ、シリコン表面近くにカラーフィルタを形成して量子効率の低下を抑えつつクロストークを低減する構造です。

どのくらいの性能が達成されていますか?

V.C.Veneziaらは、画素サイズ1.0µmで飽和電荷数6,500e-、暗電流4e-/sec(@60℃)、読出しノイズ1.5e-(@×16gain)を達成しました。

画素サイズはどう縮んできましたか?

画素サイズは1.75µmクラスから、量産ベースで最小1.12µmまで縮小しました。DTIは1.4µm以下の世代で採用が広がっています。

STIとは同じ技術ですか?

考え方は同じですが深さの範囲が異なります。STIは前工程の素子分離に使うトレンチで、DTIは画素の深さ全体を貫くトレンチです。

4件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4