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フォトダイオードとは

フォトダイオードとは、pn接合に光を当てると光の量に応じた電流が流れる、光を受けるための半導体素子です。 骨格は整流用のダイオードと同じpn接合で、変えたのは光が届くように作るという一点です。

光の強さという測りにくい量を、電流の大きさという測りやすい量に置き換えます。どの波長まで測れるかは、受光する材料のバンドギャップで決まります。

整流用ダイオードと同じpn接合を、光が届くように作る

Section titled “整流用ダイオードと同じpn接合を、光が届くように作る”

ダイオードは、pn接合を持つ2端子の素子です。加わる電圧の向きだけで、電流を流すか遮るかが決まります。フォトダイオードは、pn接合へ光がよく届く作りにして、光伝導電流が流れやすいようにしたダイオードで1、PN接合部へ光が当たると電流や電圧が生じます2。

光は3つの段階で電流に変わり、その量は光量に比例する

Section titled “光は3つの段階で電流に変わり、その量は光量に比例する”

光が電流に変わる過程3は次のとおりです。

  1. 半導体へ、そのバンドギャップを超えるエネルギーの光を当てると、光が吸収されて電子と正孔の対が生じます。
  2. pn接合の空乏層の付近でできた電子と正孔の対は、空乏層の内部電界によって、電子は正極側へ、正孔は負極側へ集められます。
  3. 外部回路と結んだpn接合ダイオードに光を当てると、そこに電流(光電流)が流れます。

Siフォトダイオードでは、P層とN層が接する真性領域を空乏層と呼びます。入射光量に比例して電子と正孔の対ができ2、P層とN層から電極を取り出して外部回路と結べば電流が発生します。光の量に比例して対ができるという部分が、この素子の値打ちです。

表面のP層を薄くするほど、短波長の感度が上がる

Section titled “表面のP層を薄くするほど、短波長の感度が上がる”

Siフォトダイオードでは、受光面側のP層を、通常ボロンの選択拡散で1 µm以下の厚さに形成します2。短波長側では、入った光が表面の拡散層のうちに吸収される割合が急に高まります。そのため、拡散層が薄くpn接合が表面に近いものほど感度が高くなります。

整流用のダイオードでは、表面の作り方が性能へ及ぼす影響は限られます。光を測る側では、表面の数百ナノメートルの作り方が感度を決めます。

同じpn接合を、光が届くように作り替えます
整流用のダイオード電極が表面をおおいますP層N層pn接合電流電圧の向きが振る舞いを決めます役目は、電流の向きをそろえることですフォトダイオード入射光光の入る窓を開けますP層 ── 1 µm以下に薄く作ります空乏層 ── 電界がありますN層正孔電子光の量に比例した電流が流れます役目は、光の強さを測ることですpn接合の作りは共通で、違いは光が届くように表面を作ってあるかどうかです
左右のpn接合は同じ形です。右だけ表面の電極に窓があり、P層が薄く作ってあるので、入った光が空乏層まで届きます。この作りの違いが、整流という役目と光量の測定という役目を分けています。

太陽電池と同じ現象を、光量の測定に振る

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フォトダイオードは、広い意味では太陽電池も含みますが、ふだんは光の強さの変わり方を細かく検出するセンサを指します2。物理の現象は共通で、設計の目標が別々です。太陽電池は電力を多く取り出す側へ、フォトダイオードは光量に正確に比例させる側へ振ってあります。

浜松ホトニクスは、同社のSiフォトダイオードの光電流が入射光量に対して優れた直線性を持ち、入射光量10⁻¹²〜10⁻² W程度の範囲では9桁以上に及ぶとしています2。この桁数は、素子の種類や使う回路によって上下します。9桁とは、いちばん弱い光といちばん強い光の間に10億倍以上の開きがあっても、電流の大きさが同じ比例関係を保つという意味です。光が届いたかどうかを見分ける用途と、光の量を数値で測る用途では、求められる作りが変わります。

長波長側の上限はバンドギャップ、短波長側は受光窓で決まる

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カットオフ波長[nm]は、1240をバンドギャップエネルギー[eV]で割った値です2。Siの常温時のバンドギャップエネルギーは1.12 eVなので、カットオフ波長は1100 nmになり、電子と正孔の対ができるのはここまでの波長に限られます。

短波長側は、素子の物性に加えて受光窓の透過率でも決まります。短波長側のカットオフ波長は、ふつうのSiフォトダイオードで320 nm、紫外域向けのタイプ(浜松ホトニクスのS1226/S1336シリーズなど)で190 nmです2。硼珪酸ガラスやコーティング樹脂は約300 nmより短波長側の光を吸収するので、これらを窓材にすると短波長の感度が失われます。300 nmより短い波長を検出する場合は、石英窓のタイプを使います。

Siは可視域や紫外域では光の吸収係数が大きく、薄いウエハでも十分に検出できます。一方で近赤外域では吸収係数がとても小さくなり、光が通り抜ける分が増えて感度が下がります2。

近赤外より先は、InGaAsへ材料を替える

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InGaAsフォトダイオードは近赤外光検出用のフォトダイオードで、浜松ホトニクスは0.5 μm〜2.6 μmにおいてさまざまな感度波長範囲を持つラインアップを用意しています4。この範囲はラインアップ全体の幅で、1つの素子の感度範囲とは別です。

ソニーセミコンダクタソリューションズのSenSWIRは、化合物半導体のInGaAsでフォトダイオードを形成し、読出し回路のSiとCu-Cuで接合する短波長赤外イメージセンサー技術です5。受光する層と読出し回路の層で、材料を作り分けています。SenSWIRはソニーセミコンダクタソリューションズグループの商標です。

感度の上限は、材料そのものが決めます
InGaAsフォトダイオード ── 浜松ホトニクスのラインアップは0.5〜2.6 µmSiフォトダイオード ── 一般には320〜1100 nm紫外域用のSiは190 nmまで(同社のS1226/S1336シリーズなど)1100 nm ── Siのバンドギャップ1.12 eVで決まる上限波長(nm)19032050011002600Siは近赤外域で光を吸収しにくくなり、感度が下がりますその先を検出するには、素子の材料をInGaAsへ替えます
2本の帯は、同じ波長の数直線の上に重ねてあります。Siの帯は1100 nmで途切れ、InGaAsの帯だけがその先へ伸びます。感度の上限は、回路の調整より前に、受光する材料の選び方で決まります。

増幅はAPDが担い、PINは空乏層を厚くする

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素のフォトダイオードは、入った光を電流へ置き換えるところまでを受け持ちます。PINフォトダイオードで生じるキャリアは入射した光子数までにとどまるのに対し、APD(アバランシェフォトダイオード)では入射した光子数を超えるキャリアが発生します3。そのためAPDは、光の信号を増幅したときと同じ働きになります。素子の中で信号を増やすかどうかが、両者を分けています。

PINフォトダイオードは、狙って不純物を加えず、できるだけ真性半導体に近づけた層を、p型層とn型層のあいだに挟んだ構造です。空乏層を厚くできるため、光をより効率よく吸収でき、pn接合の容量も小さく抑えられます。同じ原理のまま、構造の側を工夫したものです。

暗いところでの限界は、暗電流で決まる

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暗電流は、光を遮った状態でも素子の内部に流れている電流です3。光通信用のPINフォトダイオードでは、暗電流が受信器の感度や雑音の特性へ影響します。pn接合を半導体の内部へ埋め込んだ作りの埋め込み型フォトダイオードは、暗電流が少なく残像を防げます1。

カメラの画素で光を受けているのもフォトダイオード

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フォトダイオードは、光を電気信号へ変えるための受光部として1CCDやCMOSイメージセンサに使われます。画素の中で光を受けているのはフォトダイオードで、CCDやCMOSはその信号の読出しを受け持つ側の仕組みです。

スマートフォンのカメラも、光ファイバ通信の受信器も、青果の水分を測る検査装置も、入口はどれも同じpn接合です。何を測りたいかによって、材料と表面の作りと読み出し方を選び分けています。

フォトダイオードとは何ですか?

pn接合に光を当てると、光の量に応じた電流が流れる受光素子です。PN接合部に光が当たると、電流や電圧を発生します。

整流に使うダイオードとどこが違いますか?

pn接合という骨格は共通です。フォトダイオードは、pn接合へ光がよく届く作りにして光伝導電流が流れやすいようにしたダイオードで、違いは光が届くように作ってある点にあります。

太陽電池とは別のものですか?

広い意味では太陽電池も含みますが、ふだんは光の強さの変わり方を細かく検出するセンサを指します。同じ現象を、電力を取り出す向きに使うか、光量を測る向きに使うかという設計目標の違いです。

検出できる波長の上限はどこですか?

材料で決まります。カットオフ波長は1240をバンドギャップエネルギーで割った値で、Siは常温のバンドギャップが1.12 eVなので、カットオフ波長は1100 nmになります。

フォトダイオードは光を増幅しますか?

増幅は別の構造が担います。PINフォトダイオードで生じるキャリアは入射した光子数までにとどまり、APD(アバランシェフォトダイオード)では入射した光子数を超えるキャリアが発生するため、光の信号を増幅したときと同じ働きになります。

PINフォトダイオードは別の素子ですか?

同じ原理の構造上の工夫です。狙って不純物を加えず、できるだけ真性半導体に近づけた層をp型層とn型層のあいだに挟んだ構造で、空乏層を厚くできる点が利点です。

イメージセンサとはどういう関係ですか?

受光している部分がフォトダイオードです。光を電気信号へ変える受光部として、CCDやCMOSイメージセンサに使われます。

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