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VCSEL(面発光レーザー)とは

VCSEL(面発光レーザー)とは、半導体の基板面に対して垂直な向きへレーザー光を放射する半導体レーザーです。 光の進む向きが端面発光レーザーと90度違い、この向きの違いが、素子の作り方と、良品かどうかを測る順番まで決めます。

端面発光レーザーとは、光の出る向きが90度違う

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一般的なレーザーダイオードは、半導体のへき開面を反射鏡として使い、そのへき開面から光を出します1。これが端面発光レーザー(EEL)です。電子情報通信学会の知識ベースは、基板面に垂直な放射の向きを、VCSELとほかの半導体レーザーとの最大の相違点としています2。

増幅の距離が短いぶん、98%以上の鏡で往復を増やす

Section titled “増幅の距離が短いぶん、98%以上の鏡で往復を増やす”

半導体レーザーは、光を増やす層(活性層)を2枚の鏡ではさみ、その間で光を往復させて増幅します。往復した光が一定以上の強さになると、反射率を下げた側の鏡を突き抜けます1。これがレーザー発振の原理で、片側の反射率を下げるのは光を外へ取り出すためです。

端面発光では、光は活性層の面内を横向きに走ります。走る距離を長く取れるぶん、鏡の反射率は低くて済みます。空気と半導体の屈折率差で30%程度の反射率が得られ、へき開を利用する場合は最低でも数百マイクロメートル程度の共振器長が要ります2。

面発光では、光は積み重ねた膜の厚さ方向へ走ります。活性領域はナノメートルの桁の半導体結晶の薄膜なので、厚さ方向へ伝わる光は小さな光学利得しか得られず、Q値の高い共振器が要ります。そのため、98%以上の高い反射率が得られる半導体多層膜反射鏡や誘電体多層膜反射鏡でレーザー共振器を作ります2。増幅に使える距離が短いぶん、鏡を良くして往復の回数を増やすので、設計の重心は共振器の長さから膜の質へ移ります。

光の向きを変えると、鏡の役目が入れ替わります
端面発光レーザー光は活性層の面内を横向きに走ります基板活性層へき開面が鏡になります(反射率30%程度)共振器長は数百µmの桁です端面という鏡ができてから発振します面発光レーザー(VCSEL)光は膜の厚さ方向へ走ります活性層基板多層膜鏡98%以上多層膜鏡活性領域はnmの桁の薄膜ですウェハに並んだまま発振します
端面発光では横に長く走らせるため、へき開面の30%程度の反射率で足ります。面発光では厚さ方向の短い距離で増幅するため、98%以上の多層膜鏡で往復の回数を増やします。増幅の距離を、膜の質で置き換えた形です。

電流を微小な領域へ閉じ込めるので、しきい値が小さい

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電流を微小な領域へ効率よく閉じ込めるために、水素イオン打ち込みによる高抵抗化や、半導体薄膜中に絶縁性の高い酸化アルミニウム層を作る方法が使われます。電流注入領域の大きさは平方マイクロメートルの桁です。研究水準では、微小な活性領域体積と高いQ値の共振器の効果により、レーザー発振に必要な電流として10マイクロアンペア以下の極低しきい値動作が実現されています2。

古河電気工業は2012年に、10Gbps以上で動作するVCSELの動作電流は、端面発光型の従来の半導体レーザーに比べて1/5から1/10と低いとしています3。同社は、発光層の体積が従来のレーザーの1/10程度であることを、しきい値電流が小さくなる理由に挙げています。

共振器の短さは、波長の純度にも及びます。共振器長が短いため、発振する共振縦モードは通常1つに限られ、発振スペクトルはDFBレーザー並みに単色性に優れます2。

へき開が不要になり、割る前にウェハで良品を選べる

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測る時点が、割る前へ移ります
端面発光レーザーウェハが完成へき開してバー状に分割光るかどうかをここで測ります1個ずつに分割面発光レーザー(VCSEL)ウェハが完成ウェハのままここで測ります1個ずつに分割測る時点が2工程ぶん前へ移ります
端面発光では、へき開して鏡になる端面ができてから、その素子が光るかどうかを測ります。面発光ではウェハに並んだまま発振するため、割る前に良品を選び出せます。

古河電気工業は、レーザー共振器が縦方向に形成されるためレーザー結晶をへき開する作業が不要になり3、LEDと同様にウェハでの検査が可能で、1次元や2次元のレーザーアレイ用途へ向くとしています。

端面発光では、ウェハを割って鏡になる端面を作り、バー状にした後で光るかどうかを測ってから、1個ずつに分けます。面発光ではウェハに並んだままレーザー発振するので、ウェハプローバーで測ってからダイシングへ回せます。測る時点が割る前へ移り、良品を先に選び出せます。

戻り光に強く、アイソレータなしで低価格の光源になった

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古河電気工業は、発光ビームが円形のため光ファイバへの高い結合が可能とし3、2012年時点でトランシーバ、コンピュータマウス、レーザープリンターで使われているとしています。

高反射率の反射鏡を光の出口に使うため、外から反射して戻る光があっても安定したレーザー発振を保ちます。そのため、通信用の半導体レーザーモジュールで必須となる、戻り光を断つための高価なアイソレータが要りません。簡易な構造でも実用的なモジュールを組めるので、1990年代後半にイーサネットに代表される1Gbps以上の高速光データリンク用の低価格光源として実用化されました2。

Co-Packaged Opticsと青色の面発光へ広がる

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古河電気工業は、情報通信研究機構のBeyond 5G研究開発促進事業の委託研究で、先進パッケージングの考え方と重なるCo-Packaged Optics向けの超小型VCSELトランシーバを開発しています。同社は、電気インタフェースに0.3mmピッチのLGAを採用して7.7mm×15.9mmのフットプリントを実現し、400Gb/s信号伝送で良好な符号誤り率特性を得た4と報告しています。

波長を短くする研究も進んでいます。GaN基板を使う青色の面発光レーザーの研究紹介は、基板面に垂直へ光を放射する構造のため、従来の端面発光レーザーと比べて小型化と低消費電力化が可能で、二次元アレイ化による高出力化も期待できるとしています5。

VCSELは化合物半導体の上に作られます。多層膜の鏡も活性層も、エピタキシャルウェハとして結晶成長で積み上げた層です。

VCSEL(面発光レーザー)とは何ですか?

半導体の基板面に対して垂直な向きへレーザー光を放射する半導体レーザーです。電子情報通信学会の知識ベースは、この放射の向きを、ほかの半導体レーザーとの最大の相違点としています。

端面発光レーザーとどこが違いますか?

光が走る向きです。一般的なレーザーダイオードは半導体のへき開面を反射鏡として使い、そこから光を出す端面発光レーザーです。面発光では、積み重ねた膜の厚さ方向へ光が走ります。

なぜ98%以上という高い反射率が要るのですか?

増幅に使える距離が短いためです。活性領域はナノメートルの桁の薄膜なので、厚さ方向へ伝わる光の光学利得は小さく、Q値の高い共振器として98%以上の反射率を持つ多層膜反射鏡を使います。

しきい値電流が小さいのはなぜですか?

光る体積が小さいためです。古河電気工業は、発光層の体積が従来のレーザーの1/10程度であることを理由に挙げています。電流注入領域は平方マイクロメートルの桁で、10マイクロアンペア以下の極低しきい値動作が実現されています。

ウェハに並んだまま測れると何が良いのですか?

割る前に良品を選び出せます。古河電気工業は、レーザー共振器が縦方向に形成されるためへき開する作業が不要になり、LEDと同様にウェハでの検査が可能としています。

光ファイバとの相性が良いとされるのはなぜですか?

ビームの形と、戻り光への強さです。古河電気工業は、発光ビームが円形のため光ファイバへの高い結合が可能としています。高反射率の鏡を光の出口に使うので戻り光があっても発振が安定し、高価なアイソレータが要りません。

どこで使われていますか?

古河電気工業は2012年の時点で、トランシーバ、コンピュータマウス、レーザープリンターを挙げています。同社は古河電工時報第144号で、Co-Packaged Optics向けの超小型VCSELトランシーバの開発を報告しています。

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