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選択エピタキシャル成長とは

選択エピタキシャル成長(選択エピ)とは、Siが露出した窪みだけに単結晶を育て、酸化膜や窒化膜の上には成長させない成膜です。 シリコンまたはSi系化合物を決められた領域だけに堆積し、それ以外の領域はマスクしたままにします1。

ウェーハ全面に育てるブランケット成長なら、後でパターニングして必要な場所だけ残せます。しかしソース・ドレインの窪みは深さも幅も数十nmで、そこに結晶方位のそろった単結晶を隙間なく詰める必要があります。後から削る方法では窪みの外の結晶だけを取り除く工程が別に必要になるため、最初から窪みの中だけに育てる選択エピが使われます。

下地の方位を受け継げる場所にだけ、単結晶が定着する

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ブランケット成長と選択エピ
ブランケット成長絶縁膜の上に多結晶が付く後で削る工程が必要選択エピHClが核を取り除く窪みの中だけが埋まるSiGe エピ絶縁膜マスクSi 基板
窪みの中では下地の方位を受け継いだ結晶が積み上がり、絶縁膜の上ではHClが核を取り除きます。後から削る工程が要らない代わりに、ガス条件の許容範囲が狭くなります。

エピタキシーおよびエピタキシャルは、成長層の結晶方位が下地の結晶方位と一致していることを表す用語です2。選択エピはこの性質を利用します。Siが露出した面では下地の方位を受け継いだ単結晶が積み上がり、酸化膜や窒化膜の上では受け継ぐ方位がないので、核ができても結晶として定着しにくくなります。

選択エピの対象は、ソース、ドレイン、場合によってはチャネル領域です。ASMは、工程ガスにドーパント種を入れることでドーパント濃度とプロファイルを精密に制御でき1、膜質とドーピングプロファイルの均一性には精密な温度制御が必要だとしています。

HCl分圧で選択性を上げると、成長が遅くなる

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選択性・Ge濃度と成長速度
HCl 分圧を上げると9.460 mTorr8.480 mTorr4.8100 mTorr成長速度 nm/min選択性は上がるが、時間がかかる成長温度を下げると20.1750 ℃25.4700 ℃28.2650 ℃Ge 組成 %Geは増え、成長は遅くなる
HCl分圧を60から100mTorrへ上げると選択性は改善し、成長速度は9.4から4.8nm/minへ落ちます。温度を750℃から650℃へ下げるとGe組成は20.1%から28.2%へ上がります。

中国科学院微電子研究所のグループが2017年に公開した22nm PMOSの論文では、HCl分圧を60から100mTorrに上げると選択性が改善し、成長速度は9.4、8.4、4.8nm/minと下がりました3。HClはSiGeの堆積と競合してエッチングを起こし、絶縁膜の上にできた核を取り除きます。核がすぐに除かれるほど選択性は良くなり、窪みの中の成長も同じだけ遅くなります。

温度も同じ関係です。成長温度650℃、700℃、750℃に対して、SiGeのGe組成は28.2%、25.4%、20.1%でした。Ge濃度を高くして大きなひずみを得たいなら低温を選びますが、低温では成長が遅くなります。

ソース・ドレインは、応力層と保護層の2層で作る

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この論文の22nm PMOSは、ソース・ドレインを2層構造にしています。主な応力源がSi0.60Ge0.40で、その上にシリサイド化から守る犠牲層としてSi0.80Ge0.20のキャップ層を重ねます。Niシリサイドは300℃と450℃の2段階アニールで作り、キャップ層はその反応が主な応力源まで届く前に消費されます。同じ選択エピの中で、応力を加える層と保護する層をGe濃度で作り分けています。

産業技術総合研究所の八木下淳史氏が示したプロセスフローでは、FinFETとナノシートGAAのどちらも、S/D領域のフィンをエッチバックした後にSiまたはSiGeのドープエピを成長させます4。フィンを削ってから成長させ直すのは、上下方向に均一なソース・ドレイン拡散層を作るためです。

積層フィンは、ブランケット成長で作る

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Si/SiGeのエピタキシャル多層膜がデバイスチャネルの寸法を決めます5。こちらはウェーハ全面に交互に積むブランケット成長で、シートの厚さと間隔がそのままエピの膜厚になります。

同じナノシートGAAの中に、全面へ積むエピと、窪みだけを埋めるエピの2種類が入ります。前者がシートの寸法を決め、後者がソース・ドレインの応力とドーピングを決めます。エピタキシャルウェーハのように基板を作る用途と合わせると、エピという言葉は工程の中で3通りの役を持つことになります。

選択性、Ge濃度、スループットを同時に合わせ込む

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選択エピを使うと、窪みの中だけを結晶で埋め、その場でドーパント濃度とプロファイルまで決められます。代わりに、HCl分圧と温度の許容範囲は狭く、選択性を上げるほど成長速度が落ち、下地の面方位や周りのパターン密度で成長速度が変わるのを合わせ込む必要があります。プロセス担当は、選択性、Ge濃度、スループットの3つを同時に満たす条件を探します。

選択エピタキシャル成長とは何ですか?

シリコンまたはSi系化合物を決められた領域だけに堆積し、それ以外の領域はマスクしたままにする工程です。対象はソース、ドレイン、場合によってはチャネル領域です。

普通のエピタキシャル成長と何が違いますか?

結晶が残る場所です。ウェーハ全面へ育てるブランケット成長に対し、選択エピは酸化膜や窒化膜の上を素地のまま通過させ、Siが露出した窪みだけを埋めます。マスクを剥がす工程が省ける代わりに、ガス条件の幅が狭くなります。

どうやって選択性を作るのですか?

塩化水素(HCl)の分圧です。中国科学院微電子研究所のグループが2017年に公開した22nm PMOSの論文では、HCl分圧を60から100mTorrへ上げると選択性が改善しました。

選択性を上げると何が悪くなりますか?

成長速度が落ちます。HCl分圧を上げると、成長速度は9.4、8.4、4.8nm/minと下がりました。選択性を上げるほどスループットが下がります。

温度はどのくらいですか?

この論文のRPCVDでは650〜750℃、圧力20〜40Torrです。温度650℃、700℃、750℃に対してGe組成は28.2%、25.4%、20.1%で、低温ほどGeが多く入ります。

どんなガスを使いますか?

この論文ではジクロロシラン(SiH2Cl2)、10%ゲルマン(GeH4)、1%ジボラン(B2H6)を使っています。選択エピの工程ガスにドーパント種を入れると、ドーパント濃度とプロファイルを精密に制御できます。

ソース・ドレインは1層ですか?

この論文の22nm PMOSは2層です。主な応力源のSi0.60Ge0.40の上に、シリサイド化から守る犠牲層としてSi0.80Ge0.20のキャップ層を重ねています。

ナノシートGAAでも使いますか?

使います。ナノシートGAAのプロセスフローでは、S/D領域のフィンをエッチバックしたあと、SiまたはSiGeのドープエピをそこへ成長させます。チャネルの寸法は、Si/SiGeのエピタキシャル多層膜が確定させます。

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    ASM:Epitaxyasm.com ab
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