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高アスペクト比エッチングとは

高アスペクト比エッチングとは、幅に対して極端に深い穴や溝を開ける加工です。 3D NANDのチャネルホールが代表例です。エッチングは上から反応種を送り込んで材料を削るため、穴が深いほど底まで届く反応種が減り、側面に当たる分が増えます。深く掘るほど難しくなります。3D NANDでは、この穴を開けられる深さが層数の上限を決め、掘る時間が工場の生産速度を決めます。深さ、速さ、穴の形、マスクの厚さのどれか1つを伸ばすと、ほかのどれかが削られます。

開けられる深さが、3D NANDの層数の上限になる

Section titled “開けられる深さが、3D NANDの層数の上限になる”

3D NANDは層を積むほど容量が増え、積んだ層を貫く穴を開けられるかどうかが層数の上限を決めます。東京エレクトロンは、400層を超える3D NANDフラッシュ向けに、深さ10 µmのメモリチャネルホールエッチング技術を開発しました1。発表の場は、2023年6月に京都で開かれたVLSI Technology and Circuitsシンポジウムです。400層超という数字が掲げられるのは、エッチングで到達できる深さが製品の容量を決めるからです。

アスペクト比は、ウェーハに作るパターンの深さと幅の比です。穴の幅は数十 nmの水準なので、深さ10 µmの穴のアスペクト比は極端に大きくなります。

細く深い穴の底には、ガスが入りにくく生成物が出にくい

Section titled “細く深い穴の底には、ガスが入りにくく生成物が出にくい”

シリコンの深掘りのエッチングステップでは、化学的なドライエッチングとイオンの衝突を組み合わせてシリコンを削ります。シリコンの深掘りを調べたPurdue Universityの論文は、細い溝ではガスの輸送が大きく減る2と指摘しています。エッチングガスが溝の底まで流れてシリコンと反応するのが非常に難しくなり、反応でできた生成物を外へ出すのも難しくなります。同じレシピでも細い穴ほど遅く進むARDEの要因の1つにも、このガスの輸送の細りがあります。

深い穴の中の、入る流れと出る流れ
反応ガスは底へ届きにくい生成物は外へ出にくいマスク削る膜反応ガスイオン反応生成物
反応ガスは深くなるほど細い流れになって底へ届きにくく、底でできた生成物も外へ出にくくなります。

狙いは、入口から底まで同じ寸法

Section titled “狙いは、入口から底まで同じ寸法”

この穴は入口から底まで同じ寸法を保つ必要があります。細れば底のセルの特性が変わり、広がれば隣の穴と干渉します。深く掘るあいだ、マスクも削られます。マスクが先に消えれば、そこから下は寸法が崩れます。

狙いの形と、崩れ方3つ
狙いの形底が細る側面が広がるマスクが消える底まで同じ幅底のセルが変わる隣の穴と干渉寸法が崩れるマスク積層膜
狙いは入口から底まで同じ幅の穴で、底が細ればセルの特性が変わり、側面が広がれば隣の穴と干渉し、マスクが消えればそこから下の寸法が崩れます。

33分は、層数と生産速度のトレードオフを示す

Section titled “33分は、層数と生産速度のトレードオフを示す”

東京エレクトロンは、この技術で深さ10 µmのエッチングを33分で完了し、従来技術と比べて温暖化係数を84%削減できるとしています。同社によると、開発した新プロセスは絶縁膜のエッチングを初めて極低温の温度域へ持ち込み、非常に高いエッチングレートの装置になりました。結果は、エッチング後のメモリチャネルホールの断面SEM写真と、ホールの底をFIBで切った写真で示しています。

1枚あたりの時間は、そのまま工場の生産速度を左右します。深さが伸びるほど1枚あたりの時間も伸びるので、33分は層数と生産速度のトレードオフを示す値でもあります。エッチングに使うガスには温室効果が強いものが多く、温暖化係数の削減は効果が大きい工程です。

細い寸法ほどマスクは薄く、選択比の要求が上がる

Section titled “細い寸法ほどマスクは薄く、選択比の要求が上がる”

レジストは寸法が細いほど薄くする必要があり、ピッチ16 nmの線には20 nmより薄い膜が要ります3。薄いマスクで深く掘るには選択比を上げる必要があり、露光技術の進歩がそのままエッチングへの要求になります。

深さ・速さ・穴の形は、互いを削り合う

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深く掘れれば層を多く積めて容量が増えますが、1枚あたりの時間が伸び、工場の生産速度が落ちます。選択比を上げれば薄いマスクでも掘れますが、使えるガスと条件が狭まります。反応を強めれば速く掘れるものの、側面まで削れて穴が広がります。どの変数を伸ばすかは、積みたい層数と工場の生産速度のどちらを優先するかで決まります。

高アスペクト比エッチングとは何ですか?

幅に対して極端に深い穴や溝を開ける加工です。アスペクト比はウェーハに作るパターンの深さと幅の比で、3D NANDのチャネルホールが代表例です。

どのくらい深いですか?

400層を超える3D NAND向けに、東京エレクトロンが深さ10 µmのエッチング技術を開発しています。

どのくらい時間がかかりますか?

東京エレクトロンの技術は、深さ10 µmのエッチングを33分で完了するとしています。同社は、絶縁膜のエッチングを初めて極低温域へ持ち込んだことで非常に高いエッチングレートが出たと説明しています。

何が難しいのですか?

入口から底まで寸法を揃えることです。深くなるほど反応の種が届きにくくなり、穴が細ります。細い溝ではエッチングガスが底へ流れ込みにくく、反応でできた生成物も外へ出しにくくなります。

環境の面ではどうですか?

東京エレクトロンは、従来技術と比べて温暖化係数を84%削減できるとしています。エッチングに使うガスの影響が大きい工程です。

レジストとの関係はありますか?

あります。寸法が細いほどレジストを薄くする必要があり、薄い膜でも深く掘れる選択比が要ります。

どこで発表されましたか?

2023年6月に京都で開かれたVLSI Technology and Circuitsシンポジウムで発表されました。

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