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EUVミラーとマスクで光は約8%に|ウェーハが受ける光は時間平均1.3 W

EUV露光機の中で、光はマスクと投影光学系の鏡6枚の計7回反射する。鏡1枚の反射率を70%とすると、そのたびに約3割を失う。マスクに入った光のうちウェーハに残るのは、0.770.7^7 から計算して約8%だ。光源の側から見ると損失はもっと大きい。ASMLのNXE:3800Eが示す毎時220枚・30 mJ/cm²という条件から計算すると、ウェーハが受ける光は時間平均で1.3 Wほどになる。Reutersが報じたASMLの現行光源の約600 Wと並べると、時間平均で比べて0.2%ほどになる。

この損失の大きさが、光源の出力と鏡の反射率をEUVの生産性の中心に置いている。光子の少ないEUVでは、露光量を下げると光子の数のばらつきが大きくなる。露光量を変えずに速くする方法の一つが、ウェーハに届く光を増やすことだ。ASMLはEXE:5200Bの処理能力の向上を、ウェーハ面での光の出力を上げた光源1で説明している。

多層膜の鏡1枚の反射率は、実測で約70%が上限になる

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13.5 nmの光は、空気にもガラスにも吸収される。ZEISSによると、EUVの光学系は鏡だけで組み、真空中で動かす2。金属の表面で反射させても13.5 nmはほとんど返らないため、屈折率の違うモリブデンとシリコンを交互に重ねた多層膜で反射を足し合わせる。

LBNLのX-Ray Data Bookletによると、1つの界面の振幅反射率は1/30〜1/100しかないが、30〜100の界面からの反射を同位相で重ねれば全体の反射率を1に近づけられる3。同じ資料には、Mo/Siで波長13.4 nm、垂直入射の反射率68%という実測値が載っている。各界面の反射が同位相で重なる条件は、CXROの説明4にあるブラッグ条件 mλ=2dsin⁡θm\lambda = 2d \sin\theta だ。垂直に近い入射でm=1m = 1とすると、MoとSiの1対の厚みは波長の半分の約7 nmになる。

理論の上限にも届かない。LLNLの1998年の報告では、40対のMo/Si多層膜(周期6.89 nm)で、13.4 nmの近垂直入射の反射率が67.5%、理想的な多層膜の理論上限は約75%だった5。量産の鏡についてZEISSは、1層では1%ほどしか反射しない膜を最大100層重ね、光の最大70%を使えるようにしている6と説明する。実測が理論の約75%に届かないため、以下の計算では鏡1枚の反射率を0.7と置く。そのため、計算の結果は量産の鏡の上限に近い値になる。

マスクと鏡6枚で約8%、光源から数えれば1%を切る

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投影光学系はZEISSによると鏡6枚でできている6。マスクも多層膜の鏡なので、マスクに入った光はウェーハまでに7回反射する。反射率を0.7とすると、鏡6枚だけで0.76≒11.8%0.7^6 \fallingdotseq 11.8\%、マスクを加えた7回で0.77≒8.2%0.7^7 \fallingdotseq 8.2\%が残る(図1)。

左は、マスクに入る光を100%としたときにウェーハまで残る割合の横棒。鏡6枚だけなら11.8%、マスクを加えた7回の反射で8.2%、片道透過率97%のペリクルを往復すると7.7%、片道94%のペリクルを往復すると7.3%。右は、光源の出力約600 Wと、毎時220枚を30 mJ/cm²で露光するのにウェーハが受ける平均1.3 Wを、対数目盛の点で比べたもの。
鏡の反射率を70%とすると、マスクに入った光は7回の反射で8%ほどに減り、ペリクルを往復するとさらに6〜12%減る。毎時220枚・30 mJ/cm²から計算した時間平均の1.3 Wは、光源の約600 Wの0.2%ほどになる。

マスクの手前にも光を集める鏡がある。プラズマから四方に出る光を集光ミラーが集め、中間集光点を通して照明系の鏡に渡す。ウシオは、光源の出力を、中間集光点を通過した後のEUV出力として測っている7。光源メーカーCymerの技術者は2009年、Laser Focus Worldの解説で、鏡6枚の投影光学系の透過率を約12%、照明系と反射型マスクを含む光学系全体では1%未満と書いた8。

マスクを異物から守るペリクルも光を減らす。反射型マスクでは、光が入射と反射でペリクルを2回通る。三井化学とimecのカーボンナノチューブ(CNT)ペリクルは透過率94%以上9、imecがNXE:3300で試したCNTペリクルは片道最大97%だ10。往復すると、94%なら約88%、97%なら約94%が残ると計算できる。7回の反射で残る8.2%に掛けると、ウェーハに届くのはそれぞれ7.3%と7.7%になる。

毎時220枚の露光に要る光は、ウェーハ上で平均1.3 W

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逆に、ウェーハがどれだけの光を受けているかを計算できる。NXE:3800Eは30 mJ/cm²で毎時220枚以上11を処理する。直径300 mmのウェーハの面積は約707 cm²なので、全面に30 mJ/cm²を当てると1枚あたり約21 J になる。これを毎時220枚で割り戻すと、ウェーハが受ける光は時間平均で約1.3 Wだ。50 mJ/cm²で毎時175枚以上1のEXE:5200Bなら、同じ計算で約1.7 Wになる。

光源の出力と比べると差が分かる。Reutersの報道によれば、ASMLは2026年2月、現行の光源は約600 Wで、1,000 Wの光源により毎時220枚を2030年までに330枚へ上げる12と説明した。1.3 Wを600 Wで割ると約0.2%になる。この1.3 Wはウェーハを交換し、ショットの間を動く時間も含めた平均で、ウェーハ全面に当てると仮定した値だ。露光している瞬間に届く光はこれより多く、光学系の透過率とは定義が違う。

光源の出力は処理枚数と結びつけて語られてきた。ASMLは、実証用の光源容器で250 Wを出したことが、工場で毎時125枚を処理する道を開いた13と振り返っている。1,000 Wの光源では毎時330枚を目指すと、上記のReutersの報道は伝えている。

鏡を2枚増やすと光は半分になり、マスクでの反射角は約10度未満に抑える必要がある

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鏡の枚数を増やせば光学設計の自由度は上がるが、1枚ごとに約3割を失う。ZEISSは2012年、0.33 NAで鏡6枚の投影光学系の透過率を100%としたとき、0.60 NAで鏡8枚の案は40%未満になると示した14。0.7を2回掛けると約49%なので、2枚の追加だけで光は半分になる。

光の角度にも制約がある。多層膜の反射率は、入射角が大きくなると下がる。ZEISSは2022年の資料で、マスクでの反射角を約10度未満に抑えないと影の効果が大きくなり反射率も下がる15と説明し、High-NAで縦横の倍率を変えるアナモルフィック設計を採った理由としている。ASMLによると、このアナモルフィックな鏡のためにHigh-NAの露光野は0.33 NA機の半分になり16、マスクとスティッチングに新しい条件が生まれた。その条件はHigh-NA EUVのマスク・ペリクル・スティッチング、露光野が半分になったことの処理能力への影響はHigh-NA機の毎時110枚と0.33 NA機の220枚は露光量が違うで扱っている。

鏡の粗さは、透過率と像のコントラストを両方削る

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鏡の面の凹凸は、その周期の長さによって効き方が変わる。ZEISSは2021年の資料で、長い周期の形状誤差が収差として寸法の均一性と重ね合わせに、中くらいの周期の粗さが露光野内の散乱光としてコントラストに、短い周期の粗さが光の損失として透過率に効く17と整理している。同じ資料では、研磨後の粗さをrmsで42〜61 pmと示している。

散乱光のうち像に重なる分がフレアだ。ZEISSは2012年、NXE:3300の鏡でフレアの仕様6%に対し4%を得た14と報告した。ZEISSの整理では、この散乱光が像のコントラストを下げる。反射率は処理枚数に、散乱はパターンの質に効くので、鏡の研磨と成膜はEUV露光機の性能を両面から決める。

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