EUVマスク5工程の供給元マップブランクはHOYAの推定で2社が供給
EUVマスクの供給網とは、ブランク、描画装置、マスク製造、検査、ペリクルの各工程を担う会社のつながりを指し、工程ごとに供給元が違う。このうち市場の分け方を示す公開資料があるのはブランクで、HOYAは統合報告書2025で、2024年度のEUV向けマスクブランクの市場をHOYAともう1社の2社で分けた推定1を示した。HOYAはもう1社を「Company A」とだけ書いている。
ブランクと描画装置の供給側では、能力と描画時間について各社の発表が続いた。AGCは2023年、EUVブランクの生産能力を2025年に約30%増やす2計画を公表した。Intelによれば、傘下のIMS Nanofabricationは2015年の買収以降、人員と生産能力を4倍にした3。マスクメーカーのTekscend Photomaskは2024年、ドレスデンに入れた新型のマルチビーム描画装置で、複雑な設計のマスクの描画時間が数日から7〜12時間になる4と発表した。
EUVマスクは5つの工程を順に通り、工程ごとに供給元が違う
Section titled “EUVマスクは5つの工程を順に通り、工程ごとに供給元が違う”フォトマスクの材料と構造はフォトマスク・レチクルの入門にまとめた。EUVマスクが出荷されるまでを、ブランク、描画装置、マスク製造、検査、ペリクルの5つの工程に分け、各社の公表資料を当てはめると図1になる。
ブランクは、HOYAの推定では2社が供給する
Section titled “ブランクは、HOYAの推定では2社が供給する”EUVブランクは、低熱膨張ガラスの上にMo/Siの多層膜と吸収膜を積んだ未描画の板だ。HOYAは、マスクブランク事業で非常に高い市場シェアを持つ1と説明し、2024年度の推定シェアの円グラフでは、EUV向けをHOYAと「Company A」の2社に分けている。同じ報告書でHOYAは、顧客がEUVブランクの調達先を徐々に複数化する可能性がある1と書き、先端世代で競合に先行してシェアを保つ方針を示した。半導体用マスクブランクスの売上は、在庫調整の後に3 nm世代を含むEUVの微細化に支えられ、2024年度に為替の影響を除いて35%伸びた。HOYAは、位相シフト、High-NA、Hyper-NAを含む業界のロードマップに合わせて、技術開発と能力の増強を進めるとしている。
AGCも、EUVブランクを自社の製品として公表している。AGCエレクトロニクスは5、低膨張ガラスの素材から研磨、洗浄、成膜、欠陥検査までを一貫して手がける。AGCの増産計画は2024年1月に生産を始め、段階的に増やして2025年に能力を約30%引き上げる内容だ。売上の実績はHigh-NA EUVを支えるASML以外の供給元にまとめている。
マルチビーム描画装置は、IMSとニューフレアテクノロジーが製品を出している
Section titled “マルチビーム描画装置は、IMSとニューフレアテクノロジーが製品を出している”マスクの回路は、ブランクに塗ったレジストへ電子線で描く。DNPによれば、26万本の電子線を照射するマルチビーム描画装置は、曲線を含む複雑なパターンでも描画時間を大幅に短縮できる6。
IMS Nanofabricationは、2016年に第1世代のMBMW-101を出し、2023年には2 nm世代向けの第4世代MBMW-301を出した4。Intelは、IMSをマルチビーム描画装置の世界的な技術リーダー3と呼ぶ。Intelは2023年、IMSの株式の約20%をBain Capitalに、約10%をTSMCに売ると発表し、TSMCの出資はIMSの企業価値を約43億ドルと評価した。Intelは過半を保ち、IMSは独立した子会社として事業を続ける。
ニューフレアテクノロジーは7、26万本のビームを高速・高精度に制御するマルチビーム描画装置を製品に持ち、MBM-2000を3 nm世代の設計ルールに対応させている。
DNPとTekscend Photomaskはマルチビーム描画装置を導入した
Section titled “DNPとTekscend Photomaskはマルチビーム描画装置を導入した”DNPは、2016年にフォトマスク専業メーカーとして世界で初めてマルチビーム描画装置を導入した6と説明し、2020年にはこの装置を使って5 nm世代相当のEUVマスクの製造プロセスを開発した。2024年12月には、2 nm世代以降のフォトマスクに求められる微細なパターンの解像に成功し、High-NA対応のEUVフォトマスクのサンプル提供を始めた8と発表した。2027年度には2 nm世代ロジック向けの量産フォトマスクの供給開始を目指す。
Tekscend Photomask(旧Toppan Photomasks)は2024年11月、ドレスデンのAMTCに欧州で初めてのマルチビーム描画装置MBMW-100 Flexを入れた。同社は、この装置で複雑な設計のマスクの描画時間が数日から7〜12時間になる4と発表している。
検査はレーザーテック、ペリクルは三井化学が製品を出している
Section titled “検査はレーザーテック、ペリクルは三井化学が製品を出している”EUVマスクを露光と同じ波長で見る検査装置は、レーザーテック9がブランク、パターン付きマスク、ペリクル、裏面の対象別に出している。同社はACTIS A150を世界初のEUVパターン付きマスク検査装置10と説明する。装置の仕組みはLasertec ACTIS A200HiTの装置研究で扱っている。
ペリクルでは、三井化学がASMLのライセンスを受けて事業を営み、CNT膜のペリクルを年産5,000枚作る設備を2025年12月の完成予定で建てる11と発表した。同社の計画の詳細はHigh-NA EUVを支えるASML以外の供給元にまとめている。
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- 4Tekscend Photomask:AMTCドレスデンへのマルチビーム描画装置の導入(2024年11月)photomask.com abc
- 5AGCエレクトロニクス:EUVフォトマスクブランクスの製造項目agcel.co.jp ↩
- 6DNP:5 nm世代相当のEUVマスク製造プロセス(2020年7月)dnp.co.jp ab
- 7ニューフレアテクノロジー:電子ビームマスク描画装置の製品群nuflare.co.jp ↩
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- 9レーザーテック:半導体関連の検査装置一覧lasertec.co.jp ↩
- 10レーザーテック:EUVパターン付きマスク検査装置ACTIS A150lasertec.co.jp ↩
- 11三井化学:ASMLライセンスのEUVペリクルとCNTペリクルの量産設備(2024年5月)jp.mitsuichemicals.com ↩