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EUVペリクルとは別に進むマスク劣化|保管中のカーボン付着とRu酸化でCD変動

EUVペリクルが防ぐのは、マスク面に落ちる異物だ。マスク面は像を結ぶ面にあるので、そこに付いた異物はウェーハに写る。ペリクルはマスク面から数mm上で異物を受け止め、焦点の外に置く。一方、マスクの劣化には、異物とは別の仕組みが少なくとも2つある。保管中に進むカーボンの付着とRu保護膜の酸化、そして経年で増える多層膜の荒れだ。

imecとTNOなどの研究者は2020年、保管の条件によって、NXEで露光したロットの中でウェーハ上のCDに小さいが有意な傾向が出る1ことを報告した。imecは、多層膜の表面の荒れがマスクの経年とともに増え、確率的欠陥の起きやすさに大きく関わる2と書く。どちらも、ペリクルが受け止める落下異物とは別の仕組みで進む。

ペリクルの役目は、異物をマスク面から数mm離すこと

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ASMLの技術者は2017年の解説で、ペリクルの働きを1つの原理で説明した。異物は焦点の合っていないペリクルの膜に落ち、像を結ぶ面にあるマスク面には届かない。マスク面を遮るものは、そのままウェーハに写る3。ペリクルはマスクを作った後に取り付け、マスクショップから工場への搬送、保管、装置の真空への出し入れ、装置内での搬送と露光の間、マスクを守る。この循環を何度か繰り返した後、マスクは洗浄のためにマスクショップへ戻る。そのため、ペリクルが守るのは、取り付けてから洗浄に戻るまでの間に外から落ちてくる異物になる。

ASMLは、内外の圧力をそろえるために膜をマスク面から少し離して取り付け、この構成の欠陥性能を試験で確かめた。その隙間を通って異物が移る様子は観察されなかったという3。累計7,000枚を露光した後も、マスク表面に68 nmを超える異物は増えていなかった3。ただしASMLは、膜の上でも小さな異物しか許されず、数μmに及ぶ大きな異物は膜から除いておく必要がある3とも書く。

ペリクルの材料、透過率、熱の条件はフォトマスク・レチクルに、光を吸う分の損失はEUVの鏡と光の損失にまとめた。

EUVマスクの劣化を3つの仕組みで比べた図。異物の付着は搬送・保管・装置内の移動で起き、マスク面の異物はそのまま印刷され、膜の上なら焦点外で写らない。カーボン付着とRuの酸化は真空の外での保管中に進み、ロット内でCDが少しずつ動き、真空中の露光で徐々に戻る。多層膜表面の荒れはマスクの経年で増え、確率的欠陥の起きやすさに効く。
ペリクルが受け持つのは1行目の異物だ。2行目と3行目はマスク表面そのものの変化で、CDと確率的欠陥に出る。

保管中のカーボンとRuの酸化は、真空に入れた後のロットでCDを動かす

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2020年の研究は、TNOの試験装置EBL2とimecのNXEを組み合わせた。EBL2は、NXEでウェーハ1万枚を露光したのと同じ負荷を、1日足らずでマスクに与える1。その場で測ったX線光電子分光では、強いEUV露光がマスク表面のカーボンを取り除き、酸化したRuをRuに戻した。この変化は、露光した場所だけでなく、数cm離れた場所でも起きた。

マスクを真空の外で保管すると、カーボンの層は再び育ち、Ruは再び酸化した。この結果が、NXEで露光したロットの中で、マスクの保管条件によってCDが少しずつ動く傾向を説明した。真空に入れた後の最初の露光で、保管の影響は徐々に消える。保管による汚れは1か月を超えても増え続け、強いEUV露光の局所的な痕跡は、空気中で数週間保管した後もEUV反射率で測れた。imecも、保管中のカーボン付着がウェーハ上のCDに影響し、その程度は保管条件で変わり、EUV露光で元に戻る2と説明している。

imecはこの研究から、安定したマスクの印刷性能のために、保管と寿命の影響をできるだけ制御し、小さくすることの重要性2を挙げている。

多層膜の荒れはマスクの経年で増え、確率的欠陥に効く

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imecは、確率的欠陥の起きやすさに多層膜の表面の荒れが大きく関わり、その荒れはマスクの経年で増える2と書いている。確率的欠陥は、少ない光子のばらつきから断線やブリッジが生まれる現象で、その仕組みはEUVリソグラフィの解説にまとめた。

カーボンとRuの酸化は真空中の露光で戻り、荒れは経年とともに増える。カーボンはロットの中のCDの動きとして、荒れは確率的欠陥として、ウェーハに現れる。

ペリクルを付けると、マスクの検査の手段が変わる

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ペリクルは異物を防ぐ代わりに、マスク表面の変化を確かめる手段を変える。ASMLの解説によれば、一部のペリクル材料は従来の検査波長の光を通さず、ペリクルを付けたまま検査できるのは13.5 nmの光だけになる3。NXE用のペリクルは取り外せる設計で、途中の検査では外して193 nmの検査装置で見られる。量産用ペリクルの寿命の目標は、ウェーハ1万枚の露光だった。

もう1つの手段は、印刷したウェーハで検査することだ。KLAとimecは2017年、ペリクルが検査波長を通さない場合に、印刷したウェーハの検査でマスクを再認定する方法4を示した。この方法は、多層膜の反射率の変化や位相欠陥のように、印刷に効いてもマスクの検査では見えない変化を拾える。マスクを装置から取り出さずに済むので、出し入れのたびに異物が付く機会も減らせる。露光と同じ波長でペリクル越しに見る検査はLasertecのACTISで扱っている。

High-NAでは、ペリクルにかかる機械的な負荷も増える。ASMLによれば、EXE機のレチクルステージはNXE機の4倍の32 gで加速する5。ペリクルはレチクルに取り付けて使うので、この加速はペリクルにもかかると考えられる。High-NAのマスク全体の条件はHigh-NAで大型ダイが継ぎ目をまたぐ問題で扱っている。

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