リフトオフとは
リフトオフ(Lift-off)とは、レジストの上に堆積した膜を、レジストごと取り除き、開口部に堆積した膜だけを基板へ残すパターニング工程です。金属膜などを直接エッチングする代わりに使います。
成否を大きく左右するのは、開口の側壁で膜が切れているかどうかです。切れていれば溶剤がレジストへ届き、上の膜ごと持ち上がります。つながっていれば、溶剤は側壁の膜を拡散で抜けるしかなく、膜が厚いとリフトオフが再現しません。厚い膜や被覆性の高い成膜は膜を連続させやすく、リフトオフを難しくします。目的の膜を十分に堆積する条件と、レジスト上の膜を切り離せる条件を両立させるのがこの工程の設計です。
エッチングとは順序が逆で、膜はレジストの後に付ける
Section titled “エッチングとは順序が逆で、膜はレジストの後に付ける”エッチングでは、先に付けた膜の上でレジストのパターンを作ります。リフトオフでは逆に、できあがったレジストの構造の上から膜を付けます1。続くリフトオフでレジストの構造をその上に堆積した材料ごと除き、開口を通って基板へ直接付いた材料だけを残します1。
膜を削らずに済むことが、この順序の価値です。MicroChemicalsは、金や窒化シリコンのような材料ではレジストマスクの密着が悪くウェットエッチングが難しいため、ドライエッチングかリフトオフが妥当な代わりになるとしています1。ウェットエッチングもドライエッチングも使わず、レジストの溶解だけで形を決めます。
側壁で膜が切れていれば、溶剤が入ってレジストごと持ち上がる
Section titled “側壁で膜が切れていれば、溶剤が入ってレジストごと持ち上がる”手順は、基板にレジストの開口を作り、膜を堆積させてからレジストを溶かす、の順です。基板へ直接付いた膜は残り、レジスト上の膜は剥がれます。開口の側壁で上下の膜が連続しない形状が有効で、その形を作るのが成膜の向きとレジストの断面です。
蒸着は膜が一方向から飛んでくるので、順テーパの側壁でもわずかしか付かず、アンダーカットのある側壁にはまったく付きません1。スパッタリングでは堆積がほぼ等方的に進み、大きくアンダーカットしたレジストの側壁まで覆われます1。リフトオフ液は覆われた側壁を拡散で抜けないとレジストを溶かせず、この制約から、再現よくリフトオフできるスパッタ膜の厚さは最大でも数100nm1とされています。
アンダーカットは、レジストの側で作る
Section titled “アンダーカットは、レジストの側で作る”側壁で膜を切るための断面は、レジストの露光と現像で作ります。MicroChemicalsは、リフトオフ向けに最適化したレジストとして、膜厚およそ2〜10μmのネガ型レジスト AZ nLOF 2000 シリーズ1を挙げています。
ポジ型フォトレジストからアンダーカットを作る方法もあります。コーネル大学のナノ加工施設CNFは、YES 58-TA オーブンでアンモニアガスを使ってポジ型レジストのトーンを反転させ、リフトオフ用のアンダーカット形状を作れるとしています2。手順は、真空と加熱で炉内の酸素を除き、500 Torr のアンモニア蒸気を満たします2。アンモニアは露光部の酸と反応し、その部分を現像液に溶けなくします2。続く全面露光で未露光だった部分に酸ができて現像で除かれ、最初の露光のネガ像が残ります2。
開口ができたら、膜を付ける前の処理も勧められています。CNFは、リフトオフ材料の堆積前にO2プラズマによるデスカムを行い、密着をよくするよう勧めています2。
膜がつながると剥離片が残り、温度を上げすぎるとレジストが溶けにくくなる
Section titled “膜がつながると剥離片が残り、温度を上げすぎるとレジストが溶けにくくなる”管理する条件は、レジストの逆テーパやアンダーカット、膜の厚さ、成膜方向、基板温度です。側壁まで連続した膜は溶剤の入口をふさぎ、剥離片やフェンス状の残りを生じます。
基板温度はレジストそのものを変えます。MicroChemicalsは、温度が上がりすぎるとレジストの架橋度が上がり、その後のリフトオフが難しくなるか、できなくなるとしています1。膜を厚く、被覆よく付けたい成膜側の要求と、レジストを溶ける状態のまま保ちたいリフトオフ側の要求は、ここでもぶつかります。
リフトオフ後は、残す膜と残渣の両方を見る
Section titled “リフトオフ後は、残す膜と残渣の両方を見る”処理後は、開口部の膜が連続して残り、レジスト上の膜と側壁のひげが除去されたかを確認します。残渣があれば、溶解時間だけでなく、成膜時の側壁被覆とアンダーカット量を見ます。基板上の必要膜を傷めずに不要膜だけを持ち上げられたかが合否です。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”リフトオフは何をする工程ですか?
レジストの上に堆積した膜を、レジストごと取り除き、開口部に堆積した膜だけを基板へ残すパターニング工程です。金属膜などを直接エッチングする代わりに使い、金や窒化シリコンのようにレジストの密着が悪くウェットエッチングが難しい材料で選ばれます。
どの段階で行いますか?
基板にレジストの開口を作り、膜を堆積させてからレジストを溶かします。エッチングとは順序が逆で、膜はレジストの後に付けます。基板へ直接付いた膜は残り、レジスト上の膜は剥がれるので、開口の側壁で上下の膜が連続しない形状が有効です。
どこを管理しますか?
レジストの逆テーパやアンダーカット、膜の厚さ、成膜方向、基板温度を管理します。側壁まで連続した膜は溶剤の入口をふさぎ、剥離片やフェンス状の残りを生じます。温度が上がりすぎるとレジストの架橋が進み、リフトオフが難しくなります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- フォトレジスト── 関連する工程・材料の説明
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